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第105回 「作る力」から「売る力」へ

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テキスト版

皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、製造業の「作る力」から「売る力」というお話をします。過去数十年の時間の経過の中で、製造業の価値の源泉というのは作る力から売る力に大きく変化をしています。この変化を学ばなければ、アジア新興国を中心としたグローバル市場で大きな成果を得ることはできません。今日は、製造業の「作る力」から「売る力」への価値の源泉の変化について、一緒に学んでいきましょう。
この図は、過去戦後から現在に至るまでの間、製造業の価値の源泉がどういうふうに変化していったのか、それを説明しているものでございます。まず、ステージ1というのは戦後です。戦後、焼け野原のこの我が国日本を、先人たちは奇跡と言われる経済成長を実現して支えてきたと。当時、日本は、日本で作ったものを、まず日本で売っていたと。日本の内需のために売っていたと。そうこうしているうちに、日本という安価に作れる立地、当時は、昔の、少し前の中国みたいに、日本というのは製造拠点としての位置づけが非常に欧米から見たときに強かったので、日本で作ったものをいかに欧米に輸出するかと。当然、最初は欧米にバカにされたわけですよね。少し前に日本の企業が、中国のメーカーを安かろう悪かろう、というふうに言ったのと同じように、日本の製品なんて、ということで最初はバカにされたと。しかし、日本人の大変勤勉な姿勢が技術力をどんどん、どんどん、向上させて、アメリカやヨーロッパの企業にも認められはじめたと、認められてきたと。
そして、ステージ2、プラザ合意ぐらいに円の価値が急激に上がったと。要は、今まで円安だったので、日本で作っていて欧米に輸出していたものが、日本で作っていたのでは欧米に輸出できなくなったと。そうなって、日本の多くの製造業は、中国やアジア、ASEANに製造拠点を輸出していったと。これがステージ2ですよね。この時代までは、技術力の時代だったんですよね。製造業にとって何が一番重要か。作る力が一番重要だったと。もともとは欧米のメーカーが作っていたものを、日本企業が真似て、より安く、より小さく、より品質高く作ったと。それが認められていったと。昨今、日本のメーカーが、中国や台湾、韓国の企業から多くのものを奪われていったのと同じようなことを、欧米にやっていったわけですよね。この時代というのは、作る力こそが正義だったと。そして、マーケット、つまりはターゲットは先進国だったんですよね。ものを消費するターゲットというのは、日本と欧米、いわゆるG-7が完全にターゲットだったと。新興国なんていうのは、ものを作る場所であって、ものを売る場所じゃなかったというのがこのステージ2までの時代。
このステージ2からステージ3の間にパラダイムシフトが起きたと。パラダイムシフトというのは、今までこう思っていた価値が急激に変わってしまうこと。パラダイムシフトというのは、一夜で起きません。数年から数十年かけて大きく価値が変わってくると。じゃあ、どう変わったかと言うと、今までの作る力から売る力に、大きく変わっていったわけですよね。今までは、作る力こそが正義だったものが、中国や台湾や韓国の企業でも、ほぼ同等のものが作れるようになってしまったと。つまりは、競争環境が劇的に変わったので、劇的に変わったおかげで、作るという力よりも、売るという力が優先されるようになってしまった。作るという力は大切なんだけれども、結局、ほかのメーカーも作れると、目に見える違いがよく分からなくなってしまったと。そうすると、やっぱり売る力というものが非常に重要になってくると。ターゲットも、今まで日本企業が軽視してきた、アジア、ASEAN、新興国もターゲットになってきたというのが、このステージ3。これだけ製造業にとっての価値の源泉というのは変わってきていて、作ることは当然大切です。すごく大切なんだけども、競争環境と市場環境がこれだけ劇的に変わっているので、売る力もなおさら重要であると。つまりは、マーケティングが重要だということでございます。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。