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【本の解説】フィリピン市場 近代小売と財閥 その1

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』 昨年、私が同文舘出版から出した本ですが、今日も引き続き、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は145ページからですかね、フィリピン、第6章、主要小売プレイヤー、流通環境ということで。フィリピンの流通環境、特に近代小売のお話をまず最初にしていきたいなというふうに思うんですが…。この図にね、147ページの下の図にある通り、フィリピンで主要のスーパーマーケットはピュアゴールド、それからSM、そしてロビンソンズですね、この3つがフィリピンの3大小売と言われていて、基本的にはここがもう圧倒的に強いと。一時期はね、やっぱりSMが一番、シューマート、スーパーとしてもSMが一番勢いづいていたんですけど、おそらくね、今、正式な売上数字が発表されてないんですけども、推計売上でおそらくピュアゴールドのほうがスーパーマーケット単体の売上としては高いと思うので、この図はピュアゴールド、SM、そしてロビンソンズというふうに書いていますが、そんな順番になっていて。ちょっと前まではね、4大小売と言われていて、ルスタンズというのがあったんですけど、ルスタンズはロビンソンズの傘下に入ったので、基本的には現在この3つが強いと。4位のガイサノとかありますけどもね、基本的には3大小売というふうに覚えておいてもらって。

一方で、コンビニに関しては、セブンイレブンが3,250店舗強ぐらいあって、1番ですと。でもね、タイに比べると、タイは1万3,000店を超えていますから、それに比べるとやっぱり全然数が少ないし。実は、インドネシアのアルファマートがもう1,200店舗を超えていて進出してきている。非常に高い速いスピードで店舗を展開しているアルファマート。あと、ミニストップが456店舗ぐらいあって。あとは、ガソリンスタンド併設型のシェルセレクトとかね、Treatsというガソリンスタンド併設型、アメリカの影響を受けて。マレーシアとかもそうなんですけど、ガソリンスタンドにコンビニがくっついているというケースが結構多いので、それがそれぞれ2,400店舗とか1,000店舗とかあって。あと、ばかにできないのが、マーキュリードラッグというドラッグストアがあるんですけど、これもね、ドラッグだけ売っている店舗と、ドラッグ半分・コンビニ半分という店舗とあって、結構ね、半分はコンビニになっていたりする店舗が増えているんですよね。それが1,200店舗以上ありますから、コンビニはそんなような状態ですと。それでもね、やっぱり多く見てもフィリピンの近代小売の数というのは前回話しましたけども、1万店に届きませんので。基本的には80万店以上あると言われているサリサリストア、伝統小売ですね、これが非常に重要になってきますよというお話でございます。

近代小売市場に関する考察ということでね、まず伝統小売に入れるにも、やっぱりこの3大小売に入っていないとなかなか難しくて。局ね、フィリピンは特にそうなんですけど、「SMに入っている?シューマートに入っている?」って絶対に言われるんですね。もしくは「ロビンソンズに入っていますか?ピュアゴールドに入っていますか?」って絶対言われるので、基本的には近代小売、この3大小売である程度目立った存在にならなければ、伝統小売への配荷ってなかなか進まないっていうのが市場の特徴としてあって。この3大小売がなぜ強いかっていうことなんですけど、言ったらフィリピンの経済の7~8割はもう財閥が占めているというふうに言われていて。フィリピンの財閥ってスペイン系と中華系とあって、もともとスペイン系が非常に大きな勢力を誇っていたんだけども、歴史上ね、中華系の財閥が成長していく段階で、スペイン系の財閥の勢力が落ちていって、今はもう、アヤラ財閥ぐらいなんですよね、スペイン系の財閥って。結構、不動産系が強いんですけど。なので、もうほとんどが中華系財閥が運営していて。SMとかロビンソンズも中華系財閥なんですよね。ピュアゴールドだけがいわゆるタイクーンと言われる、財閥じゃない実業家になってきます。

中華系財閥の中心はシー財閥。これは2019年だったかな、ヘンリー・シーさん亡くなってしまいましたけど、創業者、中国から来て、フィリピンで一代財閥をつくっていったわけですけども、資産は6人の子どもが引き継いで、今、シー家は依然としてフィリピンで1番というか、アジアで1番だと思うんですけどね、資産2兆数千億円ぐらい、今の為替だと3兆円ぐらいになっていると思いますけど、非常に大きな、フィリピンですと、これがSMを持っているんですけど。結局ね、このシー財閥って、SMを持っているんだけども、フィリピンに行くとね、BDOって、ネイビーの看板に黄色でBDOって書いた看板、結構いろんなところで見ると思うんですけど、銀行なんですよね。この銀行が、言うとね、イオン財閥みたいなね、そういう感じで。イオンで小売もあるんだけども、バンキングもあって、お金の預かりや貸し借り、ローンなんかも全部やっていますみたいな、ありとあらゆることを当然やっていて、財閥ですから。非常にコングロマリットで強いというのが元々ですよね。この創業者のヘンリー・シーさんはね、12歳のときにフィリピンに移住してきて、1958年、マニラで靴屋を始めて、その名残りでシューマートとまだ言う人がいて、SMってシューマートの略でSMなんですよね。それが結構大きいと。あっ、150ページに書いていますね。バンコデオロというね、銀行ですよね。商業銀行。フィリピン最大の商業銀行を持っていますから。三菱UFJ銀行も持っているし、イオンも持っているしみたいな、それが全部一緒みたいな、不動産もやっていますみたいなね。不動産もね、最大手のSMプライムというのもシー財閥が持っている。あと、ファーストリテイリング、ユニクロが一緒に合弁をやっているのもこのシー財閥、SMグループですよね。極論を言えば、フィリピンの不動産最大手であれば、言ったら一番いい立地をまず確保して、そこにSMつくって、スーパーつくって、モールつくって、お金も貸して全部やるみたいなね、非常に強いというのがこのシー財閥ですね。

2つ目がゴコンウェイ財閥。これはピュアゴールドの財閥で…。ちょっと時間ですかね。ちょっとシー財閥で話が長くなってしまったので。ゴコンウェイ財閥、ピュアゴールドを持っている財閥と…。ごめんなさい、ピュアゴールドじゃない。ロビンソンズを持っている財閥と、あと、ピュアゴールドを持っているタイクーンのお話をね、次回ちょっとやっていきたいなというふうに思いますので。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。