森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、他人の描いた戦略を実行できるのかということについてお話をしていきたいなというふうに思うんですが…。
われわれの仕事は、製造業、特には消費財メーカーさん、中でも食品・飲料・菓子・日用品等の新興国市場における参入戦略、多くは再参入というか、今現状で参入していて、伸び悩み、もしくはさらに加速をして成長していくための参入戦略を描くというのが主な仕事なんですよね。これらの参入戦略を描くときに、どのお客さんも課題は、課題感はあって、正直、課題が何か見えていないという企業というのはないという話を前回のエピソードでもしたのかな。と思いますけども、課題は見えていて。ただ、その解像度が粗いので、それをシャープにピシッと見せていくと。そこから課題を抽出して、その課題に対する対策を提言していくと。それを戦略に置き換えていくということを提供するわけなんですよね。
でも、じゃあ、われわれがその戦略そのものを全部描くかっていうと、決してそうではなくて、最終的にはお客様が描く。この描いている過程でどんどん本当の意味で自分事になっていくというか、結局、どれだけ自分事にできるかということが、勝つ上では僕はすごく重要で、これってなかなか数字としては表れてこない一面なのかもしれないんですけども、いかに自分事で捉えるかっていう。なので、うちのメンバーは、お客様のプロジェクトをやるときには、お客様の社員になるという、プロジェクト期間中、自己洗脳しろということをすごくうるさく言っていて。そうでないと、なかなかやっぱり他人の企業の商品をパッと出で売っていくなんていうのって、やっぱり最後のところで押しが出てこなくなるので。もちろん前段の部分はノウハウ的なところであったり、同様の商品の型をいくつも見てきているので、そこで8割9割方はグッといくんですけど、やっぱり最後の10%のところでどれだけ自分事になれるかみたいな、そこって僕はすごく大切にしているので、そんなふうに社内では言っていて。うちのクライアントも、最終的には戦略は自分で描く。描く過程でいかに自分事に、この戦略自体を自分のものにできるかが実行したフェーズですごく重要になってくる。同じ描いた戦略も、紙の上では一緒じゃないですか。紙の上では戦略としては自分事で描こうが、他人が描こうがね、コンサルが描こうが、紙の上では同じなわけですよね。なんですけど、その戦略って、そのあとすぐ実践して実行していくわけですよね。このエクスキュージョンしていく、実行していくタイミングでどれだけ自分事にできているかによって、その戦略がしっかりと回るか回らないかというのは決まってくるので、この戦略を描くプロセスの主担当というのはお客さんにやってもらうというのは、われわれは非常に大切にしていて。ただ、その描く過程での中身のインプットの投下はわれわれがやっていく。もちろん視座出しであったり、提言、大枠の提言はこっちでするわけですよね、こうやるべきです、こうあるべきです。ただ、それをしっかりと自分の言葉で戦略に、自分たちの戦略に置き換えていくということはお客さんでやっていく、というのが結構多くて。最近、戦略まで描いてもらえるんですかみたいな、もちろん描きますよと。ただ、その描いたものをそのまま実行はできないので、その描く過程はお客様が主になってそれを描いていく、自分のものにしていく、そこを非常に重要視をしていると。もしね、実践をわれわれがやるのであればね、お客様は描く必要はないかもしれませんけども。多くの場合は一緒にやるというケースがほとんどで、お客様もやっぱり手足を動かすのでね、当然ね。なので、そんなケースが多いのかなという感じですかね。
今日は最近そんな話があったので、少しちょっとこの他人の描いた戦略を、何て言うんですかね、腹落ちさせるというか、やっぱりそれがすごく重要で。それをチームに腹落ちしてもらって、初めてそれをアクションしたときに、アクションしたときに絶対誤差が出るんですよね。腹落ちしてない、自分の戦略になってないと、その誤差に対していちいち反応してしまうので、ネガティブなマインドが出てくる。当然、誤差が出るのは想定範囲内で、その誤差を最小限にするために戦略をつくっているわけで、その最小限の範囲内であれば、それを修正して前に走っていかないといけないんだけども、自分たちで戦略づくりをやってないと、やっぱり他人の書いた戦略だと、なかなかその粘り力というか、突破力みたいなのが低下するので、そこは非常に重要ですよというお話をよくしていますかね。
ということで、ちょっと時間が来ましたので、今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。