森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、販売チャネルの設計についてお話をしていきたいと思います。
この販売チャネルの設計なんですが、われわれの事業そのものが販売チャネルの設計とその実装なので、われわれのコアみたいなもので。われわれは日本の製造業のグローバル・マーケティングをさらに進化させていくためには、この販売チャネルの再設計が非常に重要だという信念のもと、この販売チャネルの設計とその実装だけに特化した事業を今、展開をしているわけなんですが、もう少しこの販売チャネルの設計がなぜ重要なのかということについてお話をしていきたいなというふうに思います。
そもそも、われわれの会社はこの販売チャネルの設計とその実装をASEAN、インド、中国などのいわゆるアジア新興国市場を中心に、中国はもう新興国じゃないかもしれないので、もう少し踏み込んで言うと、北米とヨーロッパ以外のその他地域でそれを展開していますよと。特にやっぱり過去20年、25年の中で多いのが、ASEAN、それからインド、中国という、この地域になるので、ここで9割ぐらいあるのかなと。その他、アフリカとか中東とか南米とかありますけど、ほとんどはそのエリアですと。基本的には販売チャネルの設計なので、100%製造業が対象になると。サービス業は関係のない話なのかなと思います。製造業で、うちの場合はB2Cの消費財、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーが8割ですね。B2Bが2割ぐらいで。B2Bってなぜかって言うと、ネジをつくっている会社から、部品をつくっている会社、完成品をつくっている会社、その完成品を製造する、もしくは部品を製造する装置をつくっている会社って、多岐にわたるんですよね、B2Bって。なおかつB2Bの製造業って、日本のこの企業しかつくれないみたいな製品というのがたくさんあって、意外に販売チャネル云々というよりかは、もう製品優位性云々で結構いけてしまうというインダストリーもあったりするんですよね。なので、B2BよりもB2Cが増えるというのはそういうこともあるし。あと、B2Cって、食品だろうが、飲料だろうが、菓子だろうが、日用品だろうが、売りたい場所はスーパーだよね、コンビニだよね、もっと言うと近代小売だよね、伝統小売だよねということで、非常に共通事項が多いので、8割がB2Cになるというのはそういうことなんだろうなというふうに思います。
この販売チャネルの設計のお話なんですが、僕がこの長年この仕事を通じて見てきた中でね、やっぱり日本の消費財メーカーのシェアが上がらない最大の要因はこの販売チャネルの脆弱性にあるというファクトを持っていますと。僕は、この現実をベースに日本の消費財メーカーがより良い販売チャネルを構築できれば売上はさらに伸びていくはずだという強い信念のもと、この事業をやっているわけなんですけど。そのときにやっぱりこの販売チャネルの設計ってめちゃめちゃ重要で、料理で例えるとレシピみたいなものなんですよね。なぜ設計が重要かって言うと、客観的に合理的にシェアを上げられる構造をつくっていくということなんですよね。なおかつそれが再現性を持ってつくっていくというのがこの設計で。一方で、日本の消費財メーカーに多いのは、偶発的にそういう販売チャネルになったとか、もしくは属人的にそういう販売チャネルになっているとか、そういう設計されたものではなくて、気づいたらそうなっていた。多くは属人的にそれがつくられている。なので、当てる確率が、成果を出せる確率が低いということはもちろんなんですが、万に1つ当たっても再現性がないんですよね、レシピがないので。なので、他国に横展開できないとか、この国では良かったんだけど他の国では駄目だとか、この人が辞めたら急激に売上が下がるとか、理由はよく分からないんだけど、なぜか1カ国1ディストリビューター制になっているとか、ディストリビューターにそっぽを向かれたら売上がガクンと落ちるとか、非常にアンコントローラブルな要素がたくさんひしめいている状態。このことが徐々に、僕はこの20年で浸透していっているんだろうなということを日々感じます。
特にここ6年7年ぐらいで販売チャネルの再構築の仕事って非常に増えているので、再構築必要だよねと。そのときにチャネルをやっぱり再設計していかないといけない。今までの設計は設計じゃないんですよね。ただつくっていったと、設計図なしにただつくっていきましたと。だから、それは属人的に見よう見まねでつくっていったので、ある部分は合っていて、ある部分は間違っていてみたいな。じゃあ、どこが合っていて、どこが間違っているの? 何が足りていて、何が足りていないの?みたいなところをもう1回ゼロからつくり直していく。そのときに重要になってくるのが競争環境だったりするわけですよね。シェアを上げるっていうのは、他人からシェアを1%奪うから自分のシェアが1%上がる話であって、勝手に自分が頑張れば1%上がるという話ではないですよね。常に競争環境にさらされながらシェアというのは上げていく話なので。まず敵の設計図をしっかりと可視化しないと、自分たちがどういう設計をしていいかなんていうのは分からないわけなんですよね。この販売チャネルの設計をひたすらやっていくというのがわれわれの仕事で。もちろん設計を書いただけではなかなか最近は許してもらえません。許してもらえませんというか、成果が出て初めてわれわれの価値が顕在化すると思っているので、その設計の実装までをご支援しているというのがわれわれの会社で。
なので、そんなにたくさんのお客さんの設計と実装はできないので、非常に限られたお客さんと、それこそ10年以上の関係を築きながらチャネルを強化していくということをやっている非常にニッチな会社なわけですけど。でも、やっぱりこの日本企業にとって販売チャネルの設計というのは本当に重要で、今、自分たちのチャネルの設計が本当に正しいものになっているのか、どういう進化を遂げてきているのか、競合と比べてどうなんだということがまったく分からないままアジア新興国で事業を進めるって、こんなに危険極まりないものはなくて。結局それ、駐在員がそこに気づいて、それを改善しようとするんだけども、4年5年で帰任になり、改善が。やっぱり4年5年でね、なんとなくそういうことに気づいて、「さあ、いざ改善かな」と思ったら帰任になって、それを繰り返し何十年って続けてきているので、基本的に大きな進化ってないんですよね。でも、やっぱりセンスの良い会社は、そこをしっかり理解をして再設計をしていく、そして再実装をしていく。これは別にね、今あるディストリビューションを崩しましょう、壊しましょう、やめましょうということじゃなくてね、そこを生かしながらどう再構築していくかという話なので。本当に製造業の皆さんは、この販売チャネルの設計、再設計、これをしっかりやっていくということが非常に重要ですし、それをいかに実装していくかということもまた重要なので、今後、アジア新興国市場で商品を売りたいって思ったときに、良い商品を開発するなんて、正直、一番上じゃないんですよね、プライオリティとして。もう皆さん、十分良い商品を持っていて、その良い商品をさらに良い商品に仕上げていくということよりも、より良いチャネルを設計するということのほうが圧倒的にシェアにつながるし、マーケットは、消費者はそれを望んでいるというふうに僕は理解をしていますということで、販売チャネルの設計は重要ですよというお話でございました。
皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。