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タイ市場 ”日本“だけでは高くは売れない

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、タイ市場攻略のキーサクセスファクター、最後の1つです。価格設定についてお話をしていきたいと思います。対象インダストリーは前回同様、日用消費財、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCGが対象になります。

この価格設定、総じて日本の消費財メーカーの商品は、プレミアム、高品質、金額はちょっと高めと。めちゃめちゃ高めじゃないんだよね、ちょっと高めと。もちろん消費財なので、めちゃめちゃ高いというのはそもそもFast Movingにならないのであり得ないんだけども。このちょっと高い、日本だからというのがね、結論から言うと、なかなか通用しなくなりつつあるというか、なってきていますよと。僕は、1円でも高く売ることは非常に重要で、安くして売れるんだったら、これは誰にでも売れる話なので、基本的には1円でも高く売るということは非常に重要ですと。ただ、この高い理由をどれだけ消費者の頭や心に浸透できるかということが、これがまさにマーケティングなわけですよね。ここの努力を怠って、ただひたすら自分たちの商品はプレミアムだから高いですっていうのは、やっぱりもう残念ながら通用しなくなってきていて。中国や台湾やアジアのお菓子でも十分美味しいし、なんなら日本語パッケージをちょっとつけてね、「日本のお菓子」みたいな見せ方をしているような、こういうアジアのメーカーだってすでにあって。「これはなんかずるいね、偽物だね」って思うかもしれないですけど、日本のお菓子もよく見てもらったら分かる通り、英語のパッケージいっぱい、英語をいっぱい書いてあるわけですよね。これを、じゃあ、アメリカ人やイギリス人が見たら、「うわー、偽物」って思うのかって言ったら、そうじゃないのと一緒で、そういう世界になってきていて。その中で本当に、じゃあ、この1円高い…、1円高いってことはないのでね、数十円高い、数十%高い、この理由をしっかり消費者に浸透させる、これがやっぱりものすごく重要で。

スライドをちょっとお願いします。高い理由を浸透させるということで、「日本だから高い」はもはや通用しないですよということと、あと、高品質以外の優位性を見出すということ、これね、FMCGに限ってじゃないんですけど、世界の先進グローバル企業は、ブランドが浸透する、しかも高い、良いイメージで、高級なイメージで浸透する。じゃあ、本当にそれはプレミアムで高級なのかって言うと、そんなことないんですよね、原材料を紐解いていくとね。そんなに…、いや、悪くはないですよ、悪くはないんだけども、そんなに言うほど、人々の頭にイメージされるほどこのシャンプーは高級?って言ったらそうじゃないんだけども、そういうイメージが定着している。このチョコレートはあたかも手作りのようなね、パティシエが手作りでつくっているようなイメージを持ってしまうけども、実はもう工場、人はほとんどいないとかね、そういうイメージがすごく重要で。本当に品質を磨くということって、ある一定のレベルまで来ると、もうそこから先は価値に転換しにくいんですよね。ビジネスですから、もちろん良いものをちゃんと出す、売るということはすごい重要なんだけども、良いものを出してもそれが伝わっていなかったら、ここから先のこの高品質の差をしっかり伝えて分かってくれる消費者がいるんだったら、その先の品質を磨けばいいけど、それを分からせる努力もしないし、もし分かってくれる消費者がいないんだとすると、別のところで高品質をイメージさせるというところに自分たちのマーケティングのアクションを変えていかないといけない。これが1円でも高く売る努力だと思うんですよね。

次のスライドをお願いします。日本だから高いはもはや通用しないということで、プロダクトとプライス、これ、顧客側に立ってみると、プロダクトって顧客にとっての価値はどうなの?と、日本の品質とか日本の技術とか日本の人気とかね。一方でコスト、タイの所得や他社比較、そもそもの価値みたいなものを考えると、やっぱりコストは絶対重要なんですよね。とにかくプロダクトなんていう市場ではないので、このバランスが不均等だとやっぱり入らないですよね。CPなんかに入れてもらうときに、セブンなんかに入るときに、やっぱりセブン側で「この商品はこの価格帯でないと売れないだろう」というシミュレーションをめちゃめちゃやってくるので、「そこに合わせられますか、どうですか」ということで、合わなかったら取り扱ってくれないんですよね。その出てくる価格がめちゃくちゃなんか、「とにかく値段を安くして」というような話じゃなくて、非常に客観的に合理的なシミュレーションに基づいて金額を出してくるので、それをロジックで返せないと、やっぱりなかなか難しい市場ですよと。

次のスライドをお願いします。高品質以外の優位性を見出すということなわけですけども、ターゲットは絶対的に中間層です。FMCGなので、これは数売ってなんぼですよね。消費財、数売ってなんぼと。タイの消費者にとって良いプロダクトは何なのか。コストは相対的な価格の設定。他社が100で売っているのに、自分は200で売るって、じゃあ、この倍高い理由は何なの?って。倍って極端だけど、じゃあ、他社が100、自分は130。じゃあ、この30高い理由を明確に顧客の心に浸透させられなかったら、それはなかなかやっぱり難しいですよね。相対的なチャネルの優位性、ここは非常に重要で、タイの場合は小売と直接しっかりとやっていく。チャネルの全体設計、戦略設計がものすごく重要で、ここはしっかりとやっぱり組み立てないといけない。あと、最近だとSNS主導のプロモーション、これをどうやっていくかということもしっかり見ていかないといけない。1円でも高く売りたければ、1円でも高く売る努力をするということなんだけども、コストを一番上に持ってきた、赤字のところ、高く売りたいということがあるんだとすると、じゃあ、カスタマーバリューは高くに見合った価値の提供がやっぱりしっかりできないといけないし、顧客の利便性を考えると、相対的に強いチャネルの構築、これもやっていかないといけない。最初弱いのに、最初から高くする必要なんてなくて、市場に浸透したら、じりじり値段上げていけばいいんですよ。日本のメーカーはこれを嫌がりますけど、先進的なグローバル企業は先に市場占有率を獲って、そのあとじりじり中間流通マージンを絞って小売価格を上げていくということはざらにやっていますから。まず面を獲るということはすごく重要。あと、顧客コミュニケーション、なぜ高いのかの訴求、認知、納得、そして好意を持つという、ここがしっかりと確立されないと、やっぱりただ日本なので高いですというのはなかなかもはや通用しないですよというのが現在のタイの小売市場ではないかと思います。

今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。