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【対談】グローバルの流儀

グローバルの流儀 フジサンケイビジネスアイ紙 特別対談シリーズ『グローバルの流儀』は、弊社代表の森辺がグローバルで活躍する企業の経営トップにインタビューし、その企業のグローバル市場における成功の原動力がどこにあるのか、主要な成功要因(KSF)は何かなど、その企業の魅力に迫る企画です。本企画は2015年にスタートし、今年で9年目を迎えます。インタビュー記事は、新聞及び、ネットに掲載されています。


Vol.8 日本企業が世界で成功するには「情報」が必要不可欠

ユーロモニターインターナショナル カントリーマネージャー(日本代表) 鈴木 健太郎 氏

データを駆使をして営業力からマーケティング力に転換

森辺: まずは、御社の事業内容について教えていただけますか?

鈴木: 私どもはグローバルなデータを扱う市場調査の会社でして、特に海外市場戦略に役立てていただけるようなデータや分析結果を提供しています。 28産業、4000製品カテゴリをカバーしており、世界80カ国に現地調査員を配置しています。

森辺: 日本のメーカーはあまりデータをしっかり分析して戦略を立てず、製品力と営業力でグローバル展開を突っ走るような印象がありますね。

鈴木: 日本のメーカーの強みは、何と言っても、製品やサービスの質の良さです。 とはいえ、新興国においてはそこまでのスペック、なおかつ価格が高いものが必要だとは限りません。 だからこそデータを駆使をして現地のニーズを的確につかみ、営業力からマーケティング力に転換するべきだと言えます。

グローバルな企業はマーケティングや戦略立案において、細かい数字などにこだわらず、 大局をつかんで素早いマーケティングアクションを起こしています。 このような動きを見ていると、日本企業には大局的に物事を見る視点やスピード感が不足していると感じますね。

日本市場と並行して海外市場にも目を向ける戦略を!

森辺: 御社は流通チャネルについてどのようにお考えですか?

鈴木: 商品によってどのチャネルが好まれるかを把握することは非常に重要ですよね。 また、同じ東南アジアを見ても国によってチャネル事情は大きく異なるため、国ごとに現地のニーズを捉えた戦略を立てることが重要になります。

グローバル企業は積極的な研究により、自社に最適な流通チャネルを開拓しています。 日本企業では、日本と海外で同じ製品を並行して展開するというケースはなかなか見られませんが、 今後はそういう発想にならなければ、新興国の市場でシェアを握っていくのは難しいのではないでしょうか。

森辺: 最後に、今後の事業展開についてお聞かせいただけますか?

鈴木: 今後は日本市場と海外市場を並行して展開する戦略のためのデータや調査の重要性を訴えていきたいと考えています。 また近々、学校・病院・オフィス・軍・刑務所などの新たなカテゴリーでのデータの提供を開始。 それ以降も、時代の流れに応じた市場データをグローバルに提供していく予定です。 日本の企業が海外で成功する一助になることができれば、本当に、それが我々の存在意義だと考えています。

ゲスト

鈴木 健太郎

鈴木 健太郎 (すずき けんたろう)

ユーロモニターインターナショナル カントリーマネージャー(日本代表)

Kentaro Suzuki, Euromonitor International

1974年、静岡県生まれ。米ユタ州・ウィーバー州立大学マーケティング学専攻。米系金融印刷会社において、企業の上場・資金調達のための情報開示関連業務に携わった後、2008年ユーロモニターインターナショナル入社。シンガポールでの勤務と並行して、ユーロモニターインターナショナル東京オフィスの立ち上げを担当。日本企業の海外進出・事業拡大に関するコンサルティング営業において、多くの実績を挙げ、2014年より現職。

インタビュアー

森辺 一樹

森辺 一樹(もりべ かずき)

スパイダー・イニシアティブ株式会社 代表取締役社長
法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 特任講師

Kazuki Moribe, SPYDER INITIATIVE

1974年生まれ。幼少期をシンガポールで過ごす。アメリカン・スクール卒。帰国後、法政大学経営学部を卒業し、大手医療機器メーカーに入社。2002年、中国・香港にて、新興国に特化した市場調査会社を創業し代表取締役社長に就任。2013年、市場調査会社を売却し、日本企業の海外販路構築を支援するスパイダー・イニシアティブ株式会社を設立。専門はグローバル・マーケティング。海外販路構築を強みとし、市場参入戦略やチャネル構築の支援を得意とする。大手を中心に17年で1,000社以上の新興国展開の支援実績を持つ。著書に、『「アジアで儲かる会社」に変わる30の方法』中経出版[KADOKAWA])、『わかりやすい現地に寄り添うアジアビジネスの教科書』白桃書房)などがある。