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【連載】日本企業とグローバル・マーケティング

本コラムは、日本企業とグローバル・マーケティングを様々な観点で捉え、日本企業がグローバル市場で高いパフォーマンスを上げるための方策を具体的に指南する連載シリーズです。


Vol. 90 Q&A 新興国で成功するために最も重要なこととは?

今回も私がセミナーや、YouTube番組、Podcastなどでよく頂く質問についてお答えしていきたいと思います。

<質問>

日本の消費財メーカーが新興国で成功するために最も重要なことは、なんなのでしょうか?

<回答>

「中間層が求める商品を、中間層が賄える価格で、中間層が買いやすい売り場に並べ、中間層が選びたくなる仕掛けをする」ことです。これにつきます。消費財メーカーにとって、ターゲットは中間層です。日本国内の市場でターゲットが中間層でないのであれば話は別ですが、そうであるのであれば、新興国でも同じです。

「中間層が求める商品を」…必ずしも高品質とは限りません。必ずしも日本で売れているものとは限りません。一部の訪日客と、新興国の中間層が求めるものは異なります。日本人にとっての良いモノを押し付けてはいけません。

「中間層が賄える価格で」…買える価格ではダメです。誰でも一度や二度は買えます。重要なのは、賄える=つまりは、彼らの生活の中に取り込める価格です。新興国の人たちは、先進国に比べて各家庭の貯えが少ない。つまりは家庭のキャッシュフローが少ないのです。それを加味して賄える価格設定をどう実現できるのか、商品の材料はもちろんのこと、グラム数、入り数、パッケージから考えなければなりません。

「中間層が買いやすい売り場に並べ」…近代小売(MT)はもちろんのこと、伝統小売(TT)を含めて商品を配荷する必要があります。多くの新興国市場では、まだまだ伝統小売が主流です。この伝統小売の攻略なしに新興国の攻略はありません。

「中間層が選びたくなる仕掛けをする」…並べることは物理的な話なので、ある一定の条件を満たせば実現可能です。しかし、一旦、小売に並んだら、それは競合の隣りに並ぶということ。そのような状況下で消費者に選んでもらえるかは、PRやプロモーションという仕掛けが必要なのです。

これができれば、新興国で必ず成功できます。余計なことをせず、これだけをひたすら突き詰めていけばよいと言っても過言ではありません。