森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、アジア新興国市場に参入をする、もしくは再参入をするときの戦略構築における前提条件についてお話をしていきたいなというふうに思っております。
この前提条件なんですけど、参入戦略を立案していくときに前提条件があるというのは、多くの場合、いろんな制約があって然りだと思うので、前提条件がありますと。われわれもお客様から参入戦略の立案を依頼されたときに前提条件を出されるわけですけども、この前提条件って、僕、「良い前提条件」と「悪い前提条件」があると思っていて、良性と悪性みたいなね。いつも考えるのは、この前提条件が本当に良いのかどうなのか、悪い前提条件になっていないかということを非常に考えるようにしていて。なぜならば、「悪い前提条件」ってそもそも戦略を殺してしまうので、前提条件ってものすごく重要なんですよね。
例えばなんだけども、前提条件としてよくあるのは、この製品を売らないと駄目だとか、この製品でないと駄目とか、仕様は変えられないとか、組む相手はこの会社とか、ターゲットはこの層であるということが決められているんだけども、そこが当たり前のように、もう確定前提事項として進んでいく。こういう前提条件がね、「良い前提条件」って僕が最初に冒頭に言ったのは、構造的理由がしっかりそこにあるかどうかということがすごく重要で、変えない理由がちゃんと説明できるかということ、変えた場合、どういう損失が明確に出るのかということがしっかり説明できないと、やっぱりそれは何なんですかと、結局、過去そういうふうにやってきたから、その延長線じゃんとか、社内政治とか感情に左右されるものなんですかとか、あまり考えないで思考停止してしまっている結果、ここは変えないみたいな、そういう話なんですかというようなことって結構あって、今までもこれでやってきたからとか、いや、それ新しく開発するの面倒くさいからとか、いや、上が決めたことだからみたいなことで確定してしまっているケースって意外にあって。大手企業に行けば行くほど、上が決めたのでみたいなね、そういうことは結構あって。上に行けば行くほど新興国市場のことをよく分かっていないので、別の観点でそれを決めていたりするんですよね。
でも、それを市場に当てはめてみると、この前提条件があるとこのロジックは成り立たないとかね。例えば分かりやすく言うと、うちはプレミアムだと、高品質だ。なので、富裕層を狙ってくださいと、消費財メーカーで。でも、100億やるんですという。これは前提条件ですよね。汎用品はつくりませんと。FMCGなのに、Fast Moving Consumer Goodsなのに、プレミアムですと。富裕層を狙ってください。高級スーパーを狙ってくださいと。商品はこれですと。日本で売れたこのプレミアム商品ですと。例えばね。なんだけども、アジア新興国の最大の魅力は中間層で、この中間層の数があるからアジア新興国を狙う。結局、それっていうのは、流通チャネルで言うと、伝統小売の攻略がめちゃめちゃ重要になってくると。そうすると、高付加価値の近代小売の中でも非常に高級スーパーしか狙わないと、100億なんて、これは数売れないからいかないんですよね。だから、構造的にそれは説明できないこと、例えばこういうこと。これって、もうそもそも前提条件が悪性なわけですよね。自分たちの商品はプレミアムだから、新興国市場で高級スーパーを狙ってくださいと。でも、高級スーパーは3チェーンしかありませんと。その合計店舗数は35店舗ですみたいな。そこで100億どうやってやりましょうかみたいなね。こういうお話になっていくということなので、基本的に前提条件がついている参入戦略というのはね、本当にこの前提条件が良性なのか悪性なのかを参入戦略を考える前にしっかり確証を持つということがすごく重要で。もうね、思い込んで、「いや、もう上が言っているのでこれで」って、思い込んで進んでいる場合があるのでね。なので、それが違う場合にはやっぱり「それは違いますよ。こうこうこういう理由で」というふうに上に提言をしていかないといけないので、この前提条件というのは非常にトリッキー、重要であるというお話でございます。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。