森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日は…。今日もか。今日も、先日の弊社の『SPYDER Global Marketing Conference 2026』の中で、埼玉大学の副学長、経済学部教授の井原基先生のお話、先生が去年出されたご著書があるんですが、『アジア新興国チャネル戦略論』、当日皆さんにもお配りしましたけど、この本の中の話でもあるんですけど、当日井原先生のスライドの中で私がすごくちょっと気になったフレーズがあったので、そのことについて今日はちょっとお話したいなと思います。
チャネルに関してなんですけど、井原先生が「チャネルは「表」の中の「裏」の部分がすごく重要だ。実務的にもチャネル(販路)の構築は新興国マーケティングの大きな課題になっていますね。しかしながら、チャネルには光が当たりにくく、その実態もなかなか見えにくい」と、こんなふうに言っている。これはまさにその通りだなと思っていて、チャネルって「表」に見えている部分とその「裏」の部分と両方あって、「表」に見えている部分よりもむしろその中の「裏」の部分がすごく重要で、シェアを上げるとか、売上を上げるとか、ストアカバレッジを上げるとか、セルアウトを伸ばすみたいなところにおいてね、このチャネルって「裏」の部分がすごい重要だなと。
基本的に今、日本の企業の海外展開において、特にB2Bはね、もうこれはいろんなものをつくっているわけですよね。ネジつくっている会社から、部品、製品、完成品、装置、さまざまなので、これはやっぱり日本企業しかつくれないみたいなものもあるのでね、海外展開、一概に弱いとか言えないんですよ。強いところは強いし、弱いところは弱いしと。ただ、チャネルに課題があるという企業もたくさんあるし、必ずしもチャネルだけに課題があるかというと、そうじゃなかったりもするんですよね。一方で、B2Cに関してはもう圧倒的にチャネル、シェアが伸びない理由、4Pで考えたときに、4Pとか4Cで考えたときにね、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション、プロダクト、製品が問題なのか、プライスが問題なのか、プレイス、チャネルが問題なのか、プロモーションが問題なのか、これで考えたときに、もう圧倒的にチャネルなんですよね、B2Cは。B2Bはチャネルだったとしてもね、これはB2Bもチャネルなんですよ、問題は、弱いのはチャネル。なんだけども、B2Bはこのプロダクトが圧倒的だっていうこともあるわけですよ。例えば東京エレクトロンみたいに、東京エレクトロンしかつくれない半導体製造装置とかね、レーザーテックみたいな、レーザーテックしかつくれない半導体検査装置とかっていうものも例えばあるわけですよ。こんなのチャネルがどうだろうが何だろうが、その企業しかつくれなくて、世界が求めていたら売れるわけですよね。でも、一方でB2Bでも商品に関しては中国とか台湾の企業、韓国の企業とほぼほぼ性能や品質は変わらなくなってきたと。プライスは向こうのほうが安いと。プロモーションはB2Bなので、どうしたことかと。一方でチャネル、そんなことは考えたことないみたいな。こういう企業を見ていくと、いやいや、そもそもディストリビューション・ネットワークというか、販売チャネル網が全然脆弱じゃないですか、競合に比べて。だから、売れないんですよと。売れないからたくさん生産できない、たくさん生産できないからプライスが下げられない、たくさん売れないからプロモーションにも投資できないという、こういう4Pの全体最適化をしていくという、こういうケースがあるわけですよね。
B2Cの場合は、圧倒的にプロダクトはいい、これは皆さんいいんですよ、ほとんど。独自のプロダクトを持たれていて。プライスに関しても、装置産業的なところはありますからね、手づくりで日用品や消費財、日用消費財つくっていませんから、基本的に工場装置の償却は終わっていたりするのでね、実は日本でつくるのが一番安いんじゃないの?みたいな産業、インダストリーだってあるわけですよ。カテゴリーだってあるわけなんですよね。そうすると、プライスも頑張ったら自己努力でどうにでもなるし、逆に言うと安く売ることが絶対的に正しいかというと、そうじゃないという考え方だってできるわけですよね。もっと高く売るという。一方で、じゃあ、何が問題か、プロモーション、次、プロモーション。プロモーションに関しては、チャネルが成熟してないのに、プロモーションをいくらかけたって、これはもう砂漠に水を撒くようなものなので全く意味ないですよねと。そうすると、やっぱりチャネル、プレイスのチャネルのところが圧倒的に遅れていて。これはどういうふうに具体的に遅れているかというと、例えばディストリビューターと直販経由、ディストリビューター経由のこの比率がおかしいとかね、おかしいというか、自分たちの戦略に応じてなので、直販にしてしまっているから隅々までストアカバレッジが伸びていない、配荷が伸びていないということもあるし、その逆も然りだし。あと、そもそも使っているディストリビューターが弱過ぎる、数が足りなさ過ぎる、その先の二次店まで把握してなさ過ぎるとか、管理育成ができてなさ過ぎるとか、KPIの設定がまず過ぎるとか、いろんな要因があって。こういうところにやっぱりこれからどんどん、どんどん、光が当たっていかないと、日本のB2Cのメーカーの今後のさらなるグローバル展開ってなかなか難しいですよ。日用消費財にこの企業しかつくれないなんていうのはないですから。なかったらないで済んでしまうものしかないんですよね。この商品がないと絶対困るなんていうのはもうなくて。例えば日本人にとっての醤油、これは困るかもしれない。ただ、海外に行ってね、醬油がなかったら困るかって、困らないし、中華醤油もあるしみたいな話もそうだし。醤油じゃなくたって、お菓子でそうですよね。このお菓子がなかったら困るか。この食品がなかったら困るか。そんなことはないので、代替品が必ずあるはずなので。棚に並んでなければないと一緒ですよね。特にシャンプーとか石鹸とかリンスとかコンディショナー、側のパッケージ、ビリビリって剥してしまったら、中は透明から白のボトルなので何が何だかよく分からないわけですよね。そんな中で戦っていくということは、本当にチャネル戦略ってすごく重要で。
井原先生のこの間の講演の中でもね、チャネルには光が当たりにくく、その実態もなかなか見えてないと。なので、僕は本当にチャネルの設計思想を持つということからまずは日本のB2Cの企業は始めないといけなくて、どういう思想、どういう設計思想を持つべきなのか、そのためにはやっぱり競争環境を可視化する、敵がどういうチャネルで戦っているのかというところが基準値になって、自分たちのチャネルをどうするべきかということが決まってくるので、自分たちがどうやりたいかじゃないんですよね。もしくはどう日本でやってきたかじゃなくて、敵がどうしているかということがやっぱり僕は1つのベース、基準値の考え方になるんじゃないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。