(東さん)
こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
(森辺さん)
こんにちは。森辺一樹です。
(東さん)
今日はどこからお送りしているのかを皆様にお伝えください。
(森辺さん)
今日は上海から番組をお送りしております。
(東さん)
上海は久しぶりですか?
(森辺さん)
そうでもありません。
訳あって武漢にいたのですが、昨日上海に来て、これから東京に戻ります。
その前にホテルの一室で収録しております。
話は変わりますが今日は羽田ですか?
(東さん)
成田です。
最近森辺さんの所へ来る中国からの相談の量は増えていますか?減っていますか?
(森辺さん)
依然、中国は多いです。
確かに広東省は材料加工の工場が沢山撤退していますが、基本的にこちらではやっている企業は更にやっていきます。
むしろ日本の駐在員を返して更に現地化を進めるというステージではないかと思います。
(東さん)
昔から現地化と言われていますが、中国でも話題に上る一つです。
現状として森辺さんの肌感では、日本企業の現地化はどこまで進んでいると感じますか?
(森辺さん)
10年程前は、基本的にこちらの総経理は日本人でした。
以下上位5位まで全部日本人が占めていて、そこに日本人並みに日本語が喋れる中国人が一人いるという感じでしたが、ここ最近は総経理を中国人に変えている企業もたくさん増えてきました。
基本的に中国に限らず、日本人の駐在員がいつまでもいて業務をすることは、ローカル相手にビジネスをするのは物理的に無理です。
日本人が出来る事は本社との間を持つぐらいの話です。
生産に関しては別ですが、販売ではいくら中国語ができる日本人が商談に行っても、できる範囲は限られます。
そういった意味でも中国人による現地法人の組織化がますます進んで良いと思います。
(東さん)
ローカルを相手にというお話がありましたが、中国の小売も日系はある事はあります。
ここ上海でも久光百貨店や高島屋など日系スーパーも小さな所はありますが、やはり市場的には中国企業のローカルの小売が幅を利かせています。
そういった小売市場への日本企業のアプローチは、今進んでいるのか、現状を簡単にリスナーの皆様にお知らせ頂ければと思います。
(森辺さん)
基本的に小売市場の大手は中国系です。
日系の消費財メーカーさんの場合は小売への直販がなかなか進んでおらず、代理商、ディストリビューター経由が中心です。
(東さん)
東南アジアでよく言われるMTとTTの比率は中国ではいかがでしょうか。
(森辺さん)
中国では60~65%がMTで、35~40%がTTで、いわゆるお母さんがやっている売店のような所です。
(東さん)
MTが著しく進んでいるマーケットなのですね。
小売もそれなりに中国系企業が幅を利かせているとすると、それなりに店舗を持っているということになりますね。
(森辺さん)
桁違いです。
コンビニでも1社当たり何万店舗、スーパーやドラッグストアでも何千店舗もあり、それがまだまだ伸びています。
なぜMT化が進んでいるかというと、国のインフラが整ってきているからで、小売だけ勝手にMT化することはありません。
物流インフラ、道路インフラ、鉄道インフラなど、いろいろなインフラが整って、初めて小売がMT化することができます。
ご存知の通り中国は一気にインフラが整ったので一気にMT化が進んだということです。
(東さん)
現状の日本企業はディストリビューター経由でやっていて、片や東南アジアでグローバル先進企業としてよく森辺さんが取り上げられますが、MTにどのようにアプローチをされているのでしょうか。
(森辺さん)
当然グローバル先進企業は直販をしています。
なぜ日系は現地に法人があって中国人社員も抱えていながら直販しないのか、すごく不思議です。
我々も中国系の小売に行くと日系企業が直販をしに来たと驚かれ、「代理商を噛ますんだろ?」と言われます。
そういう意味ではまだまだ遅れています。
遅れている要因は、戦略的に直販は難しいと感じる部分もありますし、支払いに関して代理商を噛ませて、そこに責任を押し付けたいと言う考えだと思うのですが、基本的に代理商より小売の方が大きく、キャッシュも回るので言い訳に過ぎません。
先進企業が直販しているのですから、日系ももっともっと直販すべきだと思います。
(東さん)
10年前の2000年代では中国企業からの資金回収が一つ問題になっていました。
そういった話はゼロではないけれども、著しく改善されているということでしょうか。
(森辺さん)
10年前に比べたら圧倒的に改善されていて、中国企業は普通にお金を払ってきます。
(東さん)
金払いが良くなったのですね。
(森辺さん)
お客様に「中国企業からの人民元の振り込みはありましたか?」と伺って、「期日の1週間前にあったよ」と聞くと金払いが良いなと感じます。
私も金払いが悪いのは分かっていたので、商売したはいいが、金を払わないんじゃないかと最初はドキドキしていました。
(東さん)
戦略としてまず代理商を使うのか、ディストリビューターを使うのか、直販にするべきなのかを決めるということですね。
(森辺さん)
そうです。
その上で減俸があって現地でセールスがいるのであれば、直販をする事は重要です。
直販をしてみてキャッシュフローや手間の問題を考えた時に、圧倒的に代理商の方が良いと言うのであれば良いのですが、エリアを分けるべきです。
上海に法人があって、河東地区に関しては直販をする、河南に関しては代理商を使うというロジックがあると思いますので、使い分けるのが良いと思います。
(東さん)
分かりました。
今日はここまでにしたいと思います。
森辺さんありがとうございました。
(森辺さん)
ありがとうございました。
本日のPotcastはいかがでしたか?
番組では森辺一樹への質問をお待ちしております。
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沢山のご質問をお待ちしております。
それではまた次回お目に掛かりましょう。
「森辺一樹のグローバルマーケティング」この番組はspyderグループよりお送り致しました。