小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林マアヤです。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん。本日のPodcastの内容なんですけども、前回に引き続き、「Podcast500回記念セミナー」、弊社で行ったセミナーで、第2部ですね。徹底討論ということで、明治大学大石教授と森辺さん、ナビゲーターが東さんということで、こちらの第2部で出た質問について
森辺:質問ね。引き続きね。
小林:はい、引き続き
森辺:東さん、前回出たんだけどまた居なくなっちゃったね。また忙しいの?
小林:忙しいですね。
森辺:忙しいんですね、あいつはね。しょうがないね。じゃあ小林さん、ウェルカム・バック!
小林:はい、ありがとうございます。じゃあお願いいたします。早速質問なんですけども、アリババ・テンセントのような、大きな経済圏を持つ企業は今後増えていくのか?
森辺:ありましたね。
小林:また、その中で製造業はどのような戦略を持ち生き残るべきなのか?という質問です。
森辺:非常に難しい質問なんですよね、これ。非常に大手の消費財メーカーさんからあった質問なんだけど。すごく難しい課題、誰も見たことのない未来を予言しろと言われてるような感じなんだけどもね。何が言いたいかっていうと、アリババとかテンセントがどういう企業かってのは、説明しなくてもこの番組のリスナー皆分かってると思うんだけど、中国なんかは、こういったインターネット・eコマースの会社が大きな経済圏を持つようになってきてて。その中で、製造業ってどんな戦略を持って生き残るべきなの?って、何を言おうとしてるのかっていうと、このアリババとかテンセント、アリババ、タオバオが持ってるT-mall、これが所謂中国流通の5割とかを牛耳っていて。T-mallで売れなかったら、その商品は無いのと同じぐらいの意味合いを、大きく持つわけだよね。日本だとまだeコマースで売れる商品なんてのは10%にも満たないとかって言われてるわけから、まだまだな規模なんだけども。そのアリババグループのT-mallなんていうのは、独身の日一日の売上げが楽天の一年間の売上げに匹敵するとかっていう、そういう世界なんでね。言ったら、顧客が持ってるのは、アリババやテンセントのようなインターネット企業であって。逆に言うと、彼らが、自分たちは顧客を持っていて、顧客の膨大なデータを持っていて、市場が何を求めて、消費者がね、どういう購買行動で何を買ってるかってのが全部分かってるわけで。逆に、価値の源泉が、作ることよりも売ることの方に移行してる世の中なわけでね。メーカーなんて誰でもいいわけですよね。市場場チョコレートを求めてる。こういう味の、こういうチョコレートを求めてる。「じゃあ、チョコレートメーカーさん、これ作って。私たちが売ってあげるから。」って言われたら、メーカーとしては作らざるを得ないわけですよね。一昔前だと、そのメーカーしかチョコレートを作れなくて、メーカーがチョコレートを作って、それを売るっていうよりもその物の方に、作る方に力の源泉が大きくあったので。逆に言うと、メーカーってのは、常に、所謂オフラインのリアルの小売店とかに、所謂問屋さんに売らせてやっている。口ではそんなこと言いませんよ。売っていただいてるっていうわけですけども、リアルのオンラインが出てこない時代には、メーカーってのは常に流通に対して「売らせてやっている」だし、小売りに対しても「売らせてやってる」のスタンスなわけですよ。もちろん「売っていただいてる」って、表面上はね。けど、メーカーがなんだかんだいって強かった。けど、インターネットの世界になってくると、その売れてる量もまた膨大になってきていて、さらにデータを持つようになったっていうね。オンラインeコマースがデータを、事細かな購買データを持つようになったってのが、やっぱりものすごく大きなことで。そこに対して、メーカーのポジショニングというか価値が、言ったら、低下してるわけですよね。だって、そんな、T-mallみたいに5割売れてるんだとしたらね。ガム作ってるA社B社C社D社とあった時に、「もうA社B社C社は気に入らないんで、うちでは取り扱いません」と。「D社とE社のだけ取り扱います」って言われたら、結局消費者が何言ったって、D社とE社のガムばっかり食ってたら、もうD社とE社のガムがデファクトスタンダードになってっちゃうわけだし。特にコモデディになればなるほど、「絶対この商品じゃなきゃだめ」みたいなものでない限り、もう無理なわけですよ。A社の商品だろうがB社の商品だろうが、大して変わらないっていうね。そんな時代に「メーカーはどうあるべきだ」って、やっぱりメーカーは自分たちの商品に投資をしていくしかないんだと思うんですよね、僕はね。スマイル株って言ったらいいのか、一昔前は、所謂生産者、それからそれを流通させる中間流通事業者、それからそれを消費者に販売する小売り。どこにプロフィットが落ちる流れになってたかっていうと、やっぱり製造業にいっぱいプロフィットが落ちる流れになってた。それが、インターネットコマース、eコマースの出現によって、製造業よりも、やっぱり消費者に近い、オンラインのインターネット事業者、eコマース事業者に利が寄るようになってしまった中で、昔のようにはいかなくなったっていうのが、今の製造業だと思うんだよね。そうした時に、やっぱり、消費者が「その会社のその商品じゃなきゃだめ」っていうぐらいの付加価値のある商品を作らないと、全部PBですんじゃうんだったら、PBになっちゃうようなものは、もうまったく意味が無いですよね。だから、そうしていかないとなかなかいけない。今、製造業はやっぱり怖さを抱えていると思いますよ。ここ10年とかって大丈夫かもしれないけど、20年先の世界ってどうなってんだろうって考えた時に、やっぱりアリババとかテンセントのような巨大経済圏を持つ、で、これからさらに時代が変わるでしょ。AIとクラウドと、色々なもので時代が変わってった・世の中が変わってった時に、本当に、製造業って今までみたいに価値があるんだろうかと。要は「作る」なんて一つの機能は、もう経済活動の中の一番隅っこの方にあって、所謂消費者に近い、お金を出す、末端に近いところの人たちが何を言うか、その人の言うことに基づいて商品は開発・生産されるべきだ、となった時に、インターネット事業者が「おい、Aメーカー」と。「これ作れ」って言われたら、それをただ「はい、分かりました」と作るしかない存在になり得るんじゃないかと。今までの100年はメーカー主導できた世の中も、経済もね、メーカー中心であったものも、そうじゃないんじゃないかっていう恐怖があるわけですよね。なので、これはすごく難しい課題なんですけど、可能性としては今話したようなことがあって。ただ、間違いなくいえることは、価値の源泉が変わってきてると。作るということよりも、売るということに価値の源泉が変わってきているっていうのが、インターネット、eコマースの登場で劇的に変わってきていて。特に、中国みたいに極端に外資を規制して、内需、所謂自国のインターネット企業の成長を政府が支援してきた国に関しては、やっぱり極端に大きくなってきてて、極端に大きな経済圏を持っているので、そうした巨人たちの影響力っていうのは、やっぱり製造業にとってはとてつもない脅威になるという風には思いますと。だからこそ、「その会社のその商品じゃなきゃだめだ」ということが、ますます重要になってくるんじゃないかな。そういう商品が作れないメーカー・製造業は、逆に価値が低くなっていくということなんじゃないかなと思います。
小林:分かりました。ありがとうございます。じゃあ、お時間もやってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。
<終了>