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第480回 【本の解説】ディストリビューターのマネジメント その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日はね、203ページ、『4-12 ディストリビューターのマネジメント』ということでお話をしていきたいと思います。前回までディストリビューターとの契約交渉をどうやっていくのかというお話をしていたと思います。こういうステップで契約交渉してくださいね、こういうことを注意してくださいねという話を前回やっていて。今日は、いざ、じゃあ、契約が締結したあと、どうやってディストリビューターを管理育成するのかっていう、そういうお話をやっていきたいと思います。この管理育成なくしてASEANとか新興国のディストリビューターに継続的にこちらの要望を上げ続ける、売上・シェアを上げ続けるというのはなかなか難しい話なので、この管理育成というのは実はすごく重要で、でも、日本企業の多くがこの管理育成に関してはもうほとんど、ほぼほぼできていないというような状態なので、今日はこの管理育成の話をしていきたいと思います。

それではね、図をお願いします。これ、強固な販売チャネルをつくるための3原則ということで、グレーになっているところが2つあって、最後の今日お話するところが赤く管理育成になっていますけど。強固な販売チャネルをつくるためにね、まず1つ必要なことは、ディストリビューター、良いディストリビューターの発掘選定ですよね。過去のエピソードでこの話もさんざんやっていると思いますけど。いかに自分たちに合った、合致した、マッチした、適したディストリビューターを発掘選定するかということはすごく重要で、これは決して大きいところとかね、財閥系とかじゃなくて、今の自分たちの経営資源を考えたときに、本当にどのディストリビューターがマッチしているの?というところがすごく重要で、これを、じゃあ、どうやってやっていくんですかというお話を過去のエピソードでやって。

じゃあ、それが終わって、絶対評価と相対評価でショートリストまで絞り込んだときに、絶対評価でショートリストまで絞り込んだときに、このショートリストに対して相対評価を繰り広げるわけですけど、ここがまさに契約交渉がもう入っているわけですね。ショートリストのうちの5社から1社を選ぶ、2社を選ぶということをやっていくわけですけど、このときの契約交渉、攻めの契約書、守りの契約書はできているんだけど、攻めの契約書が不十分な企業が多いという話であったり、独占契約をうまく活用しましょうみたいな話も過去のエピソードでやっていると思うんですけど、前回ディストリビューターとの契約交渉のステップみたいなね、どういう流れでステップを踏んでいけばいいのかという話を前回やったと思っているのですが、そこが終わりましたと。

この経緯約交渉が終わったあとの話ですね、いざ、じゃあ、よろしくお願いしますということで始まってからの話がこの管理育成なんですけど。この契約交渉のときに、必ずシンプルな軸でKPIを決めてくださいねという話をしたと思います。できるだけシンプルにKPIを決める。多くの場合、特にB2Cはもう完全にストアカバレッジとセールスパーストアなので、インストアマーケットシェアという表現でこの本では書いていますけど、最近僕はね、インストアマーケットシェアという表現を使うと誤解を生むケースがあるので、インストアシェアと誤解されやすいので、単純にセールスパーストア、1店舗あたりの売上と間口、どれだけたくさんの店に置けるかということと、どれだけ1店舗あたりの売上を上げられるかという、もうここを追っていくだけなんですよね。これが管理で。

じゃあ、月に何千店舗、間口を増やしてくださいねとかっていう決め事をするわけですよね。それに対して、メーカーとしてこういうプロモーションを繰り広げて、1店舗あたりの売上をここまで上げますと、いわゆる1店舗あたりの売上を上げるのはプロモーションの力なので、これは正直メーカーの責任に結び付くところが多くて、責任範疇の面が多くて。一方で、間口を獲るということは、これはまさにディストリビューターの話で。置いて自然に売れるという個数もあるんだけども、やっぱりそこにプロモーションを投下するから、それがバーッと売れていく。そして、ある程度認知がつくまではBTLを繰り広げていかないといけない。そのストアカバレッジを近代小売がまず先なので、近代小売の主要店舗の主要の棚に決めた通りのSKUでしっかり置かれているかということを管理して。そのあと、伝統小売の棚に、伝統小売で間口が計画通りに獲れているか。これを管理をして、メーカーが本当にやらなきゃいけないのは、乖離が出たときに何がボトルネックになっているのかということを可視化して、そこに対して対策パッチをしっかり貼っていくということ、対策をするということなんですよね。ディストリビューターに任せておいても、利害が必ずしも一致しないところもあるわけですよね。例えばディストリビューターというのは、今の現状の経営資源でやれることをやりたいと。なぜならば、そこが一番利益率、ROIが高いからと。メーカーと約束したストアカバレッジを上げるためには、じゃあ、セールスを雇わなければいけないとか、新たな経営資源を投下しなきゃいけないとなると、一時的に持ち出しコストが増えるわけなので、ROIが悪くなるわけですよね。なので、そういったところも見極めていかないといけないし、全てをディストリビューターに任せていても、必ずしもメーカーと取り決めをした方向になるとは限らないので、やっぱりボトルネックが何なのか、なぜ乖離が起きているのか、どうすれば乖離がなくなるのかということをしっかり見ていかないといけない。これが管理育成なわけですよね。

あと、キーマンの育成というのは、自分たちのメーカーの商品を、代表して売ってくれているようなキーマン、キーアカウントマネジャーとか、キーマンを、やっぱりその会社の中にたくさんつくっていかないといけない。いや、あそこの商品も優先的にやりたいし、頑張りたい、そういうことをやっていきたい。そうすると、製品知識であったり、セールスの知識というのはもちろんそうなんだけども、同時にインセンティブをうまく与えていって、金銭的なインセンティブもそうですし、マインド的なインセンティブもそうですし、そういったものをしっかり与えていくということが重要で。もっと言うと、問題、簡単な問題、乖離が出たときのボトルネックの発掘、それからそれに対する対策みたいなものは、傾向化してきたときに、それを瞬時に察知して、対策パッチをしっかり打てるというね、そういうぐらいのキーマンにまで育て上げていくということが非常に重要で。そんなことを、やっぱり時間がかかりますからね、これはね、5年10年とかかる話なので、しっかりやっていかないといけなくて。ディストリビューターに全部任せて定期訪問しています、出張しています、みたいな話だと、結局、ディストリビューターが見せたい小売に連れていかれたりとか、ディストリビューター見せたい顧客に連れていかれたり、ディストリビューターが見せたい現場が見せられるだけで、本当に見なきゃいけない、課題が山積みになっているような現場には連れていってもらえないので。当然ね、メーカーが来たら、ディストリビューターは良いところを見せたいわけですから。そうすると、やっぱり、そんな定期訪問だと、もう結果指標でしかなくなってしまうし、ディストリビューターよりも高いインプットを入れるのは無理だともう思った時点で、結局、結果指標のおっかけにしかならないですよね。問題が起きました。それに対して、ああ、そうですかとそれを聞いて、結果をふーんと見ている、結果の指標を後追いするしかなくなってしまう、それに対して対策を打つということは、やっぱりインプットが多くないと対策は打てないので、ディストリビューターよりも知識武装をしないといけないし、経験値も付けないといけないし。

でも、もちろんね、常に現場の最前線で戦っているディストリビューターよりもたくさんのインプットやたくさんの経験を得るということはかなり大変な話なので、ポイントですよね、重要なポイントというのはKPIで決めたストアカバレッジとセールスパーストアなんだとすれば、間口と1店舗あたり売上なんだとすれば、そこに対するインプットと、そこに対する経験値だけを高めていくということでも、もちろんいいわけなので、そんなところに注意をしていってもらえればなというふうに思います。

今日はこれぐらいにして、ちょっとまだ少し話し足りないところもあるので、また次回ちょっとお話をしたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。