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第546回 FMCG 伝統小売の未来「DX」

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカー向けの話をしていきたいと思います。対象国はASEANを中心とした、グローバルサウスを中心とした新興国市場です。

前回かな、前回から伝統小売の未来ということでお話をしてきていて。スライドをお願いします。このスライドのお話を前回しました。伝統小売の未来「存続」ということで、なぜ伝統小売はなくならないのかということで3つの理由を申し上げたのが前回ですね。今回は「DX」、伝統小売のデジタル化は何を意味するのかということでお話をしていきたいんですが、これもね、伝統小売がなくならない理由の大きな要因なんですけど、このパンデミックでさらに加速したんですけど。実はパンデミックの前からこういう動きは十分にあって、パンデミックでさらにそれが確実なものになったというふうに言ったほうが間違いないと思いますけどね。伝統小売がデジタル武装し始めたんですよね。どういうことかと言うと、伝統小売って駄菓子屋なので、おじいちゃんおばあちゃんが、おじちゃんおばちゃんがいて、現金で汚いくちゃくちゃのお金を払って、小銭のおつりがなかったら飴玉で返すみたいなね、そういう世界でずっとやってきていて。問屋さんもそこに商品の注文が、毎日回るわけですよね、問屋が。毎日回って「注文ないですか」と取りにいって、「これとこれとこれ、持ってきてくれ、明日」と、次の日持っていって、汚い現金回収して、それを会社に持ち帰って、伝票を書いて、お金を渡してみたいな。それがたくさんの伝統小売を回ると、小銭がこんな袋でじゃりじゃりになるみたいな、そういう世界の中でずっとやってきたと。物騒だしね、途中でその小銭を狙った山賊じゃないですけど、そんな人たちがいるような治安の悪いところもあると。

そんな中でどういうデジタル武装が始まったかって言うと、対消費者側のデジタル武装と、対問屋メーカー側のデジタル武装というのが始まっていて。いわゆるインターネット事業者さんが参入をしてきている、スタートアップ系の企業さんが参入してきていて。伝統小売がその仕組みを入れるとね、まず消費者がスマホでQRコードで、各国でPayPayみたいな決済があるわけですよ。そういったもので決済ができるので、基本的にはお金を触らなくていいと。これは双方のメリットですよね、消費者側にとっても、伝統小売側にとっても。現金を払わないでピピッて払うというのは、これは販売促進、非常に高いパーセンテージでつながっていきますから、そういう意味で販売が促進されていくと。躊躇がないわけですよね。最もこの「DX」の素晴らしさはね、問屋とメーカーにとってのメリットが非常に大きくて、基本的に注文はスマホでできるわけですよ。「オーナーさん、このスマホで注文してください」と。そうするともう売れ筋、何がこの地域の伝統小売で売れていて、どういうものを買うとどれぐらいのターンで売れていくかみたいなのが全部データとして出ているわけですから、オーナーさんがそれを自分でピッピッピッと買うわけですよね。オーナーの勘に頼る事業から、データに頼る事業を重ね合わせてビジネスができるという、これもオーナーにとっての魅力だし。

一方で、問屋としても無人になるわけですよね。毎日人を送り込んでいたのが、週に1回でいいと、隔週でいいと、だって、オーナーさんはスマホで頼んでくるからと。現金の回収をする必要がないと、全部デジタル決済ですと。伝統小売のオーナーにとっても、スマホで頼んでもらったら5%オフですよと、10%オフですよと、安くキャンペーンもやっていると、いろんなキャンペーンがスマホにバンバンバンバン入ってくるわけですよ。われわれの、Amazonのキャンペーンとか楽天のキャンペーンみたいにね。そうすると、オーナーさんも積極的に商品を仕入れると。一方でメーカーにとっては、自分たちの商品が今どこでどういうふうに売られているかということが瞬時に分かるという、この世界観、新しいこの伝統小売の姿なんですよね。

これによって何が起こるかって言うと、伝統小売がより、今までよりもより便利な存在になると。例えばコンビニが数百メーターに1店舗おきにあるのがね、伝統小売というのは数十メーターとか数メーターおきにあると、住宅地の中に入っていったら伝統小売だらけなわけですよね。そこであらゆるデジタル武装による利便性が高められると、もはやコンビニよりも伝統小売のほうが便利な存在になると。コンビニが小売の最小形態、いわゆる一番小さい形態だった、一番便利な最小最便形態だったとすると、そうじゃない新たなニューリテールみたいな存在がね、伝統は衰退というのが今までの常識だったんだけど、伝統がデジタル武装することで、新たな小売の業態がここにでき始めているというね、これは非常に大きなことで、僕はこれによって伝統小売はもう確実に寿命が延びたというふうに思っていて。これが新興国の人たちの、なんとなく気ままに人生楽しく生きていきたいというね、中央集権よりも分散型の国民性に合致していて、それがデジタル化していくというね、これは本当にすごいことだなというふうに思っていて。この「DX」で伝統小売というのはもうこれから今まで以上の利便性を見い出していく。コンビニが登場したときと同じような衝撃を、たぶん世界中で受けていくという、そんなふうに僕は思っています。

これが、今日の話は「DX」、伝統小売の「DX」ですけども、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回、今度は「Eコマース」のお話をしていきたいなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。