アジア新興国 誰と売るかよりも、誰に売るか
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私の新刊でございますが、これの解説をしていきたいと思います。今日は112ページ。112ページ…、もう第6章に入りましたね。111ページの第6章、強固な販売チャネル構築に必要な3つのことということで、今日は112ページからお話をしていきたいと思います。それでは112ページですね、「1 直販の重要性を再認識する」ということで、まずB2C企業が直販すべき相手と理由ということで。取りあえず、必ずしも直販じゃないとダメと言っているかというとそうではなくて、まず直販の努力をするということがすごく重要で、B2Cの消費財、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財にとって、売り先って近代小売、伝統小売、オンライン、業務用市場、大きく分けてこの4つの市場があるわけですよね。そのときに端からディストリビューターでやるのか、それとも小売と一旦話をした上でディストリビューターという方法を選ぶのかでね、これは大きな差が出るというか。シェアの高い企業とシェアの低い企業を見てみるとね、まずシェアの低い企業って、小売とのリレーションが本当に取れてない。一方で、シェアの高い企業って、ディストリビューターを使っているにせよ、小売との関係がしっかり築けている、もちろんね、欧米の先進的なグローバル消費財メーカーになると、基本的に近代小売に関しては直販が鉄則で、ディストリビューターを使うというのは基本的には手間のかかる伝統小売で活用すると。ただ、やっぱり自分たちで営業マンを持って、自分たちで近代小売はもちろんのことね、自国に法人があればなおのことですよね、伝統小売もある程度自分たちで直販をしながらディストリビューターも活用していくと。よく分からないから誰かにすべてを委ねて任せるなんていうことはね、まず選択肢としてはなくて。もちろんこれは現地法人がある場合、現産現販の場合ですけども、輸出でもね。輸出はね、どうしても現法がないと近代小売と直接取引ができないとか、そもそも伝統小売には高くてモノが並ばないなんていう問題があるので、必ずしも直販をしなきゃいけないかと言うと、そうではないですよと。ただ、小売によってはね、最近はコンテナで商品を引っ張ってくれる、輸入してくれるというケースももちろんあるし、そうすると余計なマージンを中間流通に払わなくていいわけですよね。小売と直接コミュニケーションが取れるので意思の疎通が非常にスムーズだということもあるし。逆にディストリビューターを通せということになっても、小売り側が自分たちの息のかかったというか、ある程度近しいディストリビューターを紹介してくれて、そことディールをするというケースというのがあるわけですよね。そうすると、当然もう商談自体はメーカーと小売で詰めているので、ディストリビューターのマージンを最小限で抑えることができる。これは別に近代でも伝統でもオンラインでも業務用でも一緒ですよね。オンラインなんかは、特にオンラインなんかを問屋に運営を任せているというね、いわゆるプラットフォーム型のオンラインショッピングモールの運営を現地の問屋に任せていて、日本で問屋でオンラインショッピングを任せるなんていうことは絶対しないですよね。オンラインで売るノウハウと問屋としてのノウハウってまったく次元の違う話なのに、なぜか海外に行くと問屋もオンラインできちゃうのかな、任せちゃおうみたいなね、そういう会社も結構いるので。基本的にはまず小売と話そうよと、それから誰と売るかを決めましょうと。簡単に言うならば、誰と売るかよりも誰に売るかのほうが圧倒的に重要なので。誰に売るかというのは消費者であり、その手前の小売ですよね。そうすると、この誰に売るかという、小売と最初に話してから誰と売るかをね。逆に言うと、小売と一緒に決めていったっていいわけですから、まずは誰に売るかを決めるということがすごく重要だと。
あと、大手のディストリビューターを捕まえたら安心みたいなね、こういう勘違いをしている消費財メーカーも少なくないんですけど、これは大手の場合ね、すごく顕著に問題が顕在化しているんですけどね。大手のディストリビューターって、メーカー、プリンシパル担当とクライアント担当というのがいて、彼らにとってクライアントというのは商品を買ってくれる小売店なわけですよね、大きな近代小売なわけですよね、チェーンストアなわけですね。一方で、商品を仕入れる先、メーカーというのはプリンシパルなわけですよね。どっちが、プリンシパルとクライアントとどっちが重要だって、お金を払ってくれるのは小売なわけですよ、クライアントなわけですよ。メーカーというのは自分たちがお金を払って仕入れているのでプリンシパルなわけですよね。なので、圧倒的に小売のほうが重要なわけですよね、彼らにとってはね。私はディストリビューターでね、大手のディストリビューターでこういう問題を過去にたくさん見てきていて、プリンシパル担当と小売担当、バイヤー担当って、各小売のバイヤー別に担当がディストリビューターの中にもいて、大きなディストリビューター、小売り側に立っている担当者とメーカー側に立っている担当者、私たちが「商品をこういう思いでこういう戦略でこういうふうに販売していきたい」という、この戦略がなかなかうまく小売に伝わっていない。だって、ディストリビューターの中でも2人の立場の違う人間がいて、ここでまず意思疎通して、メーカーとディストリビューターのメーカー担当が意思疎通して、このディストリビューターの小売担当が意思疎通して、ようやく小売に行くんだけども、小売とディストリビューターのパワーバランスなんて天と地の差なので、基本的には何も言えない状況、御用聞きですよね。その中で何か強い立場で言えるかと言ったら、やっぱり小売に対してある程度強い立場で言えるというのはメーカーで、メーカーでしかないので、なかなかやっぱりディストリビューターはイエスマンにならざるを得ない。そんな中で当然ながらディストリビューター、大手のディストリビューターの中にはブラックボックスにする、小売とあまり会わせてくれない、接点を持たせてくれない、もう全部任せておいてくれというスタンスのディストリビューターだっているわけですよね。そうなったときに、結局、大手のこういったディストリビューターの中間流通マージンが大きいのでね、結局、小売に何か言われたら逆らえないわけですよね、返品って言われたらもう受けざるを得ない。そうすると、何かあったら困るから30%取っておこう、35%取っておこうって、そういう発想になってしまうわけなので。基本的にはここをやっぱりメスを入れていかないと、なかなか根本的にシェアが上がったりとかね、問題解決しないよみたいなことをここでは説明をしていると、114ページ、115ページ。
現産現販の場合と輸出の場合のチャネルのストラクチャーなんかも115ページのところにこうして入れていますので、また見ていただければなと。あと、Eコマースですね。Eコマースがどういうふうに伸びているかみたいな話もここにちょっと入れていますよと。B2Bの話も117ページに書いていますので、それも併せて見ていただければなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。