シェアの高いメーカーがディストリビューターに任せていること
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日は、メーカーがディストリビューターにどこまでを任せるのかというところについてお話をしていきたいなというふうに思います。この問題って、日本のメーカーのアジア新興国展開においては非常に重要な問題で、ここを間違っている企業は決して少なくなくて、逆に言うと成功している企業はここに非常に統一的なやり方があるので、それについてちょっとお話をしていきたいなと。結論から言うと、成功している企業、シェアの高い企業は、すべてを自分たちで120%理解した上で部分的な機能を任せるということをやっているんですよね。例えば配荷機能を任せるとか、セールス機能を任せると。ただ、セールスに関しては管理するし、モニタリングするし、自分たちの営業マンもセールスの支援、マネジメントに入るということをやったりとか、こういうふうに全体を完全に理解した上で部分的な機能を任せるという、これが成功している企業の鉄則で。より具体的に言うと、新興国市場で例えばMT、モダントレードに関しては自分たちで直接商談しますと。なぜならば小売との関係構築がモダントレードにとっては最大で唯一の肝になるから、彼らとどう人間関係をつくれるかが取引に大きく関係してくると。それをディストリビューター、もちろん小売から見たときにね、ディストリビューターを見る目線とメーカーを見る目線ってやっぱり全然違うので。ディストリビューターに商談をさせたら、なるべきものもならないし、伝わるべきものも伝わらないなんていうシーンを僕はいっぱい見てきたし、そういう意味でそこはメーカーがやる。一方で、伝統小売の配荷に関しては、もうこれは数の勝負ですよね。1日35件回る、回った店先でこうする、オーナーのいる時間帯に会ってこうするみたいなことがあって、これはもう数の原理なので、自分たちでこれだけの営業マンを抱えるとコストが大きいので、ある程度利益を配分してでもディストリビューターを使うとかね。日本企業の場合、ひどい企業だと、プロモーション費用をディストリビューターに渡してプロモーションをやらせていますと。一応やったよという領収書的なものは出てくるんだけども、ちょっと効果があるのかどうかも分からないけども、「プロモーション費用をくれ」って言っているので毎年何千万か出していますというようなね、日本で問屋にプロモーションお願いしますかという話で、そういう世界だったりもすると。
なぜ販売チャネルの再構築が今必要かと言うと、特に日本の日用消費財で言うと、もう20年30年前から各国に出ていて、その中でもともとは向こうから声がかかって、「売ってみたいんだったら売ってみたら? 前金だよ」と、どこまでやれるかお手並み拝見でやらせてきて。重要なマーケットというのは日本国内だし、欧米が海外では重要なマーケットで、アジア新興国なんか言ったら二の次のマーケットだったので、主体的にやってたマーケットじゃないわけですよね。その中で全部をディストリビューターにお任せしてやってきて、そうこうしているうちにアジア新興国の著しい成長があり、今はそこの成長が非常に重要な位置づけになってきていると。そんな中で、ディストリビューター、やれることはやってある程度の売上も立ってきていると。でも、こんなものじゃなくて、もっとやっていかないといけないという中で、ディストリビューターを動かしていかないといけない。多くの場合は今のディストリビューターに満足していないんですよね。もっとやりたい、もっとやりたいと。でも、それを、じゃあ、自分たちは分かってこなかったので、何をどうすればもっとやれるかというのも自分たちも分かっていない。ディストリビューターも、自分たちが今まで20年30年支えてきたのに何を言っているんだと。ディストリビューター側も、基本的にはやっぱり自分たちのファミリーの利益率、華僑ですからね、自分たちの華僑のファミリーの利益率を考えたときに、あまり下手な投資はしたくないと。今現状が非常に心地が良いという中で、メーカー側が「もっとやって、もっとやって」と言ってもなかなか動かない。やり方がね、今までこういうやり方でやってきたのに、それをいきなり「変えろ」と言って、「はい、そうですか」というふうにはやっぱりなかなかならないですよね。それで成功ができて、「メーカーの言うこと聞いたら儲かるじゃない」って思えばいいですけど、そもそも「分かってないくせに。今まで俺たちにずっと任せて放ってきたくせに。何をいまさら」という、そういう思いも当然ある中でやっていくわけですけど。現実的には多くがこういう状況にある。
これってまず、やっぱりしっかりメスを入れていかないといけない。その中で担当者が配置換えになってしまったりとか、メーカー側のね。駐在が帰任して、新しい駐在も引き継ぎはするんだけども、いきなり着任してすぐにディストリビューター切りなんてできないし、そもそもある程度中途半端に売上あるところをいきなり切るってね、売上をズドーンと0にするのと一緒なので、そんなことはしちゃいけなくて。多くの場合は理由なき1カ国1ディストリビューター制になっていて、本来は彼らの得意なところだけをやってもらって、そうじゃないところを別のディストリビューターにやらせないといけない。でも、ここにはやっぱり抵抗があるんだけども、まず契約書からしっかり紐解いていって、その中で実態を可視化して、彼らが本当に得意なところが何なのかというところもメーカー自身がいまいちよく分かっていないなんていうケースはいっぱいあって。こういう調査をわれわれなんかはよくやるんですけど。それをやって、ここがあなたたち得意だから、ここをやってくれと、次の契約更新からはこの地域に関してはわれわれ別のディストリビューターでやらせてくださいと。当然、イエスなんて絶対言わないですよね。イエスは絶対言わないんだけども、それでも進めていかないと、ここにやらせていても無理なんですよね、もう。だって、スキルセットとして無理なものをいくらやっても無理なので、無理+無理=無理にしかならないので、ここはもうね、しっかり意思決定するしかないと。
じゃあ、別のディストリビューターを併用するという意思決定をしたときに、じゃあ、このディストリビューターがケツまくって「もういい。お前らの商品やらない」って言うかというと、そんなことは絶対に言わない。華僑はもう銭金ですから、感情で自分の今の既存の事業、お金を捨てるなんていうことは絶対にしないので、より良い条件を引き出すために拗ねるかもしれない。より何かを求めるためにイエスとは言わないかもしれない。でも、ケツをまくることは、僕は今までの自分の経験の中で1度も見たことないので、それはやっぱりしっかりと説明をして、その説明がしっかりとロジックにかなっていて粛々とやっていく。こっちがしっかり上がってくれば、どうせここは不得意なエリアをやっているわけですから、ここが上がれば相対的にその国の市場規模は上がっていくので、こっちの事業もうまくいくんですよね。なので、それをできるだけ早くに立ち上げて確実に成功させて、ここが「なんかメーカーの言ってることいいね」と。欧米はこういうことを結構しっかりドラスティックにやっているので。やっぱりね、意思決定をしっかりするということはすごく重要で、決めるべき人が意思決定をしっかりやるということがないと、なかなか進んでいかないのかなというふうには思います。
なので、どこまで任せるかの話でちょっとだいぶ逸れましたけど、任せないんですね。戦略そのものは自分たちだし、その戦略を120%理解した中で部分的な機能をパートナーに任せるということが絶対必須じゃないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。



