【Q&A】アジア新興国 失敗する企業の特徴は?
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日も引き続き、番組に寄せられた皆さんからの質問に回答していきたいと思います。今日の質問ですが…。今日の質問、製造業の方からの質問でございます。「長年いろんな企業のご支援をされていると思いますが、失敗する企業の特徴ってどんな企業が多いですか?」ということなんですけども、この番組でも何回かお話をしていますけども、プロダクト依存型であったり、パートナー依存型、それからパーソン依存型、だいたいというか、ほぼこのプロダクト依存、パートナー依存、パーソン依存、日本の製造業の新興国展開の失敗のパターンってこのいずれかに陥っているんですよね。もうこれは確実で、このいずれにも陥っていないのにシェアが上がらないとか売上が鈍化しているとか、そういうことって僕は見たことがないので、まずあり得ないというのが僕の経験の中から絶対の自信としてあるので、必ず当てはまっている。当てはまっているということに気づいているケースがほとんどですよね。これは言われて気づくということも含めて。だから、問題がここなんだよねと。問題が何だか分からないというね、こういうレベル感の企業って、さすがにわれわれがお取り引きしている企業さんの規模が大きいということもあって、さすがに問題が何だか分かりませんという企業というのはいなくて、基本、皆さん問題は分かっていて。優秀ですから、問題は分かっているんだけども、分かっていても変えられないというのが本当の問題で、それが1つ大きいのかなと。
一方で、われわれがお取り引きをさせていただいている数少ない中堅中小企業さん、この場合はやっぱり経営資源が圧倒的に少ないので、問題が何なのかも見えていないという、そういうケースは当然ながらあるんですよね。なので、そこはそこから始めていくということになるんですが。じゃあ、さらにそれをちょっと深く深堀っていくと、何が問題なのかと言うと、やっぱり基準値が持てていないということが圧倒的に問題なんですよね。シェアを上げたいと思ったときに、シェアというのはひとりよがりではない、他人のシェアを1%奪うから自分のシェアが1%上がるんだという、この相対的な関係の中で、競合の競争力を100とした場合にね、自分たちの今の競争力って80なの? 70なの? 50なの? 30なの? どこなの?ということが明確に分からないと、どうやってその差を縮めるのかという基準値が手に入らないんですよね。基準値が手に入らないと戦略的にはならないので、今できる人員で今できることを考え得る中ででき得ることを、手の届く範囲のことだけをやるということになってしまうので、結果、これは逆算にもならない。単に自分たちが今できることを断片的にやっていくという話になってしまうので、このやり方だと戦略的な欧米の先進グローバル企業とか、ASEAN、アジアの戦略的なローカル企業には到底勝てない、こういう状況があるわけですよね。これは僕がこの基準値を、競争力の比較という意味ではリファレンス・バリューというふうに呼んでいて。一方で、この基準値ってベンチマークという意味合いもあって、それは自分たちが売上を、例えば今、消費財でね、この国で20億ありますと。この20億を30億にしましょうという中でね、10億上積みしていく。じゃあ、その10億上積みを本当に、じゃあ、3年でできるの? 3年で、じゃあ、やるためには何をどう変えないといけないの?ということを紐解いていくのが僕はベンチマークだと思っているんですけど。それもやっぱり基準値ですよね。具体的に3年間を逆算したときに、今年はこれをやる、来年はこれをやる、再来年はこれをやるということを組み立てていかないと、そういうふうにはならないので。
結局、マーケティングの父、フィリップ・コトラーも、ターゲットに対して4Pが、もしくは4Cが最適化されていればモノは売れ続けるというふうに言っていて、売れ続けていないということは、やっぱりターゲットに対する4Pに改善余地があるわけですよね。僕が今まで見てきた中で最も日本企業が改善をすべき今の現状の課題の解決に直結するというのはチャネルで。プロダクトはいいんですよね。プライスも正直、自分たちの自己努力で僕はどうにでもなると思っていて、プロモーションはチャネルと一対なので、チャネルが育っていないのにプロモーションだけ打ったって、これは砂漠に水を撒くようなものですよと。やっぱり圧倒的にシェアの高い企業と低い企業を比べたときに4つのPのうちのどこに一番差があるかというと、圧倒的にチャネルに差があるんですよね。このチャネルを再設計して再実装する、再構築する、これが今の日本企業にやっぱり必要なことなんですよね。なので、そのためには基準値を持たないと設計なんかできませんから。設計するということは、やっぱり情報戦なんですよね。日本企業は調査をしなさ過ぎ。調査というのは消費者調査やっていますよとか、そういう話ではなくて、自分たちの戦略設計をするための調査、産業系の調査ですよね。こういうものをコストとして、費用として見るので、それが投資になるわけですよね。それがないとやっぱりどうしても今の現状を打破できないし、そういう習慣・文化が社内にない企業はやっぱり大変ですよね、苦しいですよね。やったことないので、使ったことないので、そんな費用使ったことありませんと。なので、どんどん、どんどん、遅れていく。そこに5年10年と若い脂の乗った社員がやっぱり居続けるというのは、僕は大変だなと思うので、どこかのタイミングでその会社がガッと変わっていかないと、10年を無駄にするなというのはすごく思うので。
考えたら分かるんですけど、アウトプットを戦略だとするとね、仮説でもいいですけども、高い仮説…、仮説がないと前に進めないので、基本的に高い戦略アウトプットとか仮説のアウトプットを出そうと思うと、情報とか経験値とか、そういったものをインプットしていかないと高いものは出てこない。このインプットが少ないと、やっぱり戦略もチープになるし、仮説も思い込みになってしまうわけですよね。仮説を実行して初めて結果というアウトカムが手に入るわけですよね。そうすると、もうそもそも根本としてインプットを収集するということにまさに、つまりは調査をするということに予算が割けないということは、戦略設計がチープになります。チープな戦略設計をどれだけ汗水垂らして頑張ったって、チープな結果しか出ないという、こういう3段構造になっているので、最初の初動の調査は投資であるという考え方がしっかりと根付いていない企業というのは、なかなかやっぱり失敗をしてきているんじゃないかなというふうには思いますよね。だから、われわれも「取りあえずやってください」みたいな感じのお客さんだと、やっぱりお引き受けがなかなか難しいのでお断りをしたり、なんとなくスーッとフェードしたりということにどうしてもなってしまいますよね。なので、われわれはマジシャンじゃないので、「ウルトラCでなんとかしてください」とか、「マジック使ってパーンと現状を打破してください」、そんなことはできなくて。やるべきことを一緒にやっていくというだけの話なので。長い期間、たくさんの企業をやってきたので、ベースとしての知見があるので、それを使って正しいやり方に変えていくということをやっていますから、マジシャンじゃないですよね。なので、どちらかというとインストラクターに近いんだと思うんですけど。なので、失敗する企業の特徴、一言で言うとやっぱり基準値が持てていないということになるのかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。



