◆アズマ
こんにちは、ナビゲーターのアズマタダオです。
◆森辺
こんにちは、森辺一樹です。
◆アズマ
森辺さん、いろいろとこのポッドキャストでも日本の商品とか製品について話をしてきてますけれども。日本独自の伝統工芸品みたいなものもいろいろあると思うんですが。ちょっとチャネルとか消費材からは話が外れますが。その辺に就いて森辺さんはどう思われているのかなっていうのは。
◆森辺
日本の伝統工芸、今グローバル化に非常に地方を含めて取り組みをしてるっていうのは僕も認識をしていて、地方自治体を中心にいかに地域の伝統工芸を世界に広げるかみたいな取り組みは行われているよね。その中で伝統工芸に対する僕なりの意見というか見解は昔から持っていて。結論から先に言うと日本の伝統工芸って見せ方があまりにも下手すぎちゃって、今まで何十年、ものによっては何百年っていう歴史があるのにその歴史がバリューに変わってないんですよね。一方でヨーロッパの伝統工芸って長い時間軸の歴史をバリューに変えてるんだよね。ぶっちゃけ伝統工芸って昔は人々が生活の中で使ってたものだよね。それがどんどん使われなくなってきてそれが貴重化したわけじゃない。そうすると私たちの生活の中に伝統工芸品って必要か必要じゃないかって言われたらぶっちゃけ必要じゃないわけだよね。そうすると伝統工芸品っていうのはよりアートの方向に向いていかないと、それを誰も必要としないんだよね。確かに美しいし、確かにきれいだなと僕も思う。何とか焼きとか何とかづくりってね。けどこうして何とか焼きとか何とかづくりって、日本の伝統工芸の主要トップ10みたいなのを言えないよね、僕もね。アズマちゃんも言えないでしょ。たぶん多くの日本人が聞けばわかるんだけど。
◆アズマ
明確には把握してない。
◆森辺
把握してないよね。それぐらいブランド力がないんですよ。ブランド力がないというかブランディングをしてこなかった。ブランド投資をしてこなかったというのが僕は最大のミステイクで。例えば一番面白いというか代表的な例はスイスの機械式時計、クオーツが出た時にクオーツショックで潰れかかったんだけど、結局その機械式時計なんているかいらないかっていったらいらないでしょ。だって電波時計があるし、クオーツがあるし、ほとんと時間がずれない、止まらない、水の中、高い山の上、雨でも雪でも何でもいけるっていう時計がある中でなんでスイスの機械式時計にしないといけないのよと。だけど彼らは高々175年とか200年の歴史を思いっきり武器にして特別な一本に仕上げるわけだよね。それに何百万、何千万、何億って値段をつけて世界中の金持ちに売りまくると。これがブランディングの作り方で非常に素晴らしいやり方だなってのは僕はスイスの時計技師たちの。技師自体にもフォーカスをするわけだよね、彼らって。もっと身近にあるものだとバカラのグラス。高級グラスとして有名だよね。なんだけどバカラのグラスって僕も好きなんだけど、よくよく考えたら重たいじゃない。日本でもっといい薄い唇につけた時の飲み心地がすごいいいものすごい薄いグラスあるのよ。たまに高級なレストランでご飯食べると出てくるの。けどそのコップの名前すら僕こうして認識してないんだよね。たぶん有名だと思うの。けどそれぐらいブランド投資をしてこなかった歴史が過去100年とかあって、そこがすごいもったいないですよね。発信してこなかったんだよね。だって必需品じゃないんだもん。人が生活の中で絶対に必要じゃないものだよね。そうするといかにそれがすごいものなのか。いかにそれを持ってることがステータスになるものなのか。いかにそのもののリセールバリューってものが落ちないものなのかっていうことをメーカー側が仕掛けていかないと絶対にあんなもの売れないわけじゃない。そもそも高いわけだから。
◆アズマ
そうですね。
◆森辺
そうすると伝統工芸品ほどマーケティングが必要なものは僕はないと思ってるんだよね。
◆アズマ
よくケータイとかではガラパゴス化とかいう形で言われてましたけど、伝統工芸品の一つ、日本の人に対しては発信してたけど、なかなか世界に発信するっていう考えがなかったのか必要性がなかったのかわからないんですけど、やってたけどなかなかうまく伝わらなかったのかだと思うんですが、それも同じような形になってしまっているというような。
◆森辺
そうだね。全くそういうことで。日本人ですらこんだけ伝統工芸品離れしてて、つき合いがあるんだよ、日本のあれが作ってる何とか塗りていう漆で塗ったすごい重箱みたいなの。重箱なんか家で使わないよと。400万とかする。使わないんだけど玄関に置いとく系なんだけど。それ確かに置いといたらすごい美しい。それだけの価値があるんでしょう、きっと。けど大変らしいのね。その職人っていうのも少なくて。けどそれ自体が何百万とかって言われちゃったら、リセールマーケットでどれだけで売買されてて、それがどれぐらい価格が値崩れしないものなのかとか、それを持ってることがどれだけステータスになるのかっていうことを人間とか消費者っていうのは気にするじゃない。なんだけどそれが全く伝わってこないんだよね。だとすると400万で別のものを買ったほうがよっぽどいいので僕は買わなかったけども。ということだと思うんですよね。
◆アズマ
わかりました。森辺さん今日はお時間がきたのでここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
◆森辺
ありがとうございました。
◆アナウンス
本日のポッドキャストはいかがでしたか。番組では森辺一樹への質問をお待ちしております。
ご質問はpodcast@spydergrt.comまでお申し込みください。たくさんのご質問をお待ちしております。それではまた次回お目にかかりましょう。
森辺一樹のグローバルマーケティング。この番組はスパイダーグループの提供によりお送りしました。
00:09:18