東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回マネージメントの話だったんですけども、ちょっとまたマネジメントに関係するんですけど、交渉力っていうのが一つあると思うんですけど、ディストリビューターの交渉もそうですし、ディストリビューターが決まってから、そのディストリビューターの社長なりとの交渉もそうですし、その先の小売との交渉ってのもそうだと思うんですけど、色んな場面で交渉をしていくわけじゃないです。中々日本企業をやると、交渉がまとまりきらないとか、まとまったと思っても結構後で蓋を開けてみると、色々問題があったりするっていうパターンを割り合いよく耳にするんですけど、その辺はどうなんですかね?森辺さん。
森辺:よくあるケースだと思うんですよね。我々の方でもチャネルのお膳立てして、ディストリビューターの選定をやって、そこにバトンタッチしましたと。チャネルの構築をするという過程で、結局チャネルの構築ってディストリビューターの選定終わったら、後って交渉力じゃないですか、商談力とか。そもそも日系企業って交渉力が弱いっていうのは一つあると思うんですよね。
なぜならば、日本の国内でビジネスをする上でね、そんなハードな交渉をするっていう事ってそんなにないですよね。ディストリビューターとの交渉なんて、ある意味その交渉の難易度で言ったら優しい方で、日々世界中でいろんなM&Mとが合併とか色んなのハードな交渉が起こってるわけですよね。そのディストリビューターの交渉でも中々上手くいかないっていうところには、日本人の持っているその交渉力の弱さっていうのが、もう大前提として一つありますと。
「なんでこんなことでお客さん困っちゃってるのかなー」っていう相談、多いじゃないですか。そのほとんどが交渉力にまつわる問題だったりしていて、これが先進グローバル企業だったらおそらくこんなことで止まらないから「こんなの交渉力の話じゃん」ていうので済んでしまうということは、多々あるよねと。なので、その結論としては交渉力が弱い、日本企業が交渉力を鍛える必要があるっていうのは一つあると思うんですよ。
もう一方で、これは日本の古き良きしきたりというか、僕自身も嫌いじゃないんですけど、非常に感覚的な部分のことなんですけど、日本ってイエスじゃなければノーじゃないですか。例えば何だろうな…って、何かちょっと出ないけど、こう「どっか行こう」って…
東:「はいそうです」と言わなければ、曖昧にお茶を濁すってことを…
森辺:「お茶を濁す」まさにその通りでイエスじゃなければノーで、そういうケースって往々にしてあって、僕らも感覚として「ああ、今のはノーだな」とかいうのは分かるよね。それは相手の気持ちを考えるが故に、「ノー」とはっきり言わないわけなので、イエスと言わなければノーだという解釈をこっちもする。
ただ海外だとノーじゃなければイエスなわけですよ。ノーかイエスかしかないわけですから。そうすると、そこがやっぱり感覚として違うので、交渉がね、おかしな方向に行くっていうのはまさにそうで、交渉している過程でね、こっちはイエスと言ってないからノーだよって思ってるわけですよ、日本側は。でも向こうはね、ノーとは言ってないからイエスの可能性があるな、っていう同じトーンで交渉ができてないわけですよ。片っぽは上の方で交渉してて、片っぽは下の方のトーンで交渉をしてるんで、そこでなかなか人間関係が作れず、結論が出ないと。
交渉って人間関係作ってくようなもんじゃないですか。交渉っていう過程の中で、相手の信頼や何かを勝ち取って心を通わせて、最終的な落としどころに持っていくっていうのが交渉なわけですよね。そうすると、そこの感覚のズレが邪魔してるっていうのも、非常に大きいじゃないかなと僕自身は思うんですよね。
東:ノーと言わなければイエスに捉えられてしまうっていう話なんですけど、アジアでも欧米もそうだと思うんですが、それってどういう感覚というか、何となくわかり…日本人からしたら「ノーとは言ってないけど、イエスと言ってないんだから、ノーだよね」ってなっちゃうわけですよね、森辺さんの…
森辺:だから…いや、僕好きなんですよ、そういうのね。好きなんですけど…相手の事を考えるんですよ、我々は。相手の気持ちを。それがあまりにも強すぎて、ノーって言ってるんですよ、なんですけどその言い方が非常に間接的というか、お茶を濁すというか、そういう言い方なってしまうっていうのが、大きいんじゃないかなと思うんですよね。これは中々、日本人と韓国人ぐらいじゃないかなと思うんですよね、こういう感性を持ってるのって。だから非常に良い面もあるけど、中々上手くいかない良くない面もあるっていう。だからそこはやっぱり、世界のスタンダードに合わせていかないといけないので、ノーかイエスかははっきりやっぱりしないといけないとは思いますけどね。
東:それはじゃあ、交渉の場面ではできるだけイエス・ノーっていうのははっきりしていかないと交渉が進まないし、時間だけが経ってくみたいな感じになると。
森辺:交渉っていうのは距離を縮める行為なので、上の方と下の方でこう合わないみたいな、いつまでどっちもまっすぐ進んでも、どっちも合っていかないみたいなことになるので、イエス・ノーはちゃんとはっきり言うっていう事と、ノーて言われても別に何も思いませんかね、彼らね。なので、そこはあんまり気にする必要がないんじゃないかと思うんですけどね。
いいやつらっていうことですよ、日本人はね。その「いいよ」というのが中々上手く行かないよというのが海外の市場だという風に僕は理解してるんですけどね。
東:分かりました。じゃあ森辺さん今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。