東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ前回のおさらいから行きたいんですけども、メーカー側がすることが2つあるということだったんですが、もう一度教えていただきたいんですけれども。
森辺:商品を並べることと、並べた商品を手に取ってもらうこと。この2つをやらないといけないと。商品を並べることっていうのはストアカバレッジの上昇を言っていて、商品を手に取ってもらうこと、つまりは選んでもらうこと、これをインストアマーケットシェアの上昇という風に言っていて、これは両方とも同時並行的に行わなければならないと。なぜならば、並んだ物が手に取ってもらえなければ小売はそれを返品してきますから。そうすると、並んで手に取ってもらうという事がセットで必要で、並べるということはチャネル力で、手に取ってもらうっていうことはプロモーション投資なんですよね。この2つがメーカーにとって非常に重要ですよと。
その前に話した3つの事、消費財メーカーがやるべき3つの事。現地に合った商品の開発をする、チャネルを作る、プロモーション投資をするっていうこの並べる前に、要は小売が「これだったら並べよう」って思う製品・商品を開発しないといけないし、並んだ後消費者がそれを取ってもらうってのは当然プロモーションなんだけど、そもそも現地に適した商品でなければね、中間層が買いたいと思う商品でなければいけないので、3つ並べると現地の中間層に合った商品を開発して、現地の中間層が買いやすい売り場に並べて、現地の中間層が手に取りたくなるようなプロモーション投資をどれだけするかということが、ストアカバレッジの上昇とインストアマーケットシェアの上昇に繋がりますよっていうのが、ここ何回かで話してる内容ですね。
東:その中でも、ストアカバレッジっていうのは何となくイメージがついて、店舗数ですよね。導入されている店舗数が何店舗ありますかと。それがMTとTTで分かれてきますっていう話しだと思うんですけど、インストアマーケットシェアっていうのは、あまり聞き慣れない言葉だと思うんですけど、ちょっとこの辺をリスナーさんに分かるように解説いただければと思うんですが。
森辺:インストアマーケットシェアっていうのは、よくあるインストアシェアってあるじゃないですか。インストアシェアっていうのは店頭シェアっていう話しなんですけどね。例えばセブンイレブンだったらセブンイレブンの芝公園何とか店のね、売り上げが100万円だったとしましょう。その100万円の中に、自分達の商品がどれだけを占めるのかというのが、インストアシェアなわけですよ。要はそれを見るっていうことは、その小売が売り上げてる100万円っていう売り上げの中で、自分達の商品の売り上げが10%あったらね、自分達の影響力って10%あるわけじゃないですか。10%あるメーカーを小売は無下にはできないので、そういう軸を見ていくっていうのはそうなんですけど。
僕が言ってるこのインストアマーケットシェアっていうのは、相対的なシェア…つまりはネガティブマーケットシェアの事を言っていて。例えばチョコレートを売ってるんだったら、100万円の中でチョコの売り上げなんてのは5万とか…例えば5万にしましょう、分かりやすく。5万だったら、それチョコレートどんなに頑張って売ったってね、50万は売れないでしょ?お店の売り上げが100万円だったら。そうすると、重要なのってその100万円の店舗の売り上げの5万がチョコ全体の売り上げだったとしたら、自分達の商品がその5万のうち何万円取れるか。要はチョコレートメーカーは5社も6社もいるわけですよ。それが20%ずつ分けて5万とかっていう売り上げを作ってるんだとしたら、いかに他社よりも自分達のチョコの方が売れるかっていうことを重要視しなさいよって言ってるのがインストアマーケットシェアなんですよね。
それが高めて行くと、ストアカバレッジが上がっていって、横軸にね。インストアマーケットシェアが高くなっていくと結局利益が出て、マーケットシェアが大きくなるっていう話で、最後はマーケットシェアの戦いをするわけじゃないですか。なので、このインストアマーケットシェアの上昇に努めないといけないと。
東:なるほどなるほど。じゃあこのインストアマーケットシェアをどうやって取って行くかっていうのが、一つ並んだ後には重要になってきて、ここが売り上げを結構左右するっていうことですよね。
森辺:そうですね。当然チョコレートの需要はどんどん上がっていくわけじゃないですか。これは国が成熟していけばある程度グワーッと上がっていくわけですよね。新興国とかだとね。なんだけども、どんなに頑張ったって年間に消費するチョコレートの量って決まってるじゃないですか。そうすると、それは2倍とか3倍にはならないわけですよ。けど、インストアマーケットシェアは自分達の努力次第ではもっと高い倍率で上昇させることができて。
結局、どれだけ敵を倒して自分達のインストアマーケットシェア上げるかっていうことの方が、チョコレートの需要度全体を伸ばす努力をするよりも、簡単だし早いでしょっていう事を言ってるんですよね。なので、このインストアマーケットシェアにこだわるべきだよっていうことを申し上げてると。
東:なるほど、分かりました。じゃあここを疎かにすると、中々インストアのシェアも上がってこないし、それが売り上げにも跳ね返ってこないですしね。
森辺:そうですね。単純に売り上げだけ追っても、他社が売り上げ伸ばしてたら全く意味ないじゃないですか。だからこのインストアマーケットシェアにこだわるっていう事が、結果としてはプラスなんで。折角ストアのカバレッジ上げたら、どれだけそのストアでのインストアマーケットシェアを伸ばせるか。そうすると店側も…大きいコンビニチェーンもね、いわゆる何を置くかとか何をどう並べるかって、結構店の店長や店舗のリーダーに裁量を任せてるケースって多いですよね。そうすると、やっぱりそこのインストアマーケットシェアが高い物は、店舗側も置きたがるし、良い場所に置いてくれるし、良いスパイラルに持ってけるんですよね。なので、このインストアマーケットシェアにこだわると。
東:分かりました。じゃあ森辺さん今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。