東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、今日はどこから…
森辺:はい、今日はですね、香港からお届けしております。
東:香港は久しぶりですかね?
森辺:いや、何ヶ月か前に来た気がします、2ヶ月ぐらい前に。
東:簡単に香港…リスナーの皆さん香港っていうのは結構親しみが深いのかなと思うんですけども、しばらく行ってない方とかもいらっしゃると思うので、どんな感じなのかっていうのをちょっと教えて頂きたいんですけども。
森辺:消費財市場で言うと、香港って人口的にはたかだか730万人ぐらいの市場なんですよね。500万人のシンガポールと大変近しい市場で、アジアの中でも近代的アジアという場所ですけども。
消費財の業界で言うと、平行天国みたいな場所。消費財だけじゃないですけど。特に消費財のメーカーにとっては、ここはもう並行品天国の市場なので、基本的に輸出入の税金がかからない国なんですよね。だから、並行品がものすごいたくさん入ってきてると。だからメーカーにとってもやり方をしっかり考えないと、商品のブランドがしっかり立たない。ただただひたすら輸出入商社経由で並行品が市場に流れて、いいときはガンガン売れてくんですけど、悪い時にはやっぱり叩き売りになってしまって、ブランド力が定着せずにそのままシュリンクしてしまうという。天国と地獄じゃないですけど、そんな意味合いをすごく含んでんじゃないですかね。
一旦流行ってしまうと、目ざとい韓国企業や中国企業がそれに目を付けて、似たような商品を作ってバーンと投入してくるんでね。そうするとまたの状況が悪くなるので、一見非常にやりやすい国なんですけど、いかにその平行をコントロールして、自分たちマーケット作っていくかってことが大変重要なマーケットじゃないかなと思いますけどね。
東:成る程。そうすると、並行品が結構存在しますと。マーケットを見てても。
森辺:例えばお菓子でもそうなんですけど、日本のお菓子ばっかり扱ってて30店舗ぐらいやってるようなそういうお店っていうのは結構あるんですよね。いわゆるセブンイレブンとか、パークン・ショップとか、マニングスとか、ウェルカムスとか、ワトソンズとか、ああいうところじゃなくて、もっとローカルな。後有名なところだと、優の良品でしたっけ。ああいうところとか、ちょっと何か一見「え、日本の店?」って思うようなところで、少し日本風のネーミングになってて、中入ると全部中国製・韓国製・台湾製の、日本っぽいお菓子になってる店もあるし。本当の日本の明治とかロッテとかグリコとか、その他諸々をいろんなお菓子メーカーを並行輸入してそこで売ってるっていうようなところもあるし、様々ですよね。
大きく分けると3通りですよね。いわゆる基本の大手のセブンイレブンとかパークン・ショップとかの小売流通系。韓国と日本のお菓子ばっかり扱う並行輸入ショップ。優の良品みたいに一見日本風に見えて、全然日本の物じゃないようなお店。この3つですよね。
東:そうすると、香港の人は結構日本の物が好きというか、親日な感じなんですかね。
森辺:そうですね。日本の物に対する印象は、非常に良い国ですよね。信頼をしているのは一つありますよね。政治的に親日かどうかってのは別にしといて、日本の商品に関しては親日ですよね。
東:そうすると、日本メーカーとしては人口は少ないけどもマーケットとしては一つのマーケットとして成り立つと思うんですが、一つ並行品ってお話があるんですけども、それに対して外資がどう対処してるとか、日本企業としてはどうすればいいのかっていうのは、森辺さんなりに何かあればアドバイスをいただきたいんですけども。
森辺:結局並行品ってことは、メーカーとしてはね、自分たちの商品がどういう流通を通じて、どういう小売に、どういう風に並べられて、いくらで売られているかっていうことを、全く無視するわけですよね。ですからメーカーにとって一番重要な、消費者が何を思ってそれを買ってリピートしてるのかしてないのかみたいなことも、当然見えないと。これって日本国内でのビジネスで考えたら、もうまったくもって論外な話じゃないですか。でもこれをやり続けると、安売り店みたいなのがあるわけですよ。そういうところに並べられてしまって、そこで安い価格で並行品が出ちゃったら、大手のセブンイレブンとかその価格以上では買わないって話になっちゃうんで、結局マーケットが安売りのちょっとグレーのマーケットに限られちゃったりするっていうこともあるわけですよね。
なので、最初はね、どうしても輸出で平行して、毎年毎年増えていくでいいのかもしれないですけど、ある一定のところまで来たら、やっぱり香港ではどういう小売流通があって、自分達はどの小売流通を、どのディストリビューター使って、どう取ってくのかってことを、しっかり戦略組んで考えてかないと、自分たちの首を絞める。結局安く売られて、自分達の首を絞めちゃうことになるんですよね。並行業者なんてそのブランドが立とうが立つまいが、そのブランドを成長させようなんて気はサラサラ無いんで、今いくら儲かるかと。一~二年ガーッと稼いで、ダメだったら次の商品、ダメだったら次の商品ってのが並行業者のビジネスですからね。
なので、継続的にサステナビリティを持って伸ばしていこうと思うと、やっぱり戦略が必要になってくるってのは、一つあると思うんですよ。外資のマースとかね、フェレロとかね、そういうところはしっかりそれを考えてやってますからね。全然レベルが違いますよね。
東:分かりました。じゃあ森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。