東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き大石先生をお迎えしてお話をしていきたいと思うんですけれども、今回はどういったお話を。
森辺:はい。もう先生、今、今年まさに売れっ子作家さんで、前回、『実践的グローバル・マーケティング』をご紹介しましたけども、実は今年の5月26日にも『グローバル・マーケティング零』という本を出していて、これが真っ黒の表紙の本なんですけど、先生、去年、『マーケティング零』を出しているんですよね?
大石:これ、いや、2015年ですね。
森辺:15年でしたっけ、2年前でしたっけ?
大石:はい。
森辺:2年前に。
大石:2年前になりますね、もう。
森辺:『マーケティング零』という真っ黒い表紙の出していて、小田急電鉄の会長が帯まいてくださっている本なんですけど、この『マーケティング零』がいわゆる海外とかというのを意識しないで、基本的には国内のマーケティングで。
大石:おっしゃる通りですね。
森辺:そのあと、今年出したのが、この『グローバル・マーケティング零』と。
大石:はい。
森辺:当時、確か、『マーケティング零』を出したときからもう、『グローバル・マーケティング零』の構想の話をされていましたものね。
大石:はい。
森辺:その構想がようやく本になったということなんですけど、この『グローバル・マーケティング零』について先生のお言葉でちょっと解説をお願いできないでしょうか?
大石:はい。前回も続いて私の本の売り込みみたいになっちゃいますけど、その最初に2015年につくった『マーケティング零』は、われわれ大学で授業をしているとグローバル・マーケティングを授業しても、実はナンバリング制になっていないので、マーケティングを勉強しない学生が受けに来るんですよ。そこが欧米と違うところで。欧米だったら、1、2年生でマーケティングを勉強して、3年生で国際マーケティング、グローバル・マーケティングを勉強する、で、そうすると、われわれはマーケティングを知らない学生に話さなくちゃいけないから、それで『マーケティング零』という、さくっと分かるものをつくったわけですね。
森辺:なるほど。
大石:その次に、もともとの本命は、この『グローバル・マーケティング零』で、これも先ほどの『実践的グローバル・マーケティング』と同じように、学生とか社会人でこれからグローバル・マーケティングを勉強しようという人たちを対象にしていると。だからもう、ある程度そのグローバル・マーケティングの知見の非常に高い研究者であるとか、そういう人たちを対象にしているわけではないと。だから、アカデミックではないじゃないかとか言われても私は全然構わない、もともと対象が違うので。私の「誰に何をどのように」のこの「誰に」がもともと30歳ぐらいのビジネスマンを対象にしているというところですね、これは。
森辺:じゃあ、もう、ある程度、先生の周りにいる民間企業の方たちって、ぶっちゃけもう、グローバル・マーケティングのある前提の知識としては、マーケティングの知識は持っていて、海外をやっているような人が多いじゃないですか。むしろ、セミプロみたいな人たちが周りにたぶんいらっしゃるので、そういう人たちをターゲットにしているから、1から10まで説明していないですよということですよね?
大石:うん。ただ、この前著と全く同じで事例を上げて、これは編著ですから私の弟子たちと一緒につくったものです。そういう点で個人で書いた前著とはちょっと違うんですけども、やはり共通してわれわれは議論して事例を挙げて、そこの中に流れる論理をきちんと出しなさいと。だから、その論理の時点では、例え、プロフェッショナルであろうと、素人さんであろうと、学生であろうと、大学院生であろうと、学ぶところはあるということ。ただ、百戦錬磨の人たちからすると、事例がちょっと甘いじゃないかとか、あるいは、理論家の学者の先生たちから言われると、論理の説明がまだ不十分じゃないかとか、そういうないものねだりは言われるかもしれませんが、われわれの狙うところはその事例とその論理と、ここをやったということですね。
森辺:いや、これ、リスナーの皆さんにちょっと簡単に紹介しますけど面白くて、第1章とかね、「ネスレにおける製品開発とメタナショナル経営」って、なんか読んでみたくなりますよね。そこから始まって、「IPLCとコカ・コーラのグローバル/リージョナル/ローカル・ブランド」、それが第2章。第3章、「レクサスのグローバル・ブランド戦略の展開と課題」と。第4章で「ダイキン中国のチャネルモチベーション」というのが入って、第5章に「キリンホールディングスの東南アジア市場参入戦略」と。第6章「韓国・CJオーショッピングの海外進出戦略」と。第7章「インドネシア二輪車市場におけるホンダの戦略」、第8章では「グローバル雑誌メディア『Harper’s BAZZAR』の知識移転プロセス」と。第9章に「インバウンドと越境ECの連携」ということで結構幅広く書いていますね、これね、越境まで出しているんですね。
大石:それぞれ、弟子たちの専門を活かしながらやったのでそういうかたちになったんですが.一見バラバラにあるようなんですけども、それは、実はある程度の組付けというか、章の編成には意図があるわけですよね。意図があるんですが、ちょっとそれは置いておいて、いろいろ面白い、確かに章があって、特に、先ほどのインドネシアにおける二輪の、ホンダの二輪の話なんですけどね、先月私が主催しているグローバル・マーケティング研究会に、そのインドネシアから井沼社長に来てもらったわけです。それで、その会場、大学の教室に自分が開発した二輪車を提示したいと、250CCを。でも、大学は、それは無理だと言われたんだけど、いろいろと種々交渉の末、オッケーになって展示したんですね。井沼さんがそこでおっしゃったのは、ホンダは今まで本社でしかグローバル二輪車をつくらなかったと。ところが、このCBR250RRというものは、インドネシア初のグローバル二輪車なんですね。なんでそんなことができたんだと、ホンダの不文律に反するじゃないかと言うんだけど、そこが前回言った経営者の意思というか、井沼さんの強いこの思いですね。それが貫徹していくわけですよ。壁を乗り越えていくわけですよね。その話を生々しく井沼社長自身に語っていただいたんですが、そこから得られる知見というのかな、海外ビジネスの知見というのはすごくやっぱり重要です。単にそれは製品開発だけじゃなくて、ご承知のようにインドネシアでホンダはすごい今シェアを獲っていますよね。それをやったご本人ですよ。やっぱりそれはチャネルづくりであるとか、この製品政策であるとか、すべてのマーケティングの要素がやっぱり含めてあれだけのシェアになったと。その行き着いた先がそのCBR250RRの開発だったということなんです。
森辺:なるほど。相変わらず、この『グローバル・マーケティング零』の本からグマ研の話になっちゃいますけど、やっぱり相変わらずいいスピーカーを先生の力で呼んで面白い話を毎月やっている。今、会員1,500名?
大石:いやいや、もう2,200(名)です。
森辺:2,200(名)!
大石:はい。毎日1人のペースで増えていますね。
森辺:すごいな。リスナーの皆さん、まだ知らない、たぶん聞いている方はみんな入っていってると思うんですけど、もし行っていない方がいたら、毎月、グローバル・マーケティング研究会、略してグマ研というので、先生がいろんな企業の方を呼んでそこで講演をするんですけど、結構、参加者がマニアックな方が多くて、突っ込みがかなりすごいと。
大石:そうですね。
森辺:たまに、ケンカ越しの質問なんかをしていて、スピーカー結構いやだろうなというような面白いシーンも結構あって。いつも優しい大石先生がかなり怖いトーンで、最後は締めの話をするというグマ研ですけど。ホームページで、先生、これ、グマ研とやると出てきますよね?
大石:はい。グローバル・マーケティング研究会で。ちょっと未来のアナウンスをすると8月は講談社の方にやってもらって、これはインドの教育BOPなんですけど、ちょっとマニアックなテーマです。9月は無印の松﨑社長にやってもらいます。それから10月は今交渉中ですが、11月は一風堂、力の源ホールディングスの清宮社長にやってもらいます。それから、来年の3月はおそらく3月か4月ですが、トヨタ自動車のグローバル・マーケティング部長のマツダさんにやってもらうという約束がもうできていると、そういう人たちがみんな登壇してくれると。みんな、これ、参加される方は会費も参加費もただ(無料)ですから。予約も何も要りません。
森辺:そう、ただ(無料)なんですよね。立ち見とか出ているので、皆さん、早めに行ったほうがいいなと。毎回毎回、明治大学の近くの下町ナポリイタリアンでしたっけ? 先生の好きなね。
大石:ええ。ナポリの下町食堂ですね。
森辺:下町食堂ですね、そこで懇親会なんかして、結構、ネットワークも増えますもんね、あそこね。
大石:はいはい。
森辺:スピーカーが大企業の役員なんだけど、その下町ナポリのレストランにまで付き合ってくれるという大変珍しい会だと思うので、ぜひ皆さん検索してみてください。ツイッターとフェイスブックもあります。私もフォローしています。先生、ということで今回、『グローバル・マーケティング零』の話をしていただきましたが、次回、先生、登場最後の403回目になりますけども、引き続きこの『グローバル・マーケティング零』のお話をお願いしたいと思いますので、またよろしくお願いします。
大石:はい、よろしくお願いいたします。
<終了>