東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の続きでディストリビューターの選定のタイミングというか、ディストリビューターは限られていますよねというお話なんですけど、もう1回しきり直しじゃないですけど。
森辺:これはここ数年の中での僕のすごく大きな危機感なんですけど、日本の消費財メーカーのアジア新興国展開に対する大きな危機感で。何に対して危機感を持っているかというと、消費財と言っても、食品もあれば菓子もあるし、飲料もあるし、お酒もあるし、文具もあるし、いろいろあるよね、生活用品もあるし。その中で、各カテゴリーで、例えば、ASEANでもフィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシア、いろんな国がありますけど、そこでやっぱり優秀な主要なディストリビューターって、僕は5社から多くても10社ギリギリ、選ぶ選択肢に入れられるようなレベルのディストリビューターってそれぐらいしかないと思うんですよ。例えば、自分が菓子メーカーだとしたら、菓子で強いディストリビューターって各国たぶん5社いっぱいいっぱいだと思うんですよ。これは飲料でもそうだし、文具でもそうだし、何でもそうだと思うんですよね。そうすると、いいディストリビューターはどんどん取られていくわけですよね。だって、そこと組めば売上が比較的早く上がるわけで、海外のマーケットで市場シェアを伸ばそうと思うと、いかにいいディストリビューターを選定するかということと、その選定したディストリビューターをどうマネジメントするかということの2つが非常に重要だからね。そうすると、ただでさえ欧米先進グローバル消費財メーカーがいいディストリビューターをどんどん取っていっている、むしろ彼らが育てていったという経緯がある中で、今、日本の早い企業もディストリビューターの再構築というのをやり始めているわけですよ。だって、今使っているディストリビューターって15年とか20年前に何となく決まったディストリビューターで、だらだら輸出してきたって。そんな中、その国のポテンシャルが上がってきて、今までのだらだらやってきた、選んできたというディストリビューターじゃなかなか難しくなってきているから再構築を始めている、すごく急がなきゃという危機感を持っているという、そういう話なんですよね。うまく伝わっているかな。
東:そうすると、早くしないといけないということなんですよね。
森辺:うん、早くしないといけない。自分たちが今使っているディストリビューターに満足しているか、満足していないかというのがまずあると思うんですよ。満足していなければ非常に簡単で、どうやって満足するように変えていこうかって話なんだけど、これで満足しちゃっていいのか、よくないのかということにすら気付かないというか、分からないメーカーっていっぱいいると思うんですよ。まあ、それなりにやってくれていて頑張っているのは頑張っているんだよ。ただ、これで満足していいの?よくないの?みたいな、自分たちの、一応目標をクリアしているからそういう意味では満足なんだけど、でも、それって市場の成長のスピードとか成長度合い、その国の経済規模の成長の規模に対して大きいのか小さいのかで見ていかないと、本当にそこで満足していいのかよくないのかが変わってきますよね。だから、そういうメーカーが多くて、そこを考えていかないといけないというのは1つあると思うんですよね。
東:なるほど。そうすると、具体的にメーカーの立場としたらどうしていったらいいのかみたいなのは?
森辺:例えば、50カ国に輸出しています、50カ国に輸出をしていて、日本の消費財メーカーだと1カ国1ディストリビューター制度を引いているから、基本的には50社のディストリビューターと付き合っていて、その各国の国のポテンシャルと自分たちの売上が本当に見合っているのかというのを見ないといけない。例えば、売れているからこの市場は重要だじゃなくて、そもそもその市場の需要度ってどれぐらいあって、その需要度に対して自分たちの売上はどれぐらいあるのかということをまず見ていかないといけなくて。それを見ていったときに、4PでいったらProductに問題があるのか、Priceに問題があるのか、Placeに問題があるのかって、Promotionまで見なくてもこの3つのPのどこに問題があるのかというのを見たときに、売れているのでProductとPriceって全くだめじゃないわけじゃないですか。そうすると、このPlaceをちょっとチューニングするだけで売上って格段に変わるんですよね。それをやっていかないと、ただ、だらだら引き続き50カ国に売っていくじゃなかなか難しいんじゃないかなと。それって終わりが来ちゃうんでね。なので、急がなきゃいけないというのをすごく感じるんですよね、最近ね。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>