東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の続きで、うまくいっている企業は得てしてけっこう情報を持ち得ているということをおっしゃっていたんですけども、もう少し教えていただきたいんですけど、情報というのはかたちに見えないものでなかなか●定期化?定形化?●(02:29)しにくいと思うんですけど、どんな情報を持っているとうまくいきやすいというか、まず基礎としての準備ができるというのは、森辺さんのお考えをお聞かせいただきたいんですが。
森辺:基本的には市場の情報と競合の情報というのがすごく重要で、マーケティング用語で言うと、マクロ環境とミクロ環境だと思うんですよね。マクロ環境というのは本当に市場、要は、自分たちが攻めようとしている市場が一体どういう流通構造になっていて、消費財のビジネスだったらどういう消費者がそこにいて何を求めているのか。はたまたもっと究極なことを言うと、本当にこの市場って儲かるの?儲からないの?ということを見るというのがまず1つじゃないですか。逆に言うと、こっちの情報ってもう出ているので、どちらかというと出る前に収集しているので、マクロ環境、マクロな情報なのである程度日本の企業さんって持っているんですよ。一方で持っていないのがミクロ環境のほうで、平たく言うと競合の情報なんですよね。結局、儲かる市場に出ましたと。でも、儲かる市場であればあるほど、そこで競合と戦うわけですよ。そうすると、その競合がどういうチャネル構造を取っていて、どれぐらいの規模のディストリビューター、何社どのエリアで使っていて、ウィークリー、デイリーでどういうKPIでディストリビューターと動いていて、リテールと何やっているとか、ユーザーにどういう営業をしているとか、そういう情報って比較的持っていないんですよ。特にBtoBの製造業なんか全く情報を持っていない。BtoCはまだあったとしても。けど、ここで言っている情報って自分たちの営業マンが何か言っているとかというそういうレベルの情報じゃないんですよね。調査会社が、プロが集めてくる精度の粒度の情報であって、自分のところの営業のフィルターがかかった情報、もしくは、自分のところの営業が知り得るような情報、こういう情報ではなかなか戦略というのは組めないので、だいぶその質が高い、粒度が細かい、そういう情報を差しているんですけどね。
東:なるほど。そういった情報を用いてもやっぱり準備段階でしかなくて、特に市場が固まりきっていない東南アジアとかだと、まだまだそこからが大切だということですよね。
森辺:そうですね。最初の情報収集で、言ったら仮説を立てないといけないわけですよね。戦略って何かと言ったら仮説じゃないですか。おそらくたぶん、こっちの方向に進んでいくと、こういう勝ちが待っているんじゃないか。この最初の仮説、3割の仮説を立てるために情報の収集が必要であると。その情報の収集が終わって仮説が立ったら、まず動かないとその3割以上にはいかないでしょうね。4割5割はいかないでしょうね。その仮説に向かって走っていくと、「確かに合っていた」ということも出てくるし、「ここは間違っていたな」ということも出てくるので、それを微調整微調整しながら進んでいくと4割5割6割7割と増えていくわけですよね。最初からこの情報収集を怠ると、3割が固まらないので見当違いの方向に走っていっちゃうと。これが一番リーダーとしてよくなくて、見当違いの方向に走っていって「やっぱり右だった」と言ったときに、1回や2回だったらいいですけど、やっぱり下は疲弊するわけですよね。その疲弊が効率を悪くして物事をうまく進めなくしたりとかということになるわけなので、やっぱりこの最初の3割の仮説を持つということはすごく重要ですよ。そのためには情報ですよと。その先は動いて微調整微調整をしていかないとだめですよ。たぶん、何事もそうですよね、きっとね。
東:なるほどね。その微調整微調整を動きながらどうやってしていくかというところもあるということですよね。
森辺:そうですね。動きながらですよね。それが何回もやれてくると、だいたい同じようなケースだとこうなるとかああなるとかというのは分かってくるので、それが経験値になるわけじゃないですか。だから、言ったらそれが社内にナレッジとして蓄積されて、別の国に行ったときに生きてくるし、別の製品でやったときに生きてくるしという話だと思うんですよね。
東:分かりました。今日は時間が来たのでここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>