東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、戦略の後の実行部分に関して、そもそもその戦略が全体的なかたちで情報収集してこなかったので戦略面が弱いというところと、あとは、その戦略を実行するときに実行する人材がなかなか社内にいないんですよねという話をしたと思うんですけど、その辺についてもうちょっと分かりやすくというか、なかなか伝わりにくい部分だと思うので、その辺についてはどう解釈したらいいんでしょうかね?
森辺:僕の解釈なんですけどね、日本の製造業はモノづくりに長けていたじゃないですか。だから、どちらかというと1P戦略というか、基本的には4PってProduct Price Place Promotionと4つのPがあって初めてモノは売れますよと。その4つのPをターゲットにぶち当てて初めてモノは売れると、コトラーは言っているわけですよね。けど、モノがあまりにも優れていたので1P戦略をずっととり続けてきたと。ただ、モノが圧倒的に優れていたという世界観も、いわゆる中国や韓国の企業の台頭と、あと、世の中のイノベーション、例えば、Appleのような企業が出てきたりとか、ダイソンのような企業が出てきたりすることで、何をもって価値とするかということが大きく変わっちゃったと。「品質がいいモノ=いいモノ」じゃなくなっちゃったという世界の中で、なかなか1P戦略が通用しなくなってきているじゃないですか。そうすると、そもそも1P戦略できた日本が今更この戦略をしっかりつくって、戦略をつくるためには情報というインプットを入れてそれを分析して戦略って初めてできるわけなんだけども、それをするということをまずやらないといけないんだけども、そもそも戦略的にActionをしてこなかったわけじゃないですか。Actionに関しても1Pでやってきたわけですよ。「モノがいいから欲しいでしょ?」「はい、欲しいです」の世界で先進国で商売をしてきて、競争にさらされてこなかった、極端に言うとね。だから、Actionに関してもだいぶ1P戦略だと。いきなりそれを2P、3P、4P戦略に変えなさいと言っても、頭は追いつきますよ、日本人は頭いいからね。なんだけど、体がやっぱり追いついていかないんじゃないの?っていう、そういうことなんですよね。この説明だったら分かりますかね?
東:うん…、そうすると、その辺はどう、それはしていったらいいのか?みたいなところに行きついちゃうと思うんですけど。
森辺:いや、だから、僕は、「お金で時間を買いなさい」と申し上げていて。だって、小学校・中学校から多国籍の人と、学校に行って教育を受けているような、いわゆるグローバル人材で世界をもう小さいときから見て、グローバルな環境で育っているような人たちが、グローバルで戦っているわけですよね。そこに、30歳まで日本で国内営業一発でやってきましたという人がいきなり飛び込んで、見えていないから、何となくうまくいっているって自分だけは思っちゃうかもしれないけど、結構、蚊帳の外なわけですよ、そんなの。本当の意味で突進できない。これが60年代とか70年代の、リュックサック1つ背負ってアメリカに売り込みに行って気合と根性で認められたとか、なんかもうそういう時代じゃないじゃないですか。そうすると、そういう感じでもないし、かといって、社内の人間をグローバルに教育をするというと時間がかかりますと。これ、20年ぐらいかかると思うんですよ、グローバル人材の育成なんてね。そうすると、グローバル人材の育成20年かかるので、グローバル人材を外から採ってくるか、もしくは、グローバルという業務を、ある程度広告代理店を使うみたいな感覚で外注をしてしまうかと。切り分ける、自分でやる国、そうでない国という、そういう考え方も1つ僕は重要なんじゃないかなとは思うんですよね。分かりやすく言うと、社内に法務部ってあるじゃないですか。社内でやる法務の仕事もあれば、弁護士先生に外注する仕事もありますよね。人事もそうですよね、社内に人事部あって社内でやる人事の仕事もあれば、社外の人材派遣会社を使うという。広告だってそうじゃないですか、宣伝広告、広報部あるわけですよね。けど、広告代理店使います。それと一緒で、グローバルも、社内でやるグローバルの事業と外に出すグローバルの事業というのが、僕は、あっていいはずなんですよ。ただ、そもそも日本はグローバルじゃないから、製造業の1P戦略でやってきたから、そんなグローバルな支援をするという支援側の体制が著しく弱いというのも、僕は1つ大きい要因で、言ったら、われわれ側のまずさというか、あれも1つあるんだと思うんですよ。もっとわれわれみたいな会社がたくさんいて、そういう支援ができるような状態であれば、きっと日本の企業も1P戦略でいかなくてよかっただろうし、支援する側の問題というのも1つあるのかなと思うんですけどね。ただ、1つ間違いなく言えることは、「時間をカネで買え」というのは、僕はすごく思います。社内でやっていてももう間に合わない、そんな気が、グローバル市場を見ているとすごく感じたりします。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>