東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回はBtoBのお話だったと思うんですが、たぶん、マーケティングはあまり必要性を感じないというか、マーケティング自体をあまり重要視していないという中で、たぶん、日本で売る分には、たぶんそれでよかったと思うんですよね。海外、グローバルに出ていくと、マーケティングがたぶんしないといけないと思ってくると思うんですが、その辺の違いって何か?
森辺:いい質問ですね。日本だと、ぶっちゃけ、既に固定顧客がいるわけじゃないですか。その顧客がこういうものをつくってほしい、そういうものをつくってほしいと言って、それをつくって売るわけですよね。それが定番化していくと、それがその会社の製品になって、いろんな日本の会社に売っていくと。当然、海外にも輸出をしていて、日本企業しかつくれなかったものだから、高い技術を駆使してつくったその商品が世界中で売れていったというのが、今までのステージだと思うんですよね。製造拠点をアジアに移してしまったということで、当然、アジアの企業でもつくれるようになって、今、競争激化しているわけじゃないですか、20年前には自分の会社+日本の競合しかつくれなかったものが、今では、韓国、台湾、中国の企業でもつくれていると。15年ぐらい前は安かろう悪かろうだと、あんな商品に負けるわけないってやってきたんだけども、ここにきて、「あれれ? 結構いいモノつくるじゃん」というのが多くの日本のBtoBの企業の現状だと思うんですよね。特殊な技術が必要なメーカー以外はみんなそういう状況になっていると。そんな中でアジア新興国に出て、われわれはいわゆるピラミッドの上を狙いますと。下は徐々にですとかね、下には出ても勝てませんとか、そんな状態で、アジアでボリュームゾーンが重要だと言っているにもかかわらず、ピラミッドの上を狙うしかないような、そんな構造になっちゃていると。日本では固定客がいたし、いたということは1つだと思うんですよ。海外に行くということは、言ったら、新規じゃないですか。確かに、日本の企業は地位も高いだろうし、いろいろな意味で知名度もあるのかもしれないけども、値段も当然高いわけですよね。僕、これってなんか競争環境がすごく変わったから、日本と海外だと違うというのは1つあると思うんですよ。いわゆる過去の時代は、日本企業しかつくれなかったから、基本的には競合はいなかったので日本の企業の商品が売れていったと。けど、今ってアジアの企業でもつくれるわけなので、競争環境が全然変わってしまっているので、マーケティングをしないと勝てないですよと、つくる力だけじゃなくて売る力が必要ですよと。売る力=マーケティングなので、そういう要因が1つ大きいというのはあると思うんですよね。
東:そうすると、やっぱり戦う相手が結構変わってきているというのが1つ大きな要因なんでしょうかね。
森辺:そうですね。今までは、戦う相手が日本企業だった、もしくは、いなかったと。自分たちしかつくれないわけですからね。それが、アジアの企業でもつくれるようになった。つまりは、つくる力だけじゃ勝てなくなっちゃった、売る力が必要になっちゃった、マーケティングが必要になっちゃったと。それに気付いていないBtoB企業というのがたぶん大半なんじゃないかなと思いますね。
東:それはやっぱり、そこでたぶんマーケティングをあまり今までやってこなかった企業にとっては、マーケティングをやったらどうなるのかというのはなかなか見えないと思うんですけど、その辺は森辺さん、どう思う?
森辺:僕は、マーケティングをやったら事実が明らかになると思っているんですよね。見えなかったもの、見ようとしていなかったものを明らかにすることがマーケティングの第一歩だと思っていて。分からないことを可視化をしますと、明らかにしますと。明らかにするからそれを分析したり考えたり思考を働かすことができて。そうすると、それが次の戦略につながっていくわけじゃないですか。だから、マーケティングって分からないことを明らかにして、次の一手を打つための非常に強力なツールだと思っているんですよね。今までは、よりいいものをつくることがBtoBの製造業にとって最も強力なツールだったわけですけど、競争環境がこれだけ劇的に変わると、それだけだとなかなか難しいんじゃないかなと思うんですよね。
東:分かりました。森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>