東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、欧米企業と日本企業の違いということで、参入戦略と人材というかたちで2つ挙げていただいたんですが、最後に、「参入戦略のときに調査会社等の外部のリソースを借りて、自前ですべてやるのではなくて時間を買う」というようなことをおっしゃっていたんですけども、その辺の違いって結構鮮明にあると思うんですが、もう少し詳しく教えていただければと思うんですが。
森辺:言ったら、日本の企業って、旧来からあるような概念とかやり方とかというものがやっぱり正しいと思っているところが非常に強くて、新しい概念だったりを取り入れないんですよね。産業構造とか業界構造って30年とか40年で一回転していくじゃないですか。その中で価値観とかってすごく大きく変わっていくわけですよね。その価値観が大きく変わるって、いわゆるパラダイムシフトが起きている中で、新しい概念を素早く取り込んでいくという能力に欧米はやっぱり長けていると思うんですよね。欧米というかアメリカが長けていると僕は思っていて。日本はやっぱり古き良き習慣をよしとしちゃうところがやっぱりあって、なかなかそこが出遅れの1つの要因になっているんじゃないかなと。自社の人間で全部できれば、自社で全部できれば、それにこしたことはないですよね。ただ、国内営業を20年やってきた人にいきなり海外やれってそんなの無理に決まっているじゃないですか。彼がまたそこで10年20年かけて得るまでに市場はガラッと変わっているわけですよ。そうは言って、グローバル人材をじゃあ外から採ってくると言っても、日本の東京の本社がグローバルじゃないのに本物のグローバル人材なんか採ってきたら、言ったら、すぐ辞めてどこかに行っちゃいますよ。そうすると、偽グローバル人材みたいなのは馴染むわけですよね。そんなのをするんだったら、外部のノウハウを持っているところを、時間を買うという考え方のほうが、僕は適切なんじゃないかなと思うんですよね。
東:結果的に安く済むんですね。
森辺:結果的に安く済む、そうそう。だって、自分たちの社内にいない人材を一定期間、言ったら、少し割高なお金を払って借りてくるという話ですよ。雇っちゃったら切れないわけじゃないですか、基本的には辞表を出してもらわないと日本の会社は切れないと。だから、外部を使えば半年1年でパンパン切れるわけですよ。だから、そっちのほうがよっぽどいいし、欧米はやっぱりその辺がすごく長けているので、リサーチをするという習慣、リサーチが費用じゃなくて投資であるという考え方とかね、あと、コンサルティング会社をバンバン使う。コンサル担当をうがった目であまり見ないという。だって、自分たちよりもノウハウを持っていれば、それがノウハウがあると思える瞬間まで使いまくって使い捨てたらいいわけですから、抱えずに済むわけですよね。
東:なるほどね。
森辺:もう1つあるのが…、まだ大丈夫かな、時間?
東:大丈夫です。
森辺:もう1つあるのは、オープンイノベーションという考え方があるじゃないですか。それも言われてかなり時間が経っていますよね。でも、やっぱり欧米に比べるとオープンイノベーションの取り組み、火のついた時期もやっぱり遅れているし、オープンイノベーションなんかまさにそうじゃないですか。大企業が新しい、いわゆる新事業を社内で生めないなんていうのはまさにそうでしょう? 僕はあれ、すごく海外事業と似ているなと思って。大企業が次の柱の事業をつくらないといけないって新事業を生もうとするじゃないですか。けど、基本的には生めないわけですよね。だって、ベンチャーには敵わないわけじゃないですか。片や、会社を辞めてベンチャー企業をつくっている人ってもうリスクとりまくって事業をつくるわけじゃないですか。一方で、大手の枠の中でいわゆる社内ベンチャーみたいな、リスクとらないわけじゃないですか。だから、リスクのとり方が違うし、覚悟も違うから当然できないよねというのと一緒で、海外だって一緒だと思うんですよね。であれば、外部をガンガン活用するというのは、僕は適切な考え方じゃないかなと思うんですけどね。
東:分かりました。森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>