東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、セミナーを結構最近やっていると思うんですけども、セミナーの中で出た質問をちょっと社名とか分からないように共有したいと思うんですけれども。セミナーの中で、小売への交渉力、外資と日本で違いがあるということを、森辺さんはおっしゃっていて。その中で外資のほうが強いですよねと。日本は日本で、例えば、すごい大きな消費財メーカーさんなんかはいろんな商品を持っているわけじゃないですか。ただ、組織的に事業部制になっているので、なかなか総合的に小売に交渉力を交渉して当てられないみたいな、たぶん組織的な疎外みたいなのはあると思うんですが、その辺はどうしたらいいんでしょうかみたいな話があったと思うんですけど、その辺もうちょっと詳しく教えていただきたいんですが。
森辺:その手の質問、結構よくあって。経営者向けのセミナーというよりかは現場でバリバリやっている実務者向けのセミナーに行くと、やっぱりその悩みというのは出てきますと。やり方論という、いわゆるモノとは別の次元で、たぶん彼が会社で悩まれていることなんだと思うんですけど。消費財の場合、小売との交渉力というのは、結局アジア新興国の小売は棚代を取るんですよね、エントランスフィー取りますよと、リスティングフィー取りますよと、そういうフィーを取っていくという、そのフィーを相対的に下げなきゃいけないという問題もそうだし。やっぱりあと小売店の中でどれだけ自分たちが優位なポジションに多くのSKUを並べていくかということも重要だし。あと、年に何回もやっているキャンペーン、諸々そういったものでどうやって消費者に優位にアピールをしていくか、なおかつ、お金が●回らないように●(04:13)していくかということを考えると、やっぱり総合メーカー、総合消費財メーカーが総合力をふんだんに活用してドーンと行ったほうが小売との交渉は楽になりますよね。
東:多くのSKUを持って、多くの商品を持って、小売に当てていったほうが当然いいということですよね。
森辺:そうですね。食品で言えば、調味料から、分からないけど、炭水化物系から、袋めんから、ドリンクから、ビールからみたいな、あるのかないのか分からないですけど、仮にあったら、食品メーカーで、そういう総合でボーンと持っていったほうがいいし、それはインストアシェアが上がるわけじゃないですか。小売店の中で自社の商品の売り上げが上がるということは小売店に対する自社の重要度というか影響力、これが上がっていきますから当然交渉力が上がりますよと。片や、食品メーカーでも、自分たちはピーナッツしかつくっていませんということであれば、もうピーナッツで勝負するしかないので、ピーナッツのSKUを増やすしかないわけですね。塩味、チーズ味、醤油味とか。そうするとやっぱり総合メーカーのほうがそれだけ小売にとっての交渉力は上がりますよと。ただ、これが海外に行くと全く生かせていないと。日本だと横の連携をしっかりやってそれを生かせているんですけど、海外に行くと、日本ってやっぱり事業部制でずーっと成長してきたじゃないですか。これ、FMCGというような消費財とは別に、白物黒物の家電なんかはもう、ものすごい事業部の力って強いわけですよね。事業部長と言ったらほぼ天皇陛下に等しいぐらいの社内の影響力を持つ中で、A事業部B事業部C事業部、どれもスーパーで売られている商品なのに、小売店で売られている商品だから全部セットで行ったほうが絶対効率もいいし、交渉力も上がるのに、AはA、BはB、CはCって海外で行っちゃうわけですよね。それがやっぱりずっと問題視されていて。一方で、外資のグローバル企業はFMCGで言うと、ネスレもP&Gもユニリーバもそこはやっぱり総合力で行くし、エレクトロニクス系なんかもフィリップスとかものすごい総合力なんですよ、小売との交渉って。あと、今、最近の韓国とか、台湾、中国の企業もそこはやっぱり重要視しているので、そこはちょっと日本企業はもったいないなという。「それ、どうしたらいいんだ?」という、そういう悩みなんですよね。
東:はい。どうしたらいい?
森辺:最近というか、ここ10年ぐらい、リージョナル…、リージョン事業部みたいなのができて、もしくはリージョナルヘッドクォーターなんていうのも言ったら地域統括ですけども、地域で一旦統括して、その地域は総合的に攻めましょうみたいな、そういう位置づけもあるわけだから、リージョンの事業部で横串刺すと。A事業部B事業部C事業部全部横串グサッと刺して海外に持っていきますよと。もしくは、海外事業部というのがあって、A事業部もB事業部もC事業部も海外事業部が全部やるよという、こういう流れになってきている企業も当然多いんですよ。なんですけど、やっぱり事業部長の事業部の力が強すぎちゃって、「うちはこうだ、ああだ」と。つまりは、事業部の力が強いところは事業部の中に海外事業部が取り込まれていくという。縦軸が事業部だとして横軸がリージョンだとすると、もしくは海外事業部とかだとすると、事業部の力があまりにも強すぎて海外事業部が取り込まれていっちゃう、横串が刺さらないと、これがすごい問題視されている。
東:なるほど。そしたら、もう1回ほどこれはもう少し深くお聞きしたいので、今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>