東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の続きで、事業部制度が日本は強すぎて、海外事業部がすべての事業部に横串を刺して本来だったら総合メーカーなんかは小売と交渉すべきなんでしょうけど、その横串となるべき海外事業部、もしくはリージョナルの串がなかなか事業部には刺さりにくいというお話だったと思うんですけど。その辺をもう少し分かりやすくお伺いできればと思うんですが。
森辺:基本的に日本企業なので、この1億2,700万人の日本の市場が最も重要視されて今まで来ているわけですよね。その中で創業期の事業部があって、新しい事業で2つ目の事業部ができて3つ目の事業部ができてという、こういう過程を戦後70年かけて日本の企業は成長していっていますと。そうすると、絶対的に日本市場だし、その日本市場で収益を上げてきた事業部というのが絶対的な存在としてありますと。アメリカやヨーロッパの市場というのはもう早くから先進国の一大市場として取り組みをしてきて、今、ここにきてアジアだと。そういう中で、なかなか事業部単体でバラバラでいくよりも、一体となっていったほうが効率がいいと。これは小売への交渉力ということで今回フォーカスしているけども、何をやるにもそうですよね。ただ、事業部の影響力が強すぎてなかなかグローバルで不利に回ってしまっている。欧米の先進的なグローバル企業というのは、効率的な仕組みを非常に重要視するので仕組みが非常に効率的で、効率的に事業部の壁を突破して総合力で小売との交渉をうまくやると。そんな中で日本企業の現場は悩むわけですよね。海外のA社は総合力で小売との交渉が非常にうまいと。うちも同じだけのラインナップを持っているのになかなかまとまらないと。一応、名ばかりのリージョン事業部みたいなものがあって横串は刺しているけども、刺さりきっていないみたいな。よくよく話を聞いてみると、事業部のトップの事業部長は天皇陛下ですと。もちろんそうですよね、一番事業、その収益を稼いでいる頭ですから、それに対して、海外事業部とかというと、日本国内と比べたら海外売上比率というのは小さいので、当然海外事業部の事業部長よりも●本流●(04:56)事業部の事業部長のほうが。
東:いい?
森辺:だいぶ力があると。そうすると今までの体制のところに横串を刺すって全く違う動きをしようとしているわけじゃないですか、刺さらないですよね。だから、そこの人選が、僕、間違っていると思うんですよね、日本企業はね。対して、オーナー企業は社長のツルの一声で「やれ」と言ってドーンと行くから海外早いじゃないですか。大企業、図体がデカくなっちゃった大企業が中途半端に海外展開をするときに、アジアなんかは商品のよさだけではなかなか浸透していかなくて、いろんなマーケティングを含めた総合力が必要になってくるから、うまく今シェアをとれていないわけじゃないですか。そこでやっぱり今までの事業部の流れから大きくグローバルに横串を刺していくというときは、海外事業部なのかリージョン事業部なのか分かりませんけど、横串を刺すリーダーが事業部のリーダーよりも偉くなかったら、横串なんか絶対刺さらないですよね。だから、そこがやっぱり違うんじゃないかなと思うんですよね。
東:外資はどうしているんですか、その辺は?
森辺:外資はやっぱり横串のリーダーというのが強いですよね。そこの人選がそうなるということは火を見るより明らかなので、まず横串を刺せる人選がそこに入ってきますよね。あんまりそこに私情を日本みたいに挟まないじゃないですか。例えば、入社が早い遅いというのは外資系企業でそんなに大した話ではないので、事業部長が先輩だとか何とかというのはまず関係ないですね。外から採ってくるケースだってあるでしょうし、横串を刺すということがミッションなので、そのミッションを全うするということができる土壌、風土が外資系の企業にはあると。一方で、日本の場合は、自分の役職、立場で置かれているミッション以上に、いかにうまくやっていくか、協調するかということのほうが重要視される組織じゃないですか。なので、摩擦よりも協調ということになるので、そんな風土の組織で横串なんか絶対刺さらないので、外資とは違うということだと思うんですよね。
東:なるほど。ちょっとその辺の組織的な構造も結構ボトルネックになってくると。
森辺:なってくると思います。
東:分かりました。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>