東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、中小企業向けの東京都のセミナーとかもやったので、そこでも質問で出たと思うんですが、どっちかと言ったら、中堅中小企業の方は大企業ほど海外進出にリソースもないしお金もかけられないみたいな悩みがある中でどういった質問が多かったんでしょうか?
森辺:前回の、マーケティング協会…じゃなくて東京都の中小企業振興公社の、●(02:42)が受けたセミナーですね、主には中小企業の経営者が中心で、質問の内容としては、「中小企業がどうやって海外グローバルしていけばいいの?」というそういうお話だったんですよね。中小企業は経営資源、人・モノ・カネ・情報が大企業に比べて相当少ないですと。それでも海外市場に活路を見出していくためには、大企業と同じ戦いをしてたら勝てないよというのが、まず僕の考え方。かと言って、中小企業だからジェトロが何とかしてくれる、経産省が何とかしてくれる、誰かが何とかしてくれる、もしくは、僕たち中小企業だから何にもしなくて出ていっていいみたいな話でもないという。経営資源がない中で本当に海外という、ある意味恐ろしい市場に乗り込むという経営判断をするのであれば、やること3つに絞れみたいな話をしたんですよね。1つが、出ない戦略ですと。要は、僕、なんで大企業と戦い方が違うかと言ったら、われわれに依頼してくるような大企業って「3年5年で100億つくりたいんだよね」という時代じゃないですか。「そのためにどうすればいいの?」と。「3年ならM&Aしましょう、5年なら自力でチャネルつくりましょう」みたいな、そういう話だと思うんだけど、彼らは100億を得るために投資するわけじゃないですか。けど、中小企業が海外で求めている売上って100億じゃないですよね。数億とか10億とか、そういう売上であると。そのために現地に出るということはまず必要ないから、基本的には輸出ですと。サービス業だったら出なきゃいけないので出て行ってくださいね。ただ、中堅中小の製造業がアジアで求めている売上が小さいんだから、まずは出ない戦略で輸出を促進させていく必要がありますよと。これ、輸出をやるということは現地に自分たちの現法を置かないということなので、何が重要になってくるかと言ったら、自分たちの商品をディストリビューションしてくれるディストリビューターが必要になってくると。大手でも、このディストリビューターの選定プロセスが非常に曖昧で、明確な基準があって選定をしているかと言うと、そうじゃなくて、20~30年前に何となく問合せを受けてずっとやらせているとか、何となくよさそうだからとか、大手だからとかという理由で決めている相手を使っているよと。これって逆に中小企業にとってチャンスで、この選定プロセスにしっかりお金と時間をかければよりいい相手が掴めると。中小企業って、結局、大企業よりもプロダクトもプライスも劣るわけじゃないですか。だって、大量生産できないから部材だって調達コスト高いからプライスだって高くなるはずなんですよね、原理的にはね。プロダクトだって大手と同じようなものをつくっていたとするとね、大手のほうがそりゃあ技術力だってあるだろうし、品質だって高いだろうから、プロダクトでも負けていると。そうすると、チャネル、このチャネルで勝れば勝てるわけですよ。これって、日本企業と中国企業とか日本企業と韓国企業とか見たらそうで、彼ら日本企業よりも製品いいかと言ったらよくないわけじゃないですか。だけど、チャネルで勝っているから勝っているみたいな。その理論を持ち込めば、チャネルをしっかり組めば勝てますよということですね。そのチャネルって何かと言ったらディストリビューターの選定だから、その選定にお金と時間をかけなさいというのも2番目の課題としてお話をしました。じゃあ、3つ目は何ですか?と言ったときに、ディストリビューターって契約して決めて、あとよろしくねじゃ絶対にアジア新興国のディストリビューターは動かないので、いかに彼らを管理育成していくかって話なんですよね。ただ、大企業でもこの管理育成のノウハウがない中で苦しんでいるわけじゃないですか。中小企業がどうやってやるんだ?って、もう当然そうなので、管理育成とまでは言わないので、コミュニケーションをとりましょうと。彼らとできる限りコミュニケーションをとろうと。その3つをまずやってみてくださいと。そしたら、海外売上、数億、10億、20億ぐらいまでは数年でいけますよという話をしました。大企業でも一緒なんですけども、ただ、中小企業はやっぱり経営資源が少ないので、やることを3つに絞りましょうというのが今回のお話だったという感じです。
東:分かりました。それを聞いてちょっと反応はどんな感じだったんですか?
森辺:よかったと思います。100人ぐらい来られていました。四谷でやったんですけど、東京都さんに立派なステージを用意してもらって、お話を1時間ちょっとぐらいさせてもらって。質疑が意外にバーッといっぱい出まして、いろんな質問をしてくださって、うれしかったですね。その質問がやっぱりチャネル重要ですよねというのと、あと、自身で悩まれていることとかね。その後、名刺交換なんかしてお話をする中でもやっぱり皆さん真剣で、中小企業さん、経営者の方々、真剣で頑張ってほしいなというふうに思って。ただ、感じたのは、10年前の中小企業って、どっちかと言うと、自分たち中小企業だから主催者側に何とか支援してよみたいな、財団法人とか東京都中小企業振興公社とかにおんぶにだっこみたいな、そんな感じだったんだけども、何とか自力でしようという、そういう経営者が中小企業も増えてきているんじゃないかなと思って、世代交代しているのは確かだと思うんですよ。意外に、僕よりは年上なんですけど、昔のあれから、たぶん3代目4代目とかになってきているのか分からないですけど、マインドがすごくよくなってきた、そんな感じを受けましたけど。
東:分かりました。森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>