東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、森辺さんの講義の中で、グローバルで日本企業がちょっと出遅れているという話をすると、そこに問題意識を持つということをおっしゃっていたんですけど、学生さんたちはどんな、聞いた感想というか、疑問というのはどういったところに持つという?
森辺:当時の、出遅れたというときの経営判断がどういうところからそういう経営判断に至ってしまったのかという、内部的な環境と外部的な環境をやっぱり知りたがるので、それを内外の環境に分けて説明をしてあげる。そうするとやっぱり、うちのそのクラスは優秀なのかもしれないけど、学生たちは今度次に考える質問の流れが変わるんですよ、トレンドが。途中で30分ぐらいの質問の時間をとるんだけども。そうすると、今度、じゃあ、次の10年20年でどういう方向に自分たちの会社、日本企業を進めていくことがこの開いた差を埋めることなのか、そこに対する、やっぱり質問になってくるんだよね。当然、それは、その後(あと)を追っていたのでは先に進んでいるほうも同じようなスピードで走るわけだから、2倍速3倍速で走れないと追い付かないですよね、永遠に。もしくは、そこにイノベーションを起こすから戦い方が変わる。要は、今までの同一線上のステージで戦うと、いわゆる、追い付け追い越せになるじゃないですか。イノベーションというのは、その追い付け追い越せをしない。別の次元の価値観で戦うから、例えば、ウーバーなんかそうだよね、タクシー会社で進んでいるところがあって、そこに追い付け追い越せの戦いをせずに、ウーバーというインターネットを使って、車を1台も持たない世界最大のタクシー会社になるとかね。テスラもそうでしょ、自動車メーカーじゃないのに、エンジンはあるんだけど、いわゆる動力をガソリン燃料からエンジンではなくて電気のモーターに替えることで一気に伸ばしていったと、アッセンブルにしてね。だから、そういうイノベーションをどうやって販売チャネルの領域で起こせるのかという議論になって。そこの質問を答えてあげるということと同時に、議論させるというのがまた大学の授業ではすごく重要で。先生に質問して答えを教える、教えなきゃいけないことと、それを学生に議論させる。「じゃあ、君たちだったらどうイノベーションを起こせる?」という、「どういうアイデアで何ができる?」という、そういう場にしてあげないといけないんですよね。だから、逆にそういう場をつくってあげて、学生同士でそれを議論をして、発表をして、それにコメントを付けてあげるという、そういう場になったりするんですよね。そんなことをやっているという。
東:その議論はどういう感じ? グループディスカッションみたいになると思うんですけど、どういう議論がされたりするんですか? かいつまんで聞いていると。
森辺:「あー、なるほどな」と、「そういう考え方もあるな」と思うんだけども、やっぱり自分の頭の中は一番よく分かっているし、自分の考え方が一番しっくりくるじゃない? 誰でもね。なんだけど、それをやっぱり議論するというのはすごくいいことで、他人の考えを受け入れていくという、それはやっぱり重要なことなので。僕じゃ絶対こんなアイデアは出ないなとか、そんなことが出ますよね。なので、なかなか僕もいい経験をさせてもらっているという感じですね。
東:分かりました。何かほかに法政(大学)のほうで。
森辺:1つ、たぶんリスナーの皆さんにあるとすると、MBAも捨てたものじゃないなと思って。僕は、今まで、「そんなMBAに行ってわけの分からないことを学んでいるんだったら、社会に出て実践で」って思っていたんですよ。僕自身がそうだったのでね。26歳で中国に渡って、お金もなくてクソ貧乏でみたいなところだったので、実践で学んだほうがいいと思っていたんだけども。それはそれで必要だけど、やっぱりMBAでしか学べないものというのはあるので、一時期、MBA持っていると、「すごい!」みたいなね、けど、今だと、「MBAが何なの?」みたいな、「アイビー・リーグじゃなきゃ意味ないし」みたいなとこもあると思うんですけど、必ずしもそうじゃないなという感じは、僕は受けているので、ぜひ、迷っている方がいたら一旦MBAに行くというのはいいことだと思います。たかだか2年ですからね。特にまだ20代30代前半の人、頑張ってみてください。
東:分かりました。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>