東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、日経ビジネスの記事の話をちょっとさせていただいたんですけれども、たまたまこういった例が出ていますけども、企業さんからの立場からすると結構勇気はいることだと思うんですよね。ある会社に、われわれじゃなくても、海外の業務を委託するということは、逆の、お客さんの立場で言うと結構勇気がいることだと思うんですけど。森辺さんから見ると、うちらがサービスを提供している側から見ると、そこの企業がわれわれとかそういったアウトソーシングをする理由というか、動機というのは、どういったところにメリットを感じてられるのかというのを少し森辺さんなりの考え方でいいんですけども、教えていただければなと。
森辺:やっぱりROIを考えるんだと思うんですよね。この手の話って、社長ないしは経営者でないとまず判断ができない。だって、自分たちの、いわゆる内部リソースを使わず、外部のリソースを使おうという話なわけですよね。何でもそうなんですけど、事業って投資じゃないですか。3年間でいくら投資していくら返ってくるのかという。それを社内の人間を使うという投資方法でリターンを得るのと、外部を使うということは当然お金がかかるわけですよね。なんですけども、それで得られるリターンのほうが多いと見込む。ないしは、外部を使うんだけども、結局、これだけのノウハウを持った人材を新たに雇用した、もしくは、社内の人間を教育をしたときにかかるコストというものを折り込むと、たぶん外部を使うということはそんなに高くないはずなんですよ。それを使って得られる効果というのは今の内部環境を見渡したときに、自分たちの経営資源を見渡したときに、人・モノ・カネ・情報を考えても、リターンがデカいだろうなと踏んでわれわれを使うというケースがほとんど。だから、3年でいくらいくらの投資になると。なるけども、その3年で投資をする分を、社内でそれを雇ったら、もしくは、社内でそれを再教育、グローバル教育をしたときのコストと比較をして、なおかつ、3年後のリターンを換算すると外注したほうがいいという、単純にそれだけの判断だと思うんですよね。非常に計算式がシンプルで。即決即断するわけじゃないですか、経営者はね。だから、そういう計算なんだと思うんですよね。僕は、企業さんにとって見るとこういうふうに感じるんだと思うんですよ。やっぱり内部の環境と外部の環境、両方見る。自分の会社にはそんな人材がいないし、ノウハウもないということが1点、これは内部の環境ですよね。もう1個、外部の環境というのは敵のスピードと競争するわけじゃないですか。そうすると、敵が時速80キロで走っているところを、自分たちの内部環境は時速40キロしか出なかったら、時間ごとに40キロずつ差が開いているわけですよね。なので、であれば、敵が80キロなんだったら100キロ出せる外部を使うと、単純にそういう話だと思うので。企業さんから見ると、そういう内部の環境と外部の環境、両方見て判断していると思うんですよね。
東:内部の環境と外部の環境を比べたときの時間軸で費用対効果を見ているというところがあるということですかね?
森辺:と思いますね。というのも、やっぱりまだアジアなんかは市場が完全に固まってはいないじゃないですか。欧米が先行しているとは言えども、まだ完全に固まっていない。ただ、固まりつつあると。そうすると、今やらないと、完全に固まってからひっくり返すってこれ無理なので、難しくなっちゃいますよね。そうすると、やっぱり日本企業に残された時間がないので、内部でちんたら5年10年かけて人材教育する、もしくは、自分たちの色に染まっていない社員を新たに雇ってやるという方法よりも外部のほうがいいと。逆に言うと、もうグローバルだめだ、失敗、もうやらないと言ったときに、外部だったらその場で切れるわけですよ。要は、リスクが3年なら3年、2年なら2年で済むと。ただ、1回人を雇っちゃったら日本の場合、ほぼ終身雇用ですよね。相当荒っぽいことをしないと切れないわけですから。そういう意味でもそっちのほうがいいという判断をする企業が増えてきているというのは、僕の肌感覚として、トレンドとしてはやっぱりすごく感じますよね。
東:分かりました。森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
<終了>