第107回 欧米メジャーと先駆者利益
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テキスト版
皆さん、こんにちは。スパイダーの森辺です。今日は、欧米メジャーと先駆者利益についてお話をします。アジア新興国市場において、この先駆者利益というのは大変重要です。FMCG業界においては、欧米のメジャーは過去20~30年の歴史の中、この先駆者利益というものを非常に果敢に掴んでいったと。今日は、この欧米メジャーと先駆者利益の相関関係について学び、そこからわれわれ日本企業がどう先駆者利益をものにできるのか、こんなヒントを探っていければと思います。後ろの図は、欧米メジャーと日本企業のアジア新興国進出の時期を表したものでございます。この欧米メジャーというのは、FMCG、食品、飲料、菓子、日用品等のFMCG、並びにその周辺業界の企業、例えば、P&G、ユニリーバ、ネスレ、ジェネラル・ミルズ、ペプシコ、コカ・コーラ、ケロッグ、クラフト、こういう企業を指しています。こういう企業、特に、P&Gとか、ユニリーバ、ネスレというのは、アジア新興国を市場と捉えた時期が大変早い。1980年の後半には、もう重要戦略地域として、アジア新興国を市場として捉えた。ASEANを市場として捉えた、中国を市場として捉えた、インドを市場として捉えているんですよね。一方で、日本企業、1980年代、日本で作っていたら多くのものがなかなかコストが合わないということで、確かにアジア新興国に生産拠点を移転した。原材料を新興国から輸入した、こういう意味でのアジア新興国進出はしたんですが、マーケットとして捉えたのって、ここ最近なんですよね。
中国なんかよく2000年代前半なんていう言い方をされますけども、結局、売り始めたとか、マーケットとして市場として捉え始めたのは、それぐらいかもしれないですが、本気になったのって本当にここ最近のこと。結局、欧米のメジャーと日本企業との間には、もう15年から20年ぐらいのこの参入の差があるんですよね。アジア新興国、特にASEANにおいては、欧米のメジャーは、日本企業よりも15年20年早くいっていますから、そもそもそこにモダントレード、MTという小売業態がない時代からTTの攻略をしていたと。
アジア新興国のディストリビューターの歴史、長くてもたかだか30年ぐらいなんですよね。こういう30年ぐらいの歴史観しかないディストリビューターというのも、欧米のメジャーが一緒になって彼らを大きく育てていったと。だから、彼らは欧米のメジャーの商品を優先的に扱うし、P&Gに育てられて、ネスレに育てられた、ユニリーバに育てられたというディストリビューターもアジア新興国にはたくさんいると。これだけ、差が開いてしまっている状況をあとから追っている、というのがまさに今の日本の消費財メーカーで。20年はやっぱり差が開いちゃっている。この開いた20年を埋めるには、相当のスピード、そして、相当なイノベーション、変化、こういったものを取り入れないと。彼らもどんどん発展していくし、彼らはなんで早く出たかと言ったら、チャネル構築に時間がかかるということが分かっていたからですよね。チャネルというのは10年20年かかってやっと模倣困難性の高い強固なチャネルが出来上がりますので、それをあとから追っていくということは相当に大変である、ということを日本企業はしっかりと認識して、これからもアジア新興国のチャネル構築に取り組んでいかないとならないと思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。