小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日は前回に引き続き、マーケティング研究協会で参加者の皆さまから出た質問についてご回答いただきたいと思います。本日がラストになります。
森辺:ラストね、いいね。小林さん、疲れたよ、俺は質問に答えるのに。
小林:ラストなので。
森辺:ラストね。
小林:頑張りましょう!
森辺:頑張りましょう!
小林:質問をご紹介させていただきます。欧米の市場とASEANの市場を比べたときの違いについて教えてくださいという質問です。
森辺:ありましたね。これ、小売市場のことを言っていたんだと思うんですね。ASEANの、いわゆる小売流通事情と欧米の事情ってどう違うんですか、販売チャネル含めてどうなの?という、チャネルの違いね。そもそもこれ、FMCGの販売チャネルのセミナーだったので、ASEAN編だったので、それと比べてアメリカどうですか、北米どうですかという話だったんだけども。まず、あれの話をしなきゃいけないな、アメリカはブローカーが非常に重要になる市場であると。どういうことかと言うと、メーカーが小売、例えば、ターゲットとかウォールマートとか、ドラッグだったらCVSストア、そういった大手の小売に商品を売るのにブローカーを使うというのが一般的なやり方で、ブローカーを通じて商品を参入させていくみたいな。ブローカーを通じてプレゼンを小売のバイヤーにしていくという話になるんだけど。例えば、ウォールマートとかって菓子レーンのバイヤーさん、調味料レーンのバイヤーさん、ドレッシングレーンのバイヤーさんって、レーンごとにバイヤーが分かれていて、そのバイヤーはそのレーンに責任を持っているんだよね。そうすると、そのレーンに何がどれぐらいのSKU、いわゆるフェースを、どれぐらいのフェースを持って置いてあるかということを全部把握していて、データを全部持っていて、過去10年間このケチャップをここに置いておくとこれぐらい売れるみたいな、だから、このケチャップは外さないとか。要は、そのレーンで1カ月あたりいくらやってくださいとか、年間いくらやってくださいというのはもう責任があって、それによって彼らのレーンマネージャーの評価になるので、お給料も変わってくるんですよ。そうするともう命がけなのね。何を置くかというのが、「ちょっとこれ置いてくれない? 新製品なので」「OK、いいよ」なんていう話には絶対ならなくて。商品の入れ替え時期は年に2回。
小林:2回。
森辺:年に2回で、年に2回の商品入れ替え時期じゃないと入れないというのと、あと、それだけデータを駆使しているから、中途半端にメーカーがちょっと置きたいんだけど、売りたいんだけど、プロモーション、そんなのちょっとなかなかできないんだけど、取りあえず売れるかどうか置いてみて的な日本企業のやり方じゃまずもって置いてくれないのね。そんな眠たい話するんだったら付き合ってられないから来ないでという話で、そもそもブローカーが持っていかない。なんでかと言ったら、ブローカーは今度ウォールマートのバイヤーに、「なんであんなしょうもない会社連れてきたの?」と言われちゃうんだよね。要は、ウォールマートなんかも売ることに必死でレーンマネージャー、レーンバイヤーさんは売ることに必死だから、その限られた100というスペースを、100というスペースにいろんなメーカーの商品を、過去のデータを駆使しながら置いているわけじゃない? それで、自分が年間いくら売ると、それに応じてボーナスが決まると、そうなってきたら、やる気のないメーカーの商品なんか絶対置きたくないよね。
小林:そうですね。
森辺:実績のないメーカーの商品なんか絶対置きたくないよね。そうすると、やっぱり実績がちゃんとデータであって、この商品を置いた日からちゃんとプロモーションやりますと、認知させますと、セルアウトにメーカーも協力しますみたいなメーカーじゃないと置かないんだよね。だって、なんでかと言ったらスーパーでガラガラしているのなんか見たことないでしょ。常に棚にはものが詰まっているよね。
小林:そうですね。
森辺:なんでかと言ったらものが詰まっていないと売上が立たないから。そうすると、新しいものを入れるということは、そのぎちぎちの棚の何かをどかしてそこに新しいものを入れるということだね。そうすると、どかした何かよりも新しいものが常に売れないと、それはバイヤーにとってやる必要が全くないよね、小売にとってね。それがものすごい厳密に管理されていて、結局、最近のASEANの大手の小売が生意気だというのも、そういう欧米の小売のそういうやり方を全部真似してきているわけですよ。日本は日本でまた日本の小売のやり方ってちょっと違うんだけども。棚代なんか取らないからね。だから、そういうことがあるので、何だろうな、プレゼンがすごい大変。
小林:プレゼン。
森辺:要は、バイヤーにプレゼンしないといけないのよ、ブローカーを通じて。バイヤーにプレゼンするためにはブローカーが納得しないと、ブローカーはバイヤーのところに連れていってくれないから。バイヤーも小売のね、いやもう、俺はこのバイヤーとしか会わないからこのバイヤーと決めてくれとなっていて、メーカーが行って会ってくれないんだよ。そんなのって結構ないんだけど、そんな世界って。そのプレゼンがしっかりしていないとなかなか。
小林:難しいと。
森辺:だめですと。
小林:かしこまりました。
森辺:なので、アメリカは厳しい。あとね、敗者復活戦は難しいよ。
小林:1度失敗しちゃったら。
森辺:1回失敗したらもう2度と、ウォールマートがもう1回やってみようかということにはならないので、中途半端にはできないね。本当にストラテジックにやらないとだめというのがアメリカの市場。
小林:かしこまりました。お時間やってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。