小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastの内容なんですけども、前回に引き続き、日本マーケティング協会主催のグローバルマーケティングのセミナーで出た、参加者様から出た質問についてご回答いただきたいと思います。
森辺:はい。
小林:本日が2つ目の質問なんですけども、早速まいります。質問です、「先駆者メリットをひっくり返した事例というのは今までにあるんでしょうか?」という質問でございます。
森辺:はい。東京タワーがきれいですね。
小林:(笑)そうですね。
森辺:リスナーの皆さんにもこれを共有できるといいんだけど。
小林:(笑)なんせ音声のみなのでねー。
森辺:ねえ、何だろう、もう見慣れ過ぎちゃっているんだけど、たまにふと気付くと、すごい何だっけ、ミーシャだっけ、ミーシャのミュージックビデオに出てくるような景色なんだよね、ここから見る、東京タワーがバーンとあって、今ちょうど外が暗くなっているので、東京タワーが赤くライトアップされて、周りのビルがね、あれは何だ、ミッドタウンと虎ノ門ヒルズと六本木ヒルズがこう、電気がつき始めてちょうどきれいな感じになってきているんだけども。
小林:そうですね。
森辺:また全然関係ない話しているけども。
小林:(笑)
森辺:質問?
小林:はい。
森辺:だね。質問に戻ります。すみません、全然関係ない話しちゃったけど。何だっけ、先駆者メリットを?
小林:今までひっくり返したことがある事例というのは今までにあるんでしょうか?
森辺:日本企業が、いわゆる先駆…、あ、この質問の背景をちょっと説明しようか。
小林:はい。
森辺:背景は、先進的なグローバル企業ってアジア新興国を市場と捉えた時期が大変早いですよという話をしていると。もうとにかく消費財メーカー向けの、これはセミナーだったので、消費財系の会社、P&Gとかユニリーバの話を中心にしたんだけど、1980年代後半からもうアジア新興国を市場と見ていますと。そうすると、日本企業に比べて15年20年ぐらい早く出ているという、その物理的な時間の早さということと、あと、彼らはROIを長期で見ていますよと。つまりは費用対効果、投資対効果を長期で見ていますよというこの2つのお話をしていると。先駆者なわけですよね、早く出たから彼らはマーケットを獲ったというのは少なからず事実としてあるんですよ。それを後発の日本企業がひっくり返した事例はあるのか?と、そういう質問だったんですけど、ないんですよね。
小林:うーん。
森辺:これね、残念ながらなくて。
小林:なるほど。
森辺:後発で出たにもかかわらず、なぜないか? なぜないかと言うと、後発で出たにもかかわらず、まだまだやっぱり戦略性が足りないし、何をやらなきゃいけないかということに気付いていないという企業が本当に多くて。例えば、競合のことを知らなさすぎるというのは1つ大きくあって。「いやいや、知っていますよ」と言うんだけど、その知っているレベルが低すぎて。じゃあ、「その競合のチャネル戦略ってどういうものなんですか?」と。例えば、具体的に競合が使っているディストリビューターってどういうところがバイネームであって、そこはどういう製品を担いでいて、どれぐらいの従業員が競合の商品を売っていて、自社といわゆるディストリビューター経由の営業マンってどれぐらいいて、そのセールスマネージャーとかエリアマネージャーとかアカウントマネージャーとかね、統括マネージャーってどういうキャリアの人で、それがルーチン、どういう動きをして高いシェアになっているんですか?みたいなことを細かく掘っていく、結局、組織体制と数、体制、彼らの日々の動き方、ルーチンワークが結果として、=シェアになっているわけですよ。組織の体制があって、その体制が、×どう動くか=マーケットシェアになっていて。そもそも進出した時期が早いわけじゃないですか。
小林:はい。アメリカの先進国など。
森辺:欧米の先進的な会社は早いと。早い上に彼らはしっかりとした組織体制で、それをしっかり管理、マネージメントしてそれがプロセスとして動いて、結果、高いシェアになっているわけでね。そこに商品がいいから後追いでも頑張りますと言って出ていって、基本的に商品優位性だけで勝負をしている日本企業とは、やっぱり進出してからも日々マーケットシェアに差が出ちゃったりするわけなんですよ。だから、そういう意味でも、やっぱりすごく後発なのに戦略性がまだまだ足りていないというのは正直否めないと思いますね。僕、1社の例外もなく、このFMCG周りの会社で、「この会社はすごい」って、「もう何にも僕がすることない」と思った会社、今まで過去17年間で1社も出会ったことないから。だから、そういう意味では商売的にはありがたいのかもしれないけど、やっぱりまだまだやれることというのは日本企業はあるなと思って。時間来ちゃっていると思うんだけど、もう1個言いたいのは、欧米の会社がなんであれだけ早く出るかって、僕、ここがやっぱり欧米の会社のすごいところで、欧米と言うか、先進的なグローバル企業のすごいところで、彼らって早く出るじゃない? なんで早く出るかと言ったらね、成功するために早く出るんじゃないんですよ。人よりも早く失敗するために早く出るんですよね。彼らって、早く出て、人よりも早く出て人よりも早く失敗することが、それが自分たちのケーススタディとして吸収されて自分たちの能力を上げると思っているわけですよ。だからもう、根底の土台が日本企業の経営者の器とは全く違って、僕、そこに先進グローバルの経営者ってすごいなと思うわけですよ。
小林:素晴らしい。
森辺:「早く出て成功しろ」と言うんだったら分かるじゃないですか。そうじゃないんでね。「早く出て早く失敗してこい」と。人よりも早く失敗すれば人よりも早く学ぶんだということを、欧米の先進的な企業というのはやっぱりあって、経営がそういうふうに考えているから、ここが彼らの本当にものすごい強いところで、やっぱりこれぐらいの器のデカさが日本企業にもないとなかなか挽回は難しいんじゃないかと。
小林:難しいですね。
森辺:ちょっと熱くなっちゃいましたけども。
小林:(笑)
森辺:以上でございます。
小林:ありがとうございました。じゃあ、お時間もやってまいりましたので、本日はここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。