小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastの内容なんですけども、前回に引き続き、マーケティング講座ということで、こちらのマーケティング講座は、さまざまなマーケティング用語を分かりやすく、また、アジア新興国を中心としたグローバルビジネスにおける活用事例を交えながら、森辺さんに詳しく解説していただくというコーナーなんですけども。本日は、「キャズム」、こちらについてお話いただきたいと思います。
森辺:キャズムね。
小林:キャズムです。
森辺:キャズム。キャビアじゃねえぞ!
小林:(笑)
森辺:キャズムというのは、寒いね、これはね。
小林:(笑)
森辺:キャズムというのは、溝のことを言うんですよ。
小林:溝?
森辺:溝。ちょっとイメージをしてほしいんだけども、ちょっと目をつむって自分の目の前に、30メーター先に自分の目の前に断崖絶壁があって、30メーターぐらい先にまた向こう岸が見えていると。この断崖絶壁は下が見えないぐらいの断崖絶壁で、これがキャズムなんだよね。商品が市場に投入されてメジャーになっていくには、必ずこのキャズムを越えて向こう岸に行かなければならないと。越えられない商品というのがたくさんあって、みんなこの谷底に落ちていくんだよね。この谷底のことをキャズムと言うんだけど。商品って、新製品なんだけどね、新商品とか新製品って、5つの消費者によって支えられているんだよね。1つがイノベーターという人たちがいるんだよね。
小林:イノベーター。
森辺:一番最初にそれを手に飛びつく人。いいか悪いか分からないけど、とにかく新しいものを見つけたらパッと飛びつく人たちがだいたい2.5%ぐらいいると言われていて。
小林:2.5%。
森辺:イノベーター。
小林:はい。
森辺:その後、アーリーアダプターという人たちが13.5%いて。このアーリーアダプターの後にキャズムが存在するんだよね。だから、2.5%と13.5%で16%でしょう?16%ぐらいまでの人たちは取りあえず買うんですよ、頑張ったら。
小林:新商品を?
森辺:うん。新商品をね、こっちが頑張ればね。なんだけども、ここから先、本当にメジャーになれるかなれないかというのがここから先なんだよね。ここにキャズムがありますと。じゃあ、キャズムを飛び越えた先には何があるかと言うと、64%のマジョリティの人たちがいるわけよ。64%…、68%ね。34%、34%、68%、アーリーマジョリティとレイトマジョリティという一番大きい分厚い層がいて。最後、ラガードという遅れて来る人たちが16%ぐらいいると言われていて、それで100%なわけなんだけども、そういう構造になっていて。このキャズムを越えられない商品というのが世の中にはたくさんあって、特にテクノロジー系はこのキャズムを越えられなかった商品が多いというふうに言われているんだけども、これを越えていかないといけないと。例えば、アジア新興国とかグローバルの例で話をすると、1つ目はそんなにアジアとかグローバルの例にはなっていないかもしれないけど。今、日本でもすごく騒がれているけど、そうだね、世界的にだね、キャッシュレス決済って世界的にすごいでしょう?これ、中国なんかはもうキャズムを越えているんだよね。キャッシュレス決済の比率は全然高いわけだから、もうキャズムを優に超えています。ただ、日本って、まだキャッシュレス決済って、キャズムを僕は越えていないと思っていて。ペイペイ100億円プレゼントとかやっているでしょう。このキャズムを越えると、もうアーリーマジョリティ、レイトマジョリティの人たちが使い始めて。越えると思うけどね。どう考えても利便性が高いわけで、あんなにジャリジャリ小銭持っているのね、汚いし臭いし不衛生だし面倒くさいし、いい事ないでしょう、小銭ね。俺、もう20年前から「小銭どうにかならないかな」ってずっと思っていて。「なんでアメリカは1ドル札があって便利だなあ」と思っていて。なのに、この…。
小林:小銭。
森辺:小銭が日本こんなに多いんだろうと思って嫌だったんだけど。もっと言うと、お札の幅が広くてデカくてポケットにくしゃっと入らない。アメリカのお札って細長いから、すごい便利に入るし。財布から日本のお札はみ出たりするんだよね。アメリカのお札を入れる財布ってちっちゃくてすむんだよね。まあいいや。ちょっと話飛んじゃったけど。
小林:(笑)
森辺:キャズムね。例えば、キャッシュレス決済、仮想通貨とかも、たぶん今キャズムの目の前にいて、これから、生まれて、仮想通貨が出てきて10年ぐらいたぶん経つんだよね。失礼ながら、せん越ながらオタッキーみたいな人たちがたぶんイノベーターで、先にぶわーっと飛びついているんだろうね。その後、アーリーアダプターの人たちがいて、ただ、民間の普通の僕たちみたいな人たちって、まだまだ仮想通貨を買ったり、それで決済したりってないでしょう?
小林:ないですね。
森辺:ほとんどがそういうアーリーアダプターとかイノベーターの人たちで。いわゆる仮想通貨オタクの人たちだよね。ちょっとオタクという表現がいいのか、ナードという表現がいいのか分からないけども、一般化していないと。ただ、おそらくこれはキャズムを越えてキャッシュレス決済と同様に一般化していくんだと思うんだよね。だって、どう考えたって便利だし、僕も海外送金20年ぐらいやっているけど、そういう人使ってずっとやっているけど、なんで音声とか映像とか言語はこんなに瞬時に国境を越えられるのに、送金だけは国境を越えられないんだとかって考えると、このキャッシュレス決済とか仮想通貨の国際送金とかというのは、確実にキャズムを越えるんだろうなというのは、感覚値として思うので。まさに今、キャズムのこの溝の、さっき「イメージして」と言った30メーターの断崖絶壁ね、30メーター向こうに向こう岸がある、この上をジャンプして越えようとしているというのがまさにそういうことだと思うんだよね。もっと、じゃあ、このテクノロジー系じゃない普通の、消費財とかの商品で言うと、BtoBの商品・製品でもいいんだけども、海外に行くと、ユーザーが採用してくれるとか、消費者が使ってくれるってイノベーターの人たちがいるわけだよ。2.5%ぐらいのイノベーターがいて、うまくそこにリーチすれば、その人たちが、「じゃあ、お宅の部品使いましょう」「お宅の製品使いましょう」、ユーザーでも消費者でもいるわけだよね。このアーリーアダプターのところまで行くか行かないかみたいなところね。要は、キャズムの手前で終わっているというのがアジア新興国の、例えば、世界だとすごく多くて、BtoBもBtoCも。だから、キャズムを越えるのも大変なんだけど、キャズムの手前のアーリーアダプターの途中で止まっちゃっているというのも1つ現実としてあるので、キャズム云々じゃないですよと。なので、そんなところを越えていかないといけないということですかね。キャズムというのはそういうことなんだけどもね。
小林:溝ということですね。
森辺:溝ね、断崖絶壁。分かりやすいでしょう?想像できる?向こう側に30メーター先に向こう岸があって、「おーい、小林さん」と手を振って、30メーターね、下を見ると底が見えないんだけど絶壁で。小林さんはマジョリティの商品なんだけど、俺はキャズムの手前にいるみたいな。これを越えないとメジャーにはならないみたいな。
小林:なるほど。そこが、超えることがすごく難しいということですね。
森辺:難しいと。必ずどんな商品にもサービスにもこのキャズムというのが存在して、それをいかに越えていくかということがビジネスをメジャーにするか、そうでないところで終わるのかの大きな違いで、ということなんでね。ウーバーとかだって、Airbnbなんてキャズムを越えてきているわけだよ。「何がネットでタクシーだよ」とか、「何がネットで空き部屋だよ」って絶対思っているわけで。最初に使った人がいるわけでしょう?一番最初に想像して。Airbnb出て、「えっ?」と。俺なんかはレイトマジョリティかラガードだから、そんなのいきなり使わないのね、「ホテルがいいです」と。「マリオットで取ります」とか、そういうふうになっちゃうんだけど、そういうことをした、たぶんイノベーターの人たちがいるわけでね。ウーバーもそうでしょう?アプリいきなり普及されて、「何がアプリでタクシーだよ」というのを越えてきているわけだから。そんなのいっぱいあると思うんだよね。健康食品とかもそうじゃない?ユーグレナだってそうでしょう?イノベーターの人たちが使って、たぶん、アーリーアダプターの人たちが使って、今、ちょうどキャズムを越えようとしているんじゃないの?この間、対談させてもらったよね、出雲さんね。だから、そういうものというのはいっぱいあるんじゃないのかな。
小林:なるほど。商品に限らず、サービスにおいても該当するということですね?
森辺:うん。言えるんじゃないかな。溝のことだからね、キャズムというのは。裂け目とか言いますけどね。
小林:かしこまりました。ありがとうございます。本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。