東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、ちょっと久しぶりに、前回の引き続きチャネルの話なんですけども、何十年も付き合っている中で海外担当が変わって、なかなか変える機会を当然逸しているというのもあるし、変えるべきか、変えないべきか、ディストリビューターをと、いうところに、判断に迷っているところもあると。森辺さんの提言は、まず現実を見て、変えるべきか、変えないべきかというのをきっちり把握するべきでしょうと。そうは言っても、ここ、たぶん、特に数年、お問い合わせも多くなってきて、日本の企業が海外に本気でやり出そうとしているのか、やり出しつつあるのかというのは、企業さんによってだいぶ違うと思うんですけど。そうは言っても、事業計画に海外売上比率が出てきたり、こういう国を特化しますという方針が結構明確になりつつあるじゃないですか。そうすると、ディストリビューターも日本側の急激な変化のところについていけないという状況もあると思うんですけども、その辺でどういう悩みが発生しているかとか、海外担当が変わる前提でディストリビューターを管理育成しなきゃいけないとか、何個か悩みはあると思うんですけど。1つずつやっていきたいと思うんですけど、変えるときにどういう判断で変えるのかというのは、1つは事実を見ましょうと、当然それは外部にお願いしたほうがいいだろうし、内部でやるのも手だと思うんですが、そこは今までも少し話をしてきたので、その次、実際に変えないという判断はしやすいと思うんですけど、変えるときになったときになかなか踏み込みづらいような気もするんですけど、その辺に関してはいかがですかね。
森辺:変えるという判断を、自己診断をしてくださいと、自分のチャネルの診断をして、自分たちの求めているものがなぜ今のディストリビューターで到達できないのか、という要因を分析する必要があるじゃないですか。その要因がいわゆる自分たちが配荷したい小売にリーチしていないとか、そもそもそれだけのケイパビリティがないとか、あと、ディストリビューターなんていうのは9割華僑で、今だいたい第2世代と言われて2世代目なんですね。そうすると、あとつぎ後継ぎ問題でなかなかうまくいっていないというところもあって、そもそも恒久的に難しいというようなディストリビューターもたくさんいるんですよ、そんなのはね。なので、そういうことが問題になっているのか、一体何が問題になっているのかが分かったという前提ですよね。分かって、じゃあ、変えましょうとなったときに、今の売上を落とせないわけじゃないですか。そうすると、今の売上を落とさないで移行していかないといけないので、その状態を次のディストリビューターに、おみやげですよね、言ったら、今の売上がそのままおみやげになって次のディストリビューターに行くわけなので、そこを前提に次のディストリビューターにコミットさせていくということがすごく重要で、そこが握れなかったら基本的には切り替えってすごく大変ですよね。でも、例えば、今、20億ありますと。20億あって新たなディストリビューターに…。
東:もうちょっと小さくしましょうか。(笑)
森辺:じゃあ、10億あるとして。10億あって、新たなディストリ…、消費財の話かな、これはね、消費財だとすると単価が安いので10億ぐらいですと。10億あって切り替えるときに、その10億が減ったらいやじゃないですか。10億を次のディストリビューターは、棚ぼたですよね、次のディストリビューターにしてみたら、いきなりその。
東:スライドしてくるわけですもんね。
森辺:スライドしてくるわけですから、そうすると、そこをコミットさせるというのは絶対で、プラスアルファ、どれだけあなたたちは向こう3年5年で乗せれるの?というところ、それはなぜ乗せれるの?というところの戦略の議論はしっかりしないといけなくて。そこがしっかりできれば全然OKだと思うんです。具体的に、10億が15億になりますと、3年で。この5億というのはどこに売られるんですかと。そのチャネルは持っているんですかと。そこに何人のセールスがどうやってそれを配荷するんですかみたいなところもちゃんと話さないとだめですよというのは問題の1つで。日本の企業の場合、こっちのほうがデカいし、こっちのほうがほかの日系のいいところが使っているし、ここだったらできそうだから取りあえず頼むね、10億で。みたいな感じでポーンと移管して、なかなかいかなくて、10億もいかなかったみたいな、むしろ利益率悪くしちゃったみたいな、自分たちの。そういうケースも往々にしてあるので、やっぱりどれだけ細かく細分化して具体的に握るかという。それをどこまで契約書に書く、書かないは別の話なので。
東:書ければベストだということですよね。
森辺:ベストですよね。書ければもちろんベストだし、書かなきゃいけない範疇、ここまではなかなか書けない範疇というのがあるので、そういうことをやっていけばいいということだと思うんですよね。
東:それをどういうステップでどうやるのか。言っていることは、たぶん皆さんも理解できると思います。たぶん新しい候補を見つけるというところまでは何となくできても、それをコミットさせて引き継がせて、例えば、今年2019年度が10億ありましたと。それを2020年度には12億にしてください。12年度には13億、14年度には15億にしましょうと。少なくとも引き継いだ翌年というのは減らしたくないというのが日本企業のたぶん考え方だし、たぶん多くの人はそう思っているし、われわれもそう思うじゃないですか。そうすると、減らさないために具体的に引き継ぐには何が一番重要なんですか?
森辺:大前提として、引き継ぎ慣れしている、していないというのもあるんですけど、ディストリビューターがね。
東:ディストリビューター側が。
森辺:日本企業が思っているほど、「何だ。変えやがって」みたいな、なるところもありますよ、なんですけど、引き継ぎ慣れしているところはそこそこ引き継ぎ慣れしているので、引き継がれるほうと、引き継ぐほうの調整をしっかりやっていくということは、たぶん1つですよね。引き継がれるほうが、いわゆるこれからその分の収益は、利益がどれぐらいあったのか分からないけれども、10億のうちの1億ぐらい利益を取っていたか分からないけど、それはなくなっちゃうけども、今ある在庫がきっちりはけるような状態にしてあげるとか、在庫を買い取ってあげるとか、そういうことはやっぱりお茶を濁さずじゃないけども、しっかりやっていく。そことの、引き継がれる側と引き継ぐ側の調整をちゃんとやらないと、もめるっちゃもめますよね、というのが1つだと思います。あと、チャネルづくりの3原則って、選定…、発掘選定じゃないですか、新しいディストリビューターのね。今の話というのは、発掘選定されたということが前提なので、その後のいわゆる契約交渉と管理育成の2つのプロセスをしっかりやっていかないと、東さんが言っている10億、12億みたいなところがいかなくなっちゃいますよね。
東:そしたら、次回は契約と管理育成のところに関して少しお伺いできればと思いますので、森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。