小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastなんですけども、なんと、スペシャルゲストの方をお呼びしております。日本経済研究センター 主任研究員 牛山隆一さまにお越しいただきました。ここで、牛山さまのプロフィールを簡単にご説明させていただきますと、慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社に入社。ハノイ支局長、シンガポール支局長などを経て、2011年から現職。主な著書に『ASEAN経済統合の実態』「『現代ASEAN経済論』などがございます。牛山さん、本日はよろしくお願いいたします。
牛山:よろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。牛山さん、ご無沙汰しております。
牛山:ご無沙汰してます。
森辺:以前、弊社のセミナーにも来ていただいてお話をしていただいたんですけど、大変好評で。去年、牛山さんが出された本について、今回ちょっとお話をしたくて。今回だけじゃなくて、あと4回ぐらい収録をさせてもらいたいなと思っていて。1つは、今回の本の話ですよね。また、次回、別の議題で、4回ぐらいご出演をお願いしたいんですが、まず、ちょっと最近、いろんなところでお話を伺うんですけど、牛山さんが去年出された、『ASEANの多国籍企業~増大する国際プレゼンス~』ということで文眞堂さんから出されている本なんですけど、この本が大変好評だということで、いろんな方にお話を伺うんですけど、これってどんな内容の本で、どんな人に向けて書かれた本なのか、今回のPodcastで解説をお願いしたいなと思っているんですが、いかがでしょうか?
牛山:分かりました。本日は、お呼びいただきましてありがとうございます。
森辺:はい。
牛山:今、お尋ねになられました、この私の本、『ASEANの多国籍企業』なんですけれども、この本は文字通り、ASEAN、つまり、東南アジアの地場企業の間で非常に海外事業に力を入れている企業、これにスポットを当てて、どのようなことをやっているのかということについて、主に書いた本です。具体的には、ASEANは10カ国の国があるんですけれども、その中でも、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの主に6カ国の企業を取り上げています。
森辺:あー。ASEANの企業を取り上げているんですよね。
牛山:そうですね。ASEANの企業、国際化がどれだけ進んでいるのかという点で見ると、進んでいるところもあるし、進んでいないところもあります。進んでいるグループは、シンガポール、マレーシア、タイの企業なんですけれども、それらの企業が中心ではあるんですけれども、最近、インドネシアとかフィリピン、ベトナムといったような国々の企業の間からも、そういう海外事業に力を入れている企業が出始めているので、そういうところも紹介したいなと思ってこの本を書きました。
森辺:なるほどね。面白いですね。日本の企業に着目して、日本の企業の海外進出の現状はどうだという本って結構出ているじゃないですか。一応、日系、日本人が書くし、題材が日本企業だから、どちらかというと、あまり駄目なことは書けなくて、いいところしか書けないというのは、よく本が出ていますけどね。
牛山:そうかもしれないですね。
森辺:ただ、ASEANの企業にフォーカスをした本って、そんなに多くないですよね。
牛山:そうですね。ないことはないんですけれども、今回、私が出した本のように、ASEANの主要な国々の主要な企業をすべてはすくえていないんですけれども、かなり広範囲に取り上げて、なおかつ、今何をしようとしているのかと、これからどのようなことをしようとしているのかといったようなことを、特に関心を払って書いたという本というのは、あんまりないのかなという気はします。
森辺:ASEANに行くと、欧米の先進的なグローバル企業だけが競合かと思いきや、もはや、時代は大きく変わっていて、ASEANの地場企業がものすごく競争環境が変わって競争力をつけているじゃないですか。財閥系の企業とか、全然、日本企業よりも最先端な面もあったりとかというのは、よくある話だと思うんですけど、そんな企業を取り上げているみたいな感じなんですかね。
牛山:そうですね。このASEANの企業になぜ注目したかと言うと、いくつかポイントがあるんですけれども、今、森辺さんも少しお話されたように、このASEAN企業の中から、非常に有力なグローバルプレイヤーとして急速に発展してきたと、そういう事例が、まずあるというのが、一番私が興味を抱いたポイントです。
森辺:ですね。
牛山:なおかつ、そうした企業が、リージョナルにグローバルに展開していく中で、日本企業がコラボレーションをする有力な連携相手という意味でもプレゼンスを高めている、というのが次に注目したいポイントかなというふうに思います。
森辺:なるほどね。これ、20年前だとなかなかそういう発想には至らないですよね、きっとね。
牛山:そうですね。おそらく昔は、日本企業とASEAN企業が組むというのは、もちろん前からあったわけなんですけれども、かつてはやはりそのASEAN企業の地元の中で組むという、そういうパターンが多かったのかな。例えば、タイの企業とタイで組む、マレーシアの企業とマレーシアで組むということが多かったというふうに思います。ただ、今、起き始め、そういったパターンもいまだにまだ続いているんですけれども、今、起きていることは、例えば、日本の企業がタイの企業と組んで第三国に打って出るとか、マレーシア企業と組んでほかの地域、ほかの国に行くとか、そういったようなもうちょっとリージョナル、グローバルな規模での連携ということなんじゃないかなと思います。
森辺:今、そういうのが増えているんですもんね。
牛山:そうですね。
森辺:そうですよね。なるほど。逆に、一方で、進んでいる面もあれば遅れている面もあるという、そういうことなんですかね。
牛山:そうですね。もちろん、まだグローバル化の歴史が浅いので、そういう意味ではまだまだ経験がなくて。後ほどまた触れることになるかもしれませんけれども、多国籍化を歩む中で失敗するという事例もあるんですけれども、そういうところは日本企業と、豊かな経験を持つ日本企業と相互補完しながらやっていける部分もあるのではないかなというふうに思います。
森辺:なるほど。そうすると、これって、どちらかと言うと対象は、これから海外事業をやられるような可能性のあるような層ということですよね。
牛山:そうですね。まず、一番読んでいただきたい方々というのが、この東南アジア、ASEAN地域に非常に、もうすでに事業をされていたり、あるいは、これから事業をされようとしている日本企業の関係者の方々です。加えて、この地域に興味のある学生の方とか、もちろん、主婦の方とか、幅広い層の方々に読んでいただきたいなというふうに思っています。
森辺:なるほど。分かりました。そしたら、すみません、本のお話はこれぐらいにして、また次回、本の中からいくつか面白い題材をピックアップして牛山さんに引き続きお話を聞いていきたいと思います。
牛山:はい。よろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。
小林:お時間やってまいりましたので、本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。