小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastですが、フジサンケイビジネスアイ特別対談シリーズ「グローバルの流儀」で、先日、東レ株式会社 代表取締役社長 日覺昭広氏と対談させていただいたんですけども、掲載前にお話できる範囲内で、日覺社長がどんな方で、どんなお話をしたのか、ご紹介いただけますでしょうか?
森辺:はい。東レという会社は、ほんと、僕、すごく興味があってね、「日覺さんって、ものすごい経営者なんだよね」って僕が言わなくても、たぶん、みんな、知っているかもしれないんだけど。日覺さんって、すごい経営者で、ずっと「日本企業は日本型経営を徹底すべきだ」ってことを言っていて。会社も気になったし、日覺さんも気になったし。それで、ちょうどそんな対談させていただく機会に恵まれて、非常にうれしい1日になったんだけども。まず、どんなお話をしたかということなんだけど、日覺さんが社長に就任したのって、2010年なのね。
小林:そうですね。
森辺:東レって、実は2010年から売上が1兆円上積みされているんですよ。それで今、2兆を優に超える会社なんだけど。10年で日覺さんが社長になってから、1兆円上積んでいるんだよね。そのことについて、「この10年を振り返って、どんな10年でしたか?」っていうお話とか。あと、次の10年の中期経営計画、ちょうどこれ確か、来年の3月で一旦今の中計が終わって、その先の中計がまた新しく始まるんだけども。なので、言えること、言えないことというのがあって。ただ、大枠として、こういうぐらいを目指していきますみたいなお話は、たぶん、どこのメディアよりも早く聞いたんじゃないかな、僕がね。
小林:そうですね。
森辺:僕はメディアじゃないから別にあんまり…ありませんけども。(笑)
小林:(笑)
森辺:何、ドヤ顔してんだ?って話なんだけど。そんな話をさせてもらったっていうのと。あと、僕、素材によるイノベーションって、東レさんのCMを見てもらうと、「Innovation by Chemistry」って言ってるでしょう?
小林:うんうん。
森辺:「素材の力は社会を変える」って彼らはCMで言っていて。すごいいいCM、あるじゃない?チョウチョ、青いチョウチョが飛んでて、何とも言えない音楽が流れていて、子どもたちが出てきて、海の水を飲める水に変えるとか、あと、炭素素材の、飛行機がカーボンでできるとか、そういうCMなんだけど。何が言いたいかっていうと、素材の力によるイノベーション。要は、日本企業って、ソフトウェアのイノベーションで完全に負けたじゃない?アメリカと中国に負けたよね。シリコンバレーと深センに、いわゆるITテクノロジーとかネットとかって言われる分野では完全に負けてしまって。一方で、ハードウェア。いわゆるB2Cに代表されるような家電系のハードウェアでは、確かにそれはいまだに技術力があるのかもしれないんだけども、そういった製品という意味でのハードとか、それから、その製品を動かすソフトウェアとか。あと、ビジネスプラットフォーム、例えば、ソーシャルメディアもそうだし、Uberみたいなプラットフォームもそうだし、そういうプラットフォームビジネスでも、イノベーションを起こすことができずに、もう勝敗が決まっているような、そんな感じがあって。この失われた20年とか30年っていうのがあると思うんだけど。じゃあ、これからの20年30年、このまま失われ続けていって、今までわれわれの先人が貯めた貯蓄がたくさんあるから今ですら経済大国第3位を維持しているわけだけども、それが4位5位6位と、じりじり、じりじり、先人のつくった富を食いつぶしていって、失われた30年が40年って言われるようになって、50年って言われるようになって、60年って言われるようになるのかと。そうじゃ駄目だよねっていう中で、日本が本当にイノベーションを起こせるのって素材なんじゃないの?っていう気がしていてね。勝手にね。例えば、アパレルなんて、ものすごい旧態依然とした業界なわけじゃない?
小林:そうですね。
森辺:その中に、ユニクロのヒートテックとかに代表されるような、ああいう素材の力でイノベーションを起こして、売上がドーンと上がっていくわけじゃない?例えば、分からないけれども…。そうそう、例えば、液晶のフィルムとかもそうだし、ああいったものも素材だし。例えば、もっと分かりやすく言うと、テレビとかも、画質や何やらっていうハード面のイノベーションはできなかったんだけど、素材が変わることによって、例えば、極限まで小さくなって、また大きく広がるテレビが、もしかしたらできるかもしれないし。ちょっと、ドラえもんみたいなことを言っているけども。素材ってすごく大きなものを秘めていて、そういうことも起こり得るし、伸縮っていう意味では。あと、カーボン素材なんて、まさに鉄よりも軽くて、鉄の何十倍とか強いんでしょう?ちょっと、ごめん。何十倍なのか、何百倍なのか、分かんないけど、強い素材とかって、あんなのも社会を変えていくし。海の水が飲める水になるっていうだけでも社会を変えていくわけじゃない?だから、実は、日本が素材の力で社会を変えていくっていう。今って、社会課題をどれだけ解決できるかっていうことが、環境問題を含めて、世界中で言われているわけじゃない?この間の、「How dare you」の講演でもそうだけども、そういう会社でないと評価されないし、生き残っていけない。サステナビリティって何って言ったら、循環型社会なわけでしょう?そうすると、いかに環境問題に取り組めるかっていう話で。この環境問題とか、こういった分野で非常に能力を発揮する、イノベーションを起こせる会社なんじゃないか、東レって思っていて、そんな話を聞いてきたわけ。ちょっと熱くなっちゃったけどね。
小林:(笑)
森辺:もちろん、グローバル戦略についてもお話を聞いていて。
小林:そうですね。
森辺:東レって面白くて、2000年代に海外売上比率って20%だったのよ。2000年にね。それが20年近く経って、18年経って、19年経って、今、54%までになっていて。ぶっちゃけ、グローバルが半分以上で、これからグローバルと戦っていかないと成長していかないので、グローバル戦略についてもお話を聞いたと。
小林:そうですね。
森辺:あと、ものすごく聞きたかったのが、日覺社長の経営方針で、彼は、「日本企業は欧米的な、いわゆる金融資本主義みたいなことの物まねをするのではなくて、日本型経営を貫くべきだ」っていうことをかなり前から言っていて。
小林:そうですね。
森辺:彼は、それを貫いているんですよ。自分の東レという会社の経営でも。それで、この10年で1兆円上積みするわけだから、実は実績も出していて。
小林:そうですね。
森辺:ただ、言っているだけでなくて。そのことについてすごく興味があったので、深く聞いてきました。やっぱり、あまりにも金融資本主義に毒されていて、「会社は株主のものだ」っていうふうなことをずっと言われてきて。今、ここに来てようやくアメリカでも、「会社って本当に株主のものなんですか?」と、株主資本主義、物言う株主なんて言って、一時期有名になっていたじゃない?株価を上げることだけかと。ただ、株主って、基本的には、短期的に物事を見がちだしね。もちろん、重要なんだけども、なんだけど、会社って株主だけのものじゃないよねと。金融資本主義の考え方に毒されていくと、長期的に成長しなきゃいけなくて、株主って株を売ったら終わりだけど、企業っていうのは、ずっと永続していかないといけないわけだよね。社員は辞めていって、例えば、寿命で死んでいくかもしれないけど、企業はずっと永続していかないといけない。そうなってくると、もう、金融資本主義みたいな考え方に引っ張られすぎるのって限界あるんじゃないの?と。日本がイノベーションを生めなくなったのも、実はこの金融資本主義の真似事みたいなことを中途半端にやったせいなんじゃないかと。昔の、例えば、松下幸之助、本田宗一郎、ソニーの森田さんとか、ああいうイノベーションを起こしてきた経営者の時代は、日本型経営を貫いてきたじゃないかと。それが、いつしか、中途半端な金融資本主義の真似事であれになっちゃったんじゃないの?みたいなことを言っていて。それが、日覺社長の熱いメッセージが面白くて。そんなことについて、ちょっといろいろ聞いてきたということなので、これもぜひ楽しみにしていただいて。
小林:はい。
森辺:来年?
小林:来年…。
森辺:今、12月だから、来年掲載予定だね。
小林:今は、11月なので。
森辺:12月でしょう、今ね。
小林:あ、そうか。
森辺:なので、来年の1月に掲載になると思いますので。ぜひ、よろしくお願いいたします。
小林:はい。ありがとうございます。
森辺:はい。
小林:本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。