小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastなんですけども、この番組に寄せられた質問について、今日はお答えしていただきたいと思うんですけども、いかがでしょうか?
森辺:はい。お願いします。
小林:ありがとうございます。
森辺:そうだよね。「番組の質問をお受けします」と言って全然答えていないよね。
小林:そうですね。
森辺:それやっていきましょう。
小林:じゃあ、よろしくお願いいたします。
森辺:はい。お願いします。
小林:じゃあ、早速1つ目の質問なんですけども、こちらの質問は消費財メーカーの方からいただいた質問ですね。
森辺:はい。
小林:質問です。今後、近代小売(MT)はどんどん、どんどん、小売が進んでいくと思うんですけども、森辺さんがいつもTTを攻略しろということをおっしゃっている、伝統小売ですね、を攻略しろとおっしゃっているんですけども、「どうせ今後MT化するならTTというのは別に攻略しなくてもいいんじゃないか?」という質問なんですけども、こちら、ご回答いただけますでしょうか?
森辺:要は、いつも僕が、MT、近代小売と伝統小売は両方同時だと、最初から両方同時で攻略しなさいと、近代小売だけじゃ駄目ですよということを言っているんだけども、その質問者の消費財メーカーの人は、いや、どうせそのうち小売って全部近代化するんでしょうと。日本みたいになるんでしょう、新興国もね。今は伝統小売が主流でも、そしたら、難しい伝統小売を攻略するよりも、全部が近代化してから攻めればいいじゃんと言っているということね。
小林:そうですね。
森辺:なるほど。まあね、なんだけど、それがいつかというのがすごい問題で。僕はもう時間軸だけの話だと思っているんですよ。それが5年後にくるんだとしたら、5年間待ったらいいと思うんですよね。なんだけど、たぶん、おそらく30年とか40年とか経たないと小売の近代化がほぼ完了しますという状態ってこないと思うんですよ。僕、1980年代にシンガポールに住んでいて、マレーシア、タイ、散々行きましたけど、基本的に当時よりも伝統小売の数って増えているんですよね。
小林:え?そうなんですか?
森辺:うん。だから、近代小売、近代化も進んでいるんだけど、一方で伝統小売の数も増えていて。
小林:あー、なるほど。
森辺:その伝統小売というのが、近代化するのに、じゃあ、ここ、向こう10年で多くの伝統小売が近代化するかって、マレーシアですらまだ50%なんですよ。マレーシアですら。そんなことを考えていくと、小売が近代化するというのは、どういうことが起きるかというと、1つは小売だけが勝手に単体で近代化するんじゃないんですよね。いわゆる、あらゆるインフラが近代化するから初めてその上に乗っている小売も近代化できるわけですよ。その…、分かるんです。日本の小売の近代化って一気にいったので。どういうことかと言うと、戦後、もう伝統小売ばっかりだったところから、高速道路が整備されたじゃないですか。高速道路が整備されたことで、北海道から沖縄まで、九州まで、道路が横断、日本列島を道路が横断して、物流が高速道路を通じて東西南北行けるようになったというのと、新幹線に投資したでしょう。新幹線で、いわゆる鉄道投資をして、鉄道を通じてもものの移動が起きていて。小売が近代化するって、全国津々浦々近代化するって、まさにインフラなんですよ。物流インフラがまず絶対的に近代化しないといけないし。あと、水・ガス・水道…、あ、水道は一緒か、水は。水道・電気・ガス、こういったものも同時に近代化していかないといけない。あと、コールドチェーン、これも必要でしょう。近代小売にはね。コールドチェーンも特にアジア新興国なんて暑いですから近代化していかないといけない。こういうものが同時並行的に近代化して、初めて小売も近代化できるんですよ。首都だけを見ていたら、それはたぶん、向こう10年で伝統小売は消えるかもしれない。それでも、居住区エリアの伝統小売って、やっぱり人々の生活の1つになっていて、全員が全員、日本みたいにコンクリートの何階建ての、東京の何十階建てのマンションに住むということにはならないんですよ、10年でね。やっぱり、首都だけ見たって、居住区とそうじゃないところとでは全然この近代感が全然変わってくるとなると、やっぱり首都だけ見たって、全部が近代小売化するなんていうのはあり得なくて。そうすると、そういうインフラがちゃんと整備されて初めて。日本はそのインフラの整備が整ったので、急激に。だから、小売も近代化できたんですよ。じゃあ、一方でアジア新興国、ASEANだけ見てもいいですけど、どの国見たってまだまだその他のインフラが整わないのに、整いつつあるのに、日本が成し得たあれだけの急激な整い方はまずしない。というのと、あと、日本人とコンビニエンスストアというのがものすごく相性がよかったわけでしょう。もともとアメリカで生まれたもの、セブンイレブンなんて今、日本になっちゃったわけじゃない?それだけ相性がよかったというのとが合わさって近代化が進んだんだけど。なかなかそうはならないと思うよ。
小林:なるほど。
森辺:そうすると、僕は、たぶん30~40年かかりますと。30~40年経ってから入るんだったら、もう30~40年どこで稼ぐのよという話になっちゃうでしょう?
小林:そうですね。
森辺:仮に、別のところで稼いで、30~40年後に入ろうと言って行ったときに、30~40年伝統小売やらなかった日本のメーカーが受け入れられるのかなと言うと、市場に、マーケットに、もうその時点で勝敗決まっているでしょうと。ほかの欧米の先進グローバル企業は、これから中国やアジアのローカルの消費財メーカーがますます技術革新して大きくなっていく。日本のメーカーと大差がなくなっていく中で、市場が近代化したから、さあ、僕たち行きますよと、「Japan Premiumです。どうですか。Welcomeしてください」と言われて、Welcomeされるかなと言うと、僕はされないんじゃないかなと思うので、やっぱり近代化してから行くというのは、いささか虫がよすぎるのではないかなと。
小林:ちょっと遅すぎるということですね。
森辺:うん。時間があまりにも経ちすぎるということと、あと、なぜそれだけの時間が経つかと言うと、小売単体で近代化するものではなくて、それはすべてのインフラが関わって初めて近代化するので、時間がかかるんですよというのが僕の理由かな。
小林:分かりました。ありがとうございます。このように、番組への質問どんどん受け付けておりますので、皆さまぜひ、どんどんご質問ください。よろしくお願いいたします。
森辺:よろしくお願いします。
小林:本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。