東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今日はちょっと久々にまた2人でやりたいと思うんですけれども、結構、最近、ディストリビューターに行くと聞かれるのが、「よく日本の企業さんは担当が替わるけど、あれってどういうこと?」みたいなことを。基本的にディストリビューターってアジア各国に行くと華僑系じゃないですか。だいたいオーナーか2代目がやっているところが多いので、彼たちからすると、なんでころころ替わるんだろう?みたいなのを、単純に疑問に思うらしく、そんなことを聞かれるんですけど、その辺はどうなんですかねという。
森辺:そうだよね。要は、華僑系のディストリビューターも、自分たちの社員は番頭さんクラスを含めて、番頭さんがそんなに抜けるということは華僑系の一族系ではたぶんなかなかなくて。上がファミリーで固まっているから、言ったら、組織の上のピラミッドは替わらないじゃない?
東:固定されていますよね、だいたい。
森辺:固定されているよね。下は、これは日本以上にポンポン、ポンポン、辞めては去ってというのがたぶん通常だと思うんだよね。一方で、彼らが言っている「なんで日本は?」というのは、オーナーと話をする人というのは、非常にトップマネージメントレベルじゃない?
東:はい。
森辺:それが替わるっていうことなんだけど。いわゆるディストリビューターと言っても、大きくても数百億で、日本の会社で言うと、そうだなあ、部長が年に1回なのか、何年かに1回ぐらい行くぐらいで、あとは課長職とか係長職、もしくは主任とかね、担当は役無しとかが担当するわけだと思うんだけども、その人たちが人事異動で替わっていく。日本の組織の場合は、辞めるというよりかは担当替えだよね。それは確かによくあるから困っているよね。そういう担当がオーナーに会うわけだもんね。
東:そうですね。たぶん、そういう担当の方が会っていて、また2~3年に1回とか、5~6年に1回替わっていってやり方が変わるみたいなことを、愚痴りじゃないんですけど、よく言われたりするんですが。
森辺:そうだよね。長くてもまあ3~4年だな。
東:日本人からしたら何となく分かるじゃないですか。ただ、彼たちからすると、そこが不思議に思うみたいで。
森辺:僕、日本の企業のグローバル化がなかなか進まないというか、ノウハウが蓄積されないことの要因の1つに、この海外の担当替えというのがあって、組織だから当然替えないといけないし、これは非常に難しい問題なんだけど。例えば、どうだろうな、ベトナムの担当をしていて3年で替わってとか、フィリピンの担当をしていて3年4年で替わって、インドネシアの担当3~4年で替わって、となってくると今までやっていたことが道半ばで替わるわけだよね。
東:そうですね。
森辺:そのうちディストリビューターもあきらめ入っちゃって、前の担当とはこうやっていたと言って、いいことばっかり言われて、また交渉が初めからになっちゃうケースとか。あと、またゼロからリセットみたいな、せっかくここまで行ったのに、次の担当に当然引継ぎしているんだよ、引継ぎしているんだけど、そもそも国内の事業じゃなくて、アジア、ASEAN新興国の難しい事業やっていて、そんな引継ぎで3年間4年間やってきたことが引き継げるかと言ったら、そうじゃないじゃない?
東:なかなか難しいですよね。引き継ぎ期間もたぶん1カ月とか2カ月とか。
森辺:そんな取らないよね。下手したら1週間一緒に回って「はい、終わり」みたいなね。
東:そうですよね。
森辺:紹介したらはい終わりみたいなね。そうすると、それが組織が大きいから何とかなっているけど、われわれから言わすと本当にもったいない話でね。思うよね。だから、何だろう、うちの宣伝みたいになっちゃっていやなんだけど、われわれみたいな会社を使う1つのメリットというのが、そういう人事異動がないわけじゃん、うちの場合はね。基本的にはもうそこをずっと対応していくわけだから。そうすると、何だろうな、そこってやっぱり1つ日本企業は変えないといけないところなのかなという気がするんですよね。
東:うーん。YKKさんとかは、すごい極端ですけど、駐在させたら何十年みたいな、極端にそういうところもあるので、一概にはそうは言えないんでしょうけど、結構、そういう傾向は多いですよね。
森辺:YKKみたいなケースはレアケースだよね。
東:レアケースですよね。
森辺:だから、日本企業が実際にうまくいっている地域って、もう10年以上の選手がいるからうまくいっていますみたいなのが多かったりとか、そこになおかつパートナーがたまたまよかったと、ウマが合ったという、この2つ以外ないじゃないですか。そうすると、それってすごい俗人的で、全くもって戦略的じゃなくて、人を、駐在員を送ったら何千万でしょう?
東:そうですね。
森辺:それが4年5年でころころ替わっていくわけで、ノウハウはリセットするわけじゃない?
東:はい。
森辺:僕が、これ、オーナー企業のオーナー社長だったら、もうそんなこと絶対許せないので。だから、やっぱりそうじゃない会社っていいよね。オーナー企業は比較的置くじゃない?ずっとそうするじゃない?
東:そうですね。
森辺:例えば、海外にずっと行かせるから、国内に戻したりとかということもないでしょう、1回海外に行くとね。だから、そこは1つ、日本企業のもったいないところだし。あと、オーナー企業は逆にグローバル化が向いているというのはそういうところに僕はあると思うんだよね。
東:なるほど。分かりました。今日はお時間が来たのでここまでにして、また次回引き続き、この話題でいきたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。