東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き、人事異動の話から始まって管理育成の話だったんですけれども。たぶん、単純な疑問で「管理育成してどういう効果があるんですか?」みたいなことも、しなきゃいけないのはたぶん日本でやっていることだから、分かりますと。「ただ、それでどう効果が違うんですか?」みたいなことも聞かれたりするじゃないですか。
森辺:はいはい。
東:その辺はもう本当に森辺さんの実感値で構わないんですけど、どうですかね?
森辺:僕ね、求めている売上規模だと思っているんですよ。例えば、売っているものによって全然違うので、じゃあ、消費財の分野。今、この目の前に明治の松田さんとの対談のパンフレットがあるので、パッと消費財で言いますか。例えば、食品とか、飲料、菓子、日用品なんかの分野で言うと、言ったら、「1カ国数億円やりたい」みたいな話なんだったら、管理育成なんて全く必要ないよね。そのレベルで満足しちゃうということは、2桁億じゃなくて1桁億で満足しちゃうということは、そんなにノウハウないから、ノウハウない人がいきなり管理育成やると言ったってそれは無理だから、ぶっちゃけディストリビューターに丸投げに、おんぶに抱っこでいいと思うのよ。それで、たぶん1桁億はいくからさ、ずっとね。そうじゃなくて、それをじゃあ、輸出で2桁億、じゃあ、100億200億やっていきましょうと。現法出してやっていきましょうとなってくると、初めて管理育成が必要で。管理育成って、売上の規模を消費財で言ったら2桁3桁にしていくために必要なことだと僕は思っているのね。いわゆる消費財メーカーにとって最も重要な自分たちの商品が、どういう中間流通を通じて、どういう小売に、どう並べられて、どういう消費者がそれを手に取って、繰り返し買っているのか否かみたいなことを知り、そして、自分たちに必要なものは何かということを把握してそれを実行するということが管理育成で。それを自分たちの人員だけでやるのではなくて、ディストリビューターを使って、どう小売や、どう消費者に対してアクションを取っていくかということだと思うので。求めている規模によってだと思うんだよね。規模を高められるのが管理育成だから。ややこしいことをするわけじゃないですか、管理育成ってね。そんなややこしいことをして売上が上がらないんだったら、やる必要は全くないので。やっぱり、そういう必要なステージというのが出てくるので。これから出ますというときに、管理育成を自前でやっても、それはちょっと、でも本当はやったほうがいいんだけどね、最初からね。そしたら、もう5年で、例えば、何億というのが、5年で何十億とか、5年で100億とかって組めるわけじゃない?
東:はい。
森辺:だから、まあまあ、やったほうがいいんだけど。でも、これ、やったことがないとやれないからね。
東:うーん。なるほど。そうすると、やっぱりそこの辺が、人事異動もそうだし、経験値も少しボトルネックになってくるようなかたちになってしまうと。
森辺:日本の国内の事業と海外の事業の絶対的な違いって、日本の国内事業って別に人事異動したってやっていることは一緒じゃないですか。例えば、営業マンで、札幌支店から大阪支店に変更になったと、そこから東京支店に変更になったって、それは土地土地のいろんなあれはあったとしても、やっていることは一緒でしょう。上司も違うからちょっといろいろあるかもしれないけど、基本同じじゃない?
東:はい。
森辺:じゃあ、今度、営業からね、開発に行かないでしょう、いきなり。
東:そうですね。
森辺:だって、文系から理系に行かないわけだから。営業から人事に行くって、希望出したの?とかってそういう話だから、基本、営業は営業じゃない?
東:はい。
森辺:管理は管理の中で異動するわけでしょう。営業から経営企画って、これはあるかもしれない。
東:そうですね。
森辺:けど、これって別に、対お客さんに対するアクションをどうこうするという人事異動じゃないじゃない?
東:はい。
森辺:一方で、海外って、ノウハウが全くないところでいきなり出て、学んで、学んでいる途中で引き返されると。これが何百人規模でいて、そのうちの2割が人事異動していると言うんだったらいいんだけどね、いやいやもう、1人1人が主要メンバーになっているわけでしょう?
東:そうですね。
森辺:海外にいたら、どんな大手でもね。そこを人事異動しちゃうって、僕は、日本と同じ感覚で人事部がグローバルの人事を考えているんじゃないかなと思っていてね。グローバルの人事なんて、動かしちゃ駄目よね、本当にグローバル化したいんだったら。そういう人材だけをそこに充てないといけない。そんな人材、なかなかいないわけですよ、製造業にね。「だったら、商社に行くよ」という話になるし、今、商社でも「海外いやだ」と言うんでしょう?
東:うんうん。何か、主張するのはね。
森辺:だったら、もっと外部のグローバルなコンサルファーム使ったらいいと思っていて。だって、それ毎年の経費で落とせるわけだからね。
東:そうですね。
森辺:経費計上できるわけでしょう、コンサルフィーをね。だから、どんどん、どんどん使ってノウハウを貯めていって。仕入れだよね、コンサルフィーなんてね。ものすごい営業している感じに聞こえていたらいやなんだけども。
東:(笑)
森辺:でもね、あまりにも使わなさ過ぎちゃっていて、何でも自前でやろうとしていて、今ね、製造業も自分たちの工場でつくることがよしとされない時代でしょう。Apple然り、何々然りね。
東:そうですね。
森辺:そうすると、そんな自前でグローバル抱えてどうするんだって。抱えることによってノウハウが積み上がっていると思い込んじゃっているというのが、僕、本当に滑稽だなと思うんだけど、ノウハウ積み上がっているどころか、全部流出していますよと、人事異動でね。何なら、社員辞めているじゃないですかと。そうすると、「ノウハウって何なんだろう?」というのを日本企業はもう1回本当に考えないといけない。もう20年前から「グローバル人材育成」って言ってやってきたわけですよ。
東:うん。最近聞かなくなりましたね。
森辺:うん。で、育ったの?って、育っていないんですよ、そんなものね。だから、そんな妄想にいまだに惑わされている会社、僕、名古屋に中堅のメーカーさんで非常に面白い会社を知っているんだけど、ちょっと名前言えないけど、その会社ね、グローバル担当も全員グローバルですよ。全員グローバルって、全員動かないんですよ、グローバルからね。南米担当はもうずっと南米みたいな。そこの事業本部長、海外事業部のね、もうずっとですよ、入社から今までずっと海外担当。そりゃ強いよね。だから、そうならないと僕は駄目だなと思いますけどね。
東:分かりました。じゃあ、森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。