小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastなんですけども、フジサンケイビジネス第652回日本人は、準備と計画、そして理解に時間をかけ過ぎるその1
東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今、ちょっと、少し遅いですけど、話題になっていたカルロス・ゴーンさんの話なんですけど、日本では、皆さん、報道を見られると思うんですけど、森辺さんなんかは海外のニュースサイトとかいろいろ見られると思うんですが、そこで何か印象に残ったこととかがあれば、教えていただきたいんですが。
森辺:(笑)そうだよね。カルロス・ゴーンね。僕、あの事件のことは結構どうでもいいというか。
東:そうですよね。
森辺:(笑)あれなんだけど、国際社会と日本というか、グローバル市場と日本みたいなところ、非常に気になっていて。何だったっけな、カルロス・ゴーンさんが、とあるブラジルだったかの有力紙の取材で、自身の逃亡が成功した要因について答えていて。「日本人はのろまだ」ということを言っていて、いや、本当に言ったかどうか知りませんよ。僕もメディアで読んだので。そのカルロス・ゴーンさんが言ったフレーズの中に、「日本人は準備と計画と理解にたくさんの時間をかける必要のある人たちだ」ということを言ったんですよ。僕は、カルロス・ゴーンさんがいい人だ、悪い人だ、不正があった、あってないとか、クーデターだ、クーデターじゃないとか、法律違反だ、違反じゃないとか、あまりどうでもよくて、彼が日本に少なうとも20年ぐらいを費やした中で、日本人をネガティブに評価したときに、もちろんポジティブに評価していることもいっぱいあると思うんですよ、ゴーンさんね。ネガティブに評価したときに、「日本人がのろまで準備と計画と理解にたくさんの時間をかける必要がある」というのを聞いて、納得しちゃってね。
東:うんうん。言葉にですよね。
森辺:うんうん。グローバルで確かに「のろま」って思われいるね。「No Action Talk Only」と、NATOと言われているでしょ。結局、やり取りしているんだけど、途中で頓挫するなんていうのはしょっちゅう言われるじゃない?
東:はいはい。
森辺:ちょっとどうにかしてほしいと。ここのメーカーとやり取りしているんだけど、途中で頓挫しちゃうとかもしょっちゅうだし、決めない。決められない。とにかく、聞きに来るけど何も進まないというのをまさに目にしているから、こののろまって、何かいやな言い方だけど、準備と計画と理解にたくさんの時間をかけるって、あー、確かにそうだなと思って、そっちのほうが気になっちゃったんだけど、こういう答えじゃ駄目ですかね。
東:(笑)いいですよ。準備と理解と計画…?
森辺:準備と計画と理解に。
東:計画と理解に。それは森辺さんなりにそのサイトを見て、どういうところに、カルロス・ゴーンさんに共感したんじゃなくて、たぶん、その言葉に少し今のビジネスとつながることがあると思うんですけど、それがどういうところにそういうことがそうだなと思ったというか、腹落ちしたというか。
森辺:例えば、クライアントでも、某国で抱えている課題、5年前から抱えている課題に対して、結局、今も同じ課題を抱えているんですよ。いや、5年前にその課題はもうすでに存在していて、こういうことをしないと解決しないですよというソリューションを提示していて、それをやりましょうか?課題が何か分からないから、われわれはフィーをいただいて課題が何なのかをあぶり出すということをまずやるわけじゃない?5年前にその課題をあぶり出しましたと。その課題に対してもお客さんも合意して認識していますと。その課題を解決するためには、こういうことをしないといけないので、われわれがこういうことを3カ年でやっていきましょうと言ったまま進まず、ご自身でやられる。でも、そこがますます進まず、結局、5年前の課題認識のまま5年経っちゃったとかっていうケースが結構あって。
東:課題は認識しているけれども、その準備と。
森辺:計画。
東:計画と。
森辺:に時間。
東:理解が。
森辺:に時間が5年間かかる。
東:進まないということにイコールがあるということですかね。
森辺:共感しちゃう。うん。それが、1件2件じゃなくて、ほぼ、ほぼ多くの、ほぼ8割ぐらいの。僕がほぼと言うときは8割ぐらいなんだけど、8割の日本の企業ではそんな状態で、「5年経っちゃいましたね」と言うと、「いやー、そうだよね、森辺さん」と言うので、「あのときに、だから、僕、やらせてもらったらよかったじゃないですか」「だよね」と。今、6年目にその課題に着手みたいなケースが結構あって。日本人のいいところでもあると思うんですよ。しっかり準備をするという、用意周到という言葉もあるし、小さい頃から「準備しなさい」と、準備というものをすごい重要視させられるじゃない、日本人ってね。一方で、しっかり計画をするんだと。計画ももちろん重要、プランもね。理解をするという。で、理解も、日本人の理解ってしつこいというか、海外の感覚から言わすと、プッと頭に入ったら、もう理解じゃない?なのに、それを繰り返し繰り返し、何度も何度も自分に言い聞かせるように理解しようとする。それが結構、グローバル的にはしつこいという話になるんだよね。海外を一派ひとからげにするのは間違っているんだけども、多くの場合は、あっちという方向をトップが決めたら、そこにはバーッと走って、走りながら、いろんなものを考えて組み立てていくということはありで、トップが何も示さずまま、いいから適当な方向に自分たちで考えて走って決めろって、これは間違っているんだけど、方向だけ決めて走らすというのはありで。全部が完璧に失敗が許されないから、失敗しないように計画をしてというのになっちゃうと思うんだけど。だから、PDCAのサイクルってあるじゃない?
東:はい。
森辺:なんだけど、Plan-Do-Check-Actionだよね。なんだけど、Planして、Doがなくて、Checkして、Actionもないみたいな。P-C-P-C-P-Cみたいな、Plan-Check-Plan-Check-Plan-Checkみたいな、そんな要素が大きい気もするしね。結構、僕は、ゴーンさんの事件と言えば、この言葉のほうが印象に残っちゃって、彼が音楽ボックスの中に入って逃走したとか別にどうでもよくて、感慨深いなと思うんだよね。
東:それは、日本企業を客観的に、海外から来て、経営者となって20年以上、彼がやってきた中で、それが、今回の事件をなぞらえてそういう話を捉えたということですよね。
森辺:捉えたということだと思うんだよね。だから、彼の言ったこれは、すごくわれわれ、僕は考えちゃって。「日本人は準備と計画と理解にたくさんの時間をかける必要がある」という、その通りだなみたいな。でも、これからって結構Actionの時代で、失敗が価値なわけでしょ。失敗がラーニングだし、失敗からいろんなものが生まれてくるので、失敗をすればするほど強くなるわけだよね、最終的にはね。ということは、高速回転しなきゃいけなくて、PDCAというよりかは、もうPlanはそこそこにして、Doが大きくて、Checkは普通にやって、Actionだから、Do-Action-Do-Action-Do-Actionみたいなことをダダダダーッと繰り返すほうが、たぶん重要なのに、その逆が大きくなっちゃっているから、なかなかグローバルでスピーディーに戦っていくというのは難しいんだろうなという気はして。日本人のいいところが裏目に出ている感がすごくあって。ゴーンさん…。
東:それがもったいないなと。
森辺:もったいないなという。ゴーンさん、そうだよなー、こう言っているよなと。なんだけど、世の中ではここは全く取り上げられていないので、僕が勝手に気になったんだけど、世の中はゴーンさんが悪か善かというところの議論になっているんだけど、僕は、ゴーンさんのこのセリフがとっても印象的だったんですよね。
東:分かりました。最後にもう一言。
森辺:PDCAはPlanとCheckだけじゃなくて、DoとActionを多くして回すべきで、日本人のこのよさというのは非常にいいんだけど、海外だと準備と計画と理解にたくさんの時間をかけるって、これもすごくいいことで分かっているんだけども、それを無理やり変えていくということをしないと、なかなかこれからのグローバル競争には勝っていけないんじゃないかなと思います。
東:分かりました。森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。