東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、この間の前回では、部活動の話でちょっと話が逸れてしまいましたけれども、そういう文化的な背景もあって、そういう日本人のいいところだったり、悪いところがあると思うんですけども、これってたぶん、結構、企業にも当てはまるのかなというのは、日本だとどちっかと言うと、メーカーだったらこの専業メーカーが多かったりするじゃないですか。ただ、海外へ行くと、コングロマリットみたいなかたちで、これもやるけどあれもやるみたいなメーカーだったり、総合的な会社が多かったりすると思うんですけど、財閥系と呼ばれるような、当然、日本もそうだったと思うんですが、そういうところもあると思うんですが、その辺って違いがあるんですかね?
森辺:違いというのは。
東:考え方とか、経営者の側の考え方だと思うんですけども。
森辺:そうだよね。日本はどちらかと言うと、何と言ったらいいのかな、もちろん企業なので、経営者の考え方が思い切り反映はしていて、その中で部活の話というのは、プロにならないのになんであんなに野球をやらせるんだろうって、僕は不思議でしょうがなくて。今は違うのかもしれないけど。僕が30年ぐらい前なのかな、25年ぐらい前なのかね。
東:25。
森辺:それぐらいは死ぬほど野球をやらされていたので。先生にはぶん殴られていたし、なんで野球、野球が下手でこんなぶん殴られるのかな、なんでテニスが下手でこんなぶん殴られるのかなという。
東:でも、それしか知らない人はそれを疑問には思わないじゃないですか、変な話。
森辺:疑問には思わないでしょう?
東:自分なんかはアメリカンスクールへ行ったわけじゃないので、それが当たり前で、それが、そう育ってきたから、アメリカンスクールへ通っている人の話を聞かない限り、それが違うんだとは思わないと思うんですね。
森辺:思わないよね。僕も、だから、不思議じゃなかったの、最初はね。先生というのは怖いものだと、部活の先生、とにかく鬼、鬼でしょう。
東:うんうん。
森辺:あと、小学校のときとか、水飲むなとかって言ってたでしょう?
東:高校までぐらいそうでしたね。部活のときは水飲んじゃいけないみたいな。
森辺:水飲むなってどういうこと?と思って。僕、大学、帰国して大学へ入ったときに、当時、空手キッドという映画があったんですよ。ベスト・キッド1、2、3ぐらいまで。非常に面白くて。いやー、大学かと。僕も大学生になったなと。日本の大学に、当時、日本にすごい憧れてね。日本の大学へ行って。空手でもやりながらと言って。
東:(笑)
森辺:学校に、勉強しようと思って。たまたま、入学式みたいのに行ったら空手…。
東:勧誘みたいな?
森辺:勧誘みたいなのが来て。「あ、空手ですか?いいですよ。やります」と言ったら、「おい、1年」とか言って、いきなり入部したその日から高圧的な態度で、「これ着ろ!」とかって言われて、学ランって言うの、先輩の学ランで刺繍みたいなのが入っているんですよ、中にね。何とか流空手、何かと言って、えーっと思って、なんでこんなの着なきゃいけないんだろうと思って、無理やり着せられて。じゃあ、昼間に練習して、あと、授業が終わってから練習すると言って、朝も練習するというのかな、僕の感覚だと、汗スッキリ流して勉強して、大学生ライフを楽しもうぐらいの話だったのに。
東:はいはい。(笑)
森辺:学ラン履けみたいな。大学の空手部、空手のサークルの連中以外とは、基本あまり付き合わないみたいな。常に一緒にいるみたいな。練習に行ったら、道場に行ったらね。(笑)
東:はい(笑)
森辺:「おい、1年」とかって、「おまえらは床の雑巾がけと洗濯」。「いや、おれメイドさんじゃないんだけど」と思って、「家政婦さんじゃないんだけど」と思って、びっくりして。要は、こういうこともそうなんだけど、先輩のために後輩が尽くすって、どんなSMクラブですか、という話じゃない?そんなの。
東:(笑)
森辺:だって、1歳しか歳は変わらなくて、先輩後輩って意味が分からないでしょう。それが日本の青春だから、別にそれをぶち壊すつもりはない。いや、楽しいよなって、先輩がいて、後輩がいてさってそういうので育ってきているから、何か森辺、いやなことを言っているよと思っている人もいるかもしれないけど、でも、これグローバルで見たときに、もう頭おかしいんですか、あなたたちという話にしかならないのよ。だって、1歳しか違わないのに、下手したら先輩のほうが弱かったり、全然あり得るわけじゃない。
東:まあまあ、実技ではという話ですね。
森辺:うん。実技でもそうだし、脳みそでもそうだし。社会に行ってから、要は、年下に負けるということが余計屈辱になるわけじゃない?だから、さっさとこの先輩後輩文化を、僕は取っ払わないと、日本のこの悪しき習慣にいろんなものが引っ張られると思うし。生徒が掃除するとか、教室。これもそうなんだけど、日本人は自分で自分の教室を掃除するものこそが勉学も含めてちゃんとできるやつみたいなね。
東:しつけみたいな感じですね。(笑)
森辺:なんだけど、アメリカンスクールに行くと、掃除は掃除する人がいるのよ。掃除のおじちゃんがいて、その人がすることで、「あなたは掃除夫じゃないから、掃除をするのはあなたの仕事ではありません。あなたがやるべきことは宿題です。Homeworkです」みたいな。全く考え方が違って。むーというのはすごく考えさせられて、僕は、アメリカ式のやり方のほうが…、アメリカ式なのか、それは。アメリカンスクールはそうだったんだけども、正しいなという。あと、先生が生徒を殴るとかもなかったので、当時からね。結局、日本人も10年か20年か30年遅れてアメリカの真似をするわけじゃない。今は、だって、体罰駄目でしょう?
東:そうですね。
森辺:あんなの、アメリカはもう何10年も前から体罰なんか駄目だから。結局、アメリカの真似するんだったら、最初から真似とけと思っていて。いや、日本風に、日本のWayでと言うんだったら、最後まで貫いて生徒殴れという話になるの、例えばね。
東:うんうん。
森辺:だから、ちょっとロジカルじゃないというか、何かもったいないんだよね。そういう矛盾をよく感じましたね。だから、空手部は入って何カ月かで、僕、辞めたの。
東:(笑)
森辺:先輩…、先輩があと、おごるんですよ。いや、先輩って、何とかさんと、学生ですよねと。僕、1年生、あなた2年生と。僕のご飯おごっているけど、ぶっちゃけうちの家庭、結構、裕福で、僕、お小遣い、仕送りこれぐらいもらっているんだと、あなたはいくらもらってる?と。いや、バイトだけって。じゃあ、僕のほうが生活が多いじゃないかと。
東:はい。(笑)
森辺:「そのあなたにおごられるのは気が引ける」と言って。「うるせえ!先輩がおごるものなんだ」って言われて。
東:(笑)
森辺:「おまえもそういう気持ちがあるなら、これから先輩になって後輩におごってやれ!」みたいな、何かちょっと格好つけたことを言われてね。「いやー、何々さん、そんな格好つけられても」という。「ちょっと合理的じゃないから理解に苦しむ」みたいなね。相当いやなやつだったんだろうな、おれと思ったんだけど。
東:(笑)
森辺:でも、そういうことがあって。だって、意味分からないでしょう?
東:そうですね。
森辺:学ラン着ろとか、週末も含めて、空手の部の練習。
東:人脈の中で。
森辺:人脈の中で生活しろとか、外にいかないわけね。1、2年は洗濯・床拭き、そうそう、辞めようと思ったきっかけが、飲み会に行くと言って、居酒屋の前で四股立ちさせられたんだよね。(笑)
東:(笑)
森辺:いや、四股を踏んで、「空手部何ちゃらー!」みたいな、決まったセリフがあって、「おー!」みたいな、そういうことを居酒屋の前で、飲み会が終わった後に1年が並んで、先輩を前にしてやらされたのよ。応援団みたいな、みんな見るわね。何なんだろう、これと思って、今考えると、当時、18、19ぐらいの子たちが先輩後輩と言って、そんないちゃびって、いきりたっているわけじゃない?何が教育かの教育のきょの字も知らなくて、指導のしの字も知らないのに、先輩が後輩に指導するでしょう?それ、教育者がいるわけじゃん、20何歳ぐらいで。その人たちから見たら、「ちょっと何してんの?」っていう話でしょう。
東:うんうん。
森辺:だから、そういう意味不明なことはアメリカの社会ではなかったんだよね。(笑)だから、相当おかしいと思うの、こういうのもね。こういうのが、結構、ビジネスの中でもまだまだちょっと根強く残っている気はするよね。
東:その延長線上とは言わないまでも。
森辺:とは言わないものの。
東:それが節々に見えるから、組織として論理的じゃないところが結構あるということですよね?
森辺:だって、部長や部下に気を使う取締役とか、年下上司が年上部下に気を使うとか、全くもって不要なことじゃない、ビジネスを推進するうえでね。そういうのが、日本の組織の中ではまだまだ存在するし。日々見るわけじゃない、われわれもね。だから、こういうことを言うと、「あいつ、帰国子女。いやなやつだね、やっぱり」ってリスナーに思われているのかもしれないんだけど。
東:(笑)
森辺:そんなことないんですよ。僕は必死に変えようと思っていて。ただ、僕が見てきた世界をみんなに伝えているだけでね。
東:分かりました。
森辺:いやなやつじゃないんです。
東:(笑)分かりました。じゃあ、森辺さん、時間がきましたので、また来週よろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。