東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:ちょっと思わぬ方向に話が飛んでしまいましたけど、空手部にいやな思い出があると。(笑)
森辺:うん。
東:そういうところで、大学時代の教育の違いからも、結構、やっぱり、ビジネスのやり方の違いというのが、少なからず、当然、文化とか習慣とか、そういう教育が反映されるということもあるということですよね。
森辺:そうですね。教育は思いきり出ていて。昔から思っていたんですけど、僕、アメリカンスクールに行く前から思っていましたけどね。なんで自分より1歳上だけでこんなにも偉そうにされるんだろうというか、こんなにも仕えなきゃいけないんだろうみたいな。今の先輩後輩ってそんなことないのかもしれないけど。分からないけど、もう僕もこんな歳だし。
東:だいぶなくなってはきているでしょうね。
森辺:なくなってはきているのね。
東:ただ、われわれの年代とか、まだこの近辺というのは、そういうことを経験してきた年代ではあると思うので、そこが管理職の今、中枢にいるというか、それ以上の人が多いと思うので、そういうかたちになりがちなのかもしれないですよね。
森辺:そうだよね。今まさに20年30年かけて大きく変わっている、そういう時代の岐路なのかもしれないけどもね。
東:そうですね。なるほど。それがグローバル的に見ると、やっぱりちょっとおかしいんじゃない?となってしまうと。日本から見ると、それ以外を経験していないので、基本的にはそれが当たり前だと思っているけれども、たぶん、外の目から見ると、ちょっと、どうして?と思われることが多いということですかね。
森辺:そう。時代が70年代80年代の高度成長期は護送船団方式株式会社、日本株式会社のやり方でよかったと。日本型経営が一番評価された時代だし、それでよかったと思うの。先輩後輩、一致団結、会社のために死ねますか、24時間働けますかってユンケルがさ、♪ジャパニーズビジネスマ~ンとかって、やっていたでしょう?
東:やっていましたね。
森辺:「24時間働けますか」って今言ったらね。
東:(笑)これ。
森辺:もう完全アウトじゃない?
東:そうですね。
森辺:あんなCMよく流せたなっていう時代なわけで、ブラック企業でしょう、ユンケル。
東:でも、それがあんまり違和感なかったですもんね。
森辺:いや、むしろカッコいいみたいな。
東:いう感じでしたもんね。(笑)
森辺:自分の親父、めちゃめちゃカッコいいみたいな。ジャパニーズビジネスマン24時間働けますか?って。何だっけ、僕、好きな俳優。この間、お亡くなりになられた、樹木希林の婿さん。
東:はいはい。
森辺:あのー、ほら…。え、もっくんだっけ?
東:はいはいはい。
森辺:がやっていたでしょ、確かね。
東:やっていましたね。
森辺:ユンケルだよね?
東:ユンケルですね。
森辺:24時間働けますか?うーん、だから、今、そんなのやったら、電通、あんな袋叩きにあっているのに、ユンケルなんかもっと袋叩きでしょう。時代が変わるとこれだけ常識が変わっているから、いろんなことが変わって。あの時代はよかったわけですよ、それでね。でも、今、「24時間働けますか?日本、一致団結レッツゴー」という話じゃないわけなので、やっぱり、大きく変わらないといけないということで。そうなってくると、いろんな弊害があって。何を言いたいかと言うと、もっと、もっと適当に考えてほしいと思うんだよね。日本人ってね。もっとこう、適当に考えて。1、2、3ができなかったら、4、5、6ができないという、われわれが今まで教えられてきた、それは嘘だから、それをまず変えないといけなくて。1、2、3できなくても、4、5、6できたりもするわけで。1、2、3できる人と、4、5、6ができる人って分かれていて。逆に1、2、3できても、4、5、6できなかったりするわけなのでね。だから、空手うまくなるには、まず1、2年洗濯と床拭きだって、これは間違っていて、空手うまくなるんだったら、1年からもう筋トレして、空手の組をやらないと駄目という。でも、まさにそうでしょ。
東:そうですね。
森辺:そんな、掃除してって、空手キッドじゃないんだからさ。そんなふうにはすごく思うんだよね。
東:はいはい。そこの思考なのか、体に染みついたものをなかなか変えるというのは難しいのかもしれないですけど、そういったところが少しずつでも変えていかないと、いろいろなところにひずみが出てくるという。
森辺:そうね。意外にわれわれって変わりたがらないでしょう?
東:はいはい。
森辺:絶対に今のところがいいので、でも、変わっちゃうと意外に大したことないなっていう話なので、変わろうとするときはものすごい反対勢力が襲い掛かってくるものなんだけども、それをはね退けて変わっていかないと、なかなか難しいんじゃないかなと思うんですけどね。ちょっとゴーンさんの話からだいぶ話がね。
東:逸れちゃいましたけど。
森辺:うん。あれしちゃいましたけど、そんなふうに思いますかね。
東:分かりました。まあまあ、そうすると、今の常識がグローバルから見た常識だとは、必ずしもイコールではないので、そこの辺はやっぱり、見直す必要があるし、変えていく必要が、われわれも含めてあるということですよね。
森辺:あるね。日本の常識は世界の非常識ってよく言うけど、その通りで、あと、何だ、ごめん、思い出した。僕、はっきりものを言うということがよく言われているけども、本当、重要で、これも日本の培ってきたいいところでしょう。「いやー、森辺さんと、今日、今晩どうですか?1杯行きませんか?みんなでいつもの居酒屋で飲んでいますので、よかったらぜひ」と言われたら、「分かりました、ちょっと調整します」って言ったら、もうNoじゃない?
東:はいはい。
森辺:「行きます」って言ったら行くじゃない?「ちょっと今日都合悪いので行きません」とは、なかなか言わないっていうか、相手のことを考えて、「調整します」とか、曖昧な表現を使うでしょう。海外だと、そのあいまいな表現というのが、YesかNoかみたいな話で、別に相手のことをそんなに考える必要がなくてというか、相手のことを考えなさいって僕たち育っているわけじゃん。相手の気持ちを考えろって絶対言われるでしょう。日本の道徳の教科書に書いてあるから、相手の気持ちを考えるって、それはすごく重要なんだけど、そこじゃないんだよなというね。あなたに何か聞かれていて、僕が行かなかったら相手が悲しむかなって、いや、そこの気持ちを考えて相手の気持ちを考えろって言っているんじゃないんだよなっていうふうに僕は思っていて、行きたくないものは行かないって言われないと、そっちのほうが。
東:分からないじゃないかという。
森辺:うん。相手の気持ちを考えろだから、そこじゃないみたいな。
東:日本人同士だったら通用するけど、対海外の人になると、調整しますって、本当に調整すると思っちゃうということですね。
森辺:うん。思っちゃうという。余計ややこしいから。そこは、「いや、ごめん、ちょっと今日はやめておくわ」で別に構わなくて。そこははっきり言ってあげないといけない。だから、ディストリビューターとやり取りをするのも、「ちょっと検討しますんで」でずーっと、「おまえ何年検討しているんだ」という話でよくあるでしょう?
東:はいはい。
森辺:だから、「いや、もう今はタイミングじゃないので、本当に一緒にビジネスやりたいけど、またそういうタイミングが来たら一緒にやろうと。今、今回は一旦もう、エンドにします」みたいな話をちゃんとできないというのは結構多いので。やっぱり、そこはしっかり言わないと、「何なんですか、あなたたち」という話になっちゃうんだよね。「まただ」と、もう結構、「どうせそうでしょう、日本企業は、はいはい…」というふうに思われているじゃない、もうすでにね。ASEANでこれだけ思われちゃっているってやばいなって、僕は思っていて。だから、そういうところも変えていかないといけないよね。
東:分かりました。
森辺:僕も好きなんだけど、曖昧な表現。なんだけど、変えていきましょう!
東:分かりました。森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。