小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastですが、リスナーの皆さまからいただいた質問に対してお答えしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
森辺:よろしくお願いします。
小林:では、本日の質問でございますが、こちらちょっと、前も似たようなご質問をいただいたのかもしれないんですけども。食品メーカーさまからのご質問でございます。「伝統小売が近代化するまで待ってから参入するのでは駄目なのか?そもそも、弊社は苦労してまで伝統小売を攻めるべきかを悩んでいます。結局、ASEANも全体的に近代化するのであれば、市場が成熟し、現在の伝統小売が近代化してから参入したほうがいいのではないか」というご質問でございます。
森辺:よくあるんですよ、この質問はね。
小林:うんうん。そうですね。
森辺:結論から言うと、答えはNoだと思います。
小林:No。
森辺:僕は、待ってから参入していたんじゃ、たぶん、市場に受け入れられないと思っていて。もし、食品メーカーで、自分たちが自分たちしかつくれない、かつ、世界に求められる非常に独創的な付加価値の高い商品を持っているんだというのであれば、それでもいいと思うんですよ。だって、その企業しかつくれないし、世界は求めているのにその企業しかつくれないというね。でも、そんなことって食品の分野であり得ないから。例えば、「いや、日本食なんだ」と言うんだったら、そりゃあ、海外の企業はつくりにくいかもしれないけど。じゃあ、今度、「その日本食をどこの海外の人が求めるんですか」って、「いや、訪日インバウンドで寿司食いたい、天ぷら食いたい」って、そういうことじゃないじゃない?
小林:はい。
森辺:そうすると、全然違う話になっちゃうわけだから。なので、世界の人が求めてくれて、なおかつ、自分たちしかつくれないようなものを、もしその食品メーカーがつくれるんだったら、近代化してから、楽になってから、「さあ、皆さん、市場をお膳立てしてくださってありがとうございます」と。
小林:(笑)
森辺:「さあ、いよいよ、われわれ、進出させていただきます。どうですか、われわれしかつくれないこの商品。消費者の皆さん、欲しいでしょう?」と言ったら、「うわーっ」とみんな来るじゃない?
小林:はいはい。
森辺:だけど、そんな食品ある?
小林:(笑)うん…、なかなかないです。
森辺:ないんだよね。絶対。なかなかないと言うか、絶対ないのよ。そうすると、食品メーカーなんて、もう今、じり貧ですよ。少子高齢化で、今の最新のデータ見てください。今、今年生まれた、令和2年に生まれた人が80年後に80歳になっていますと。そのときの日本の人口、何人か知ってます?
小林:5,000~6,000万人ぐらいですか?
森辺:惜しいね。なかなかやるね、小林さん。
小林:本当ですか?(笑)
森辺:小林さん、知的だね!
小林:(笑)
森辺:今日の小林真彩は。
小林:ありがとうございます。(笑)
森辺:3,780万人ぐらいっていう最新のデータが出ていてね。
小林:えーっ!
森辺:どんどん、どんどん、少子高齢化になっていくわけじゃないですか。
小林:はい。
森辺:そしたら、高齢者の胃袋にそんなにたくさんの食品入らないですよ。うちの両親だって、今、71か72ですけど、健康に気を使い始めて3食必要ないとかっていう、わけの分からないロジックで昼飯を抜いたりしているしね。
小林:へえー!
森辺:それはうちの家だけかもしれないけど。
小林:(笑)
森辺:基本的にいっぱい食べるのって、小中学…、中高生でしょう?
小林:そうですね。
森辺:若い人たちでしょう?
小林:はい。
森辺:僕なんてもうカルビ食べられないし、油っこすぎてね。
小林:私もです。(笑)
森辺:本当?
小林:はい。
森辺:カルビより牛タンみたいな感じだし。
小林:うんうん。
森辺:そうすると、やっぱり、食品というのは、今、ケツに火ついているわけですよ。日本人しか好まないような食品つくっていたんじゃ、もうこれ完全に負けますよ。だって、そんなの、訪日観光で日本食ブームだと言ったって、そりゃ、日本に来るから欲しいだけで、それ、自分たちの生活にそれを取り込めるかと言うと、なかなかそんな日本食ないよ。
小林:そうですね。
森辺:うん。だって、僕たちが一番こう、何だろう、世界食になっているハンバーガーとかピザとかスパゲッティーとかでも、毎日食ったらいやでしょう?
小林:いやですね。(笑)
森辺:うん。ピザ、ハンバーガー、スパゲッティーでもそういうレベルなわけだよね。それも、アメリカ人の好むピザ、ヨーロッパ人の好むピザ、ヨーロッパもいろいろいるわけだから、イタリア、スペイン、何とかって、アジア、ASEAN、ベトナム人が好むピザ。中国なんて、20年前の中国のピザすごかったからね。僕、デリバリーが深センで20年前に初めてできて、もううれしくて、電話してピザのデリバリーってワクワク、ワクワクしながらピザを待って、食べたら、見た目はピザっぽかったんだけど、中華味でしたからね、ピザが。
小林:えーっ!(笑)
森辺:もうショックで。香港まで行かないと、おいしいピザが食べれなくて。
小林:へえー!
森辺:そしたら、シェイキーズだっけ、ピザ屋さん?
小林:あります。
森辺:深センにできてね。それでそこに行ってピザを食べて、本当に当時貧乏で日本食食えなかったから、日本食の次に安いの、シェイキーズのピザでね。でも、毎日中華を食べていると死にそうになるのね。韓国料理かピザかって、何の話してんだって話なんだけど。(笑)
小林:当時のエピソード。(笑)
森辺:ごめん、ごめん。話ずれた。だから、じり貧でね。そうすると、食品なんて、もう胃袋の数なんですよ。胃袋の数。人は3食以上は食べないですよ。これから健康ブームだし、むしろ、2.5食とか2食に減っていく傾向があって、3食が、じゃあ、3.5食、4食になるかって言ったら、絶対ならないわけでしょう?
小林:はい。
森辺:そうすると、胃袋の数×3なんですよ。方程式はね。胃袋の株×2.5かもしれないし。そこを狙っていこうと思うと、やっぱり日本人とかの枠にとらわれていたら、100年後存在していないですよ、そんな企業ね。
小林:そうですね。
森辺:だとするのであれば、「伝統小売が近代化するまで待っていたらどうですか?」って、この質問者が定年するまではそれでもいいかもしれないけど、あなたは定年しても、あなたの会社は未来永劫続くんですということを考えれば、今年就職した人、来年就職する人のことを考えたら、こんな質問はしてちゃ駄目!って、めちゃめちゃきついことを言っているけど、でも、それぐらいの話だと思うの。
小林:なるほど。
森辺:でね、仮に今、ASEAN、伝統小売の攻略に苦労したって、メコン経済圏が残っているし、インドだってまだまだ残っているし、その後、アフリカですよ。あと200年は世界から伝統小売は消えませんから。そう考えたら、今やる投資って全然価値あるわけですよね。インターネットの流通が介在してきたとしたって、新たなかたちの伝統小売って絶対残るんですよ。だから、そんな今みたいな伝統小売じゃなくてね。これ、200年は言い過ぎだな…。
小林:(笑)
森辺:100年だな。
小林:100年?
森辺:うーん。ごめん。100年も言い過ぎかな。80年ぐらい。
小林:うーん。80年?
森辺:うん。30年でなくなることは、僕は絶対ないと思う。
小林:はい。
森辺:もちろん、伝統小売はキャッシュレスになるし、いろんなものがリモートになるし、そういうことはあったとしても、やっぱり、物理的な距離感って消えないんですよ。ワープとか、そういうものが発明されない限り。
小林:なるほど。
森辺:そうすると、ものの移動が瞬間移動みたいなものよ、要は。
小林:うんうん。
森辺:要は、今って、メールや画像やデータは瞬間移動するわけじゃん。Eメールや何やら携帯を使って、モバイル使ってね。お金の移動が唯一、●送れた?遅れた?●(08:17)わけでしょう?お金というものって、物理的にキャッシュレス化って、今ようやく日本きているわけじゃない?
小林:はい。
森辺:今までって、お金の移動には、物理的に飛行機に乗って移動させたほうがお金の移動は速かったみたいな世界なわけじゃん。インターネットで情報がこれだけ瞬時に移動するのに。例えば、ここからアフリカにお金を送りたいと言ったら、その海外送金、SWIFTのデータでものすごい時間がかかっているわけじゃない?何日かかかるわけじゃない?
小林:はいはい。
森辺:それが今、ようやくお金の流れが来ていて。今度、ものなんだけど、お金とか情報とかって。
小林:データとか。
森辺:データとかって、テクノロジーで瞬時に移動ができたじゃない?
小林:そうですね。
森辺:これって原始時代から考えたら魔法のようなことなんだけど。
小林:(笑)
森辺:でも、残念ながら、ものを瞬間的に移動させるって無理でしょう?
小林:そうですね。
森辺:今、ここにある、この僕のタリーズのコーヒーを、アフリカジンバブエの何とかさんの机の上にパッと移動させるのは無理じゃない?
小林:無理ですね。
森辺:誰かがこれを飛行機に乗って持っていってもらって、飛んでいってってやらないといけない。それが解決されない限り、伝統小売なんて絶対消えないですよ。
小林:なるほど。
森辺:ただ、今みたいな姿はしていないというだけで。そうすると、そんなことを考えると、伝統小売が近代化するまで待っているというのはあり得ないと、僕は思っていて。伝統小売が近代化したから、さあ、来ましたよと言っても、もう遅いの、マーケットは決まっちゃっているから。なので、ちょっときついことを言って申し訳ないですけど、そうだと思うんですよね。
小林:なるほど。今後の未来を考えるのであれば、全然今から投資しても、したほうがいいということですね。
森辺:もう、短期で考えちゃ駄目!100年200年のスパンで考えるということと、短期で考えるということを織り交ぜないと、特に食品なんて、絶対無理だと思いますよ。
小林:そうですね。
森辺:創業150年で終わるんですと言うんだったらいいんだけども、終わらないんでしょう?ということを考えると、伝統小売が云々とか、苦労してとかっていう次元なんてどうでもいい次元だと、僕は思うんですよ。だから、どんどん行ってください!ただ、企業規模にもよるので、いきなり行って死んだら、逆に死期を早めることにもなるので、その戦略は重要で。ちょっと、どういう規模で、どういう戦略でというのは重要ですけど。ただ、待っていても駄目!…という感じで。
小林:かしこまりました。ありがとうございます。
森辺:今日は何か強気だね、僕ね。
小林:いやー、何かすごい!
森辺:申し訳ないな…。
小林:(笑)
森辺:すみません。今日、強気で。僕、本当はこんなんじゃないです。
小林:(笑)
森辺:ありがとうございます。
小林:本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。