小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastですが、リスナーの皆さまからいただいたご質問に対して、お答えしていただきたいと思います。
森辺:はい。お願いします。
小林:よろしくお願いいたします。本日のご質問でございます。こちら、消費材メーカーさまからのご質問でございます。「ディストリビューターとの上手な付き合い方とは?売上を拡大するために、ディストリビューターにいろいろと施策の提案をしていますが、なかなかそれをやろうという流れになりません。基本、任せて口を出すなというのがディストリビューターのスタンスです。しかし、それでは、なかなか現状から大きく売上を拡大させることができないと考えております。どうすれば、ディストリビューターは動いてくれるのでしょうか?」というご質問でございます。
森辺:なるほどね。これもよくある話なんですけどね。質問を、製造業、B2B、C…、質問は、B2Bですか、B2C…?製造業か、しか書いてない。でも、メール、あー、そうか。匿名で…。(笑)
小林:(笑)
森辺:はい。製造業ね。製造業ということですね。
小林:製造業。
森辺:はい。製造業。
小林:ディストリビューターとの上手な付き合い方。
森辺:うん。これもね、何て言ったらいいのかな、分かりやすくお話すると、今まで、例えば、そうなんだけど、妻との関係でさ。
小林:はい。(笑)
森辺:今まで男女平等でってやってきたのに、いきなり亭主関白ってなったら、どうですかね?
小林:急には困りますね。
森辺:相当な抵抗を受けるでしょう?
小林:うん…。
森辺:だって、今まで男女平等でやってきているのに、今ふうな感じ、平成ふうで、令和ふうでやっているのに、いきなり昭和ふうに切り替えたらさ、そんなの言うこと聞くわけないじゃない?
小林:そうですね。
森辺:それと同じことなんですよ。これは、結局、今まで、ディストリビューターに売ることの大半を任せてきたわけですよね。ある意味ね。自分たちはつくる人、売るのはディストリビューターと。ちょっと、いつからこのディストリビューターを使っているのか分からないですけど、相当長いこと、たぶん任せてきていて、今の売上は彼らがつくってきたという自負も、たぶんあるんでしょうね。突然、グローバル…、当時、日本はね、アジア新興国にそんなに力を入れてなかったから、そんな調子でやっていってたんだけど、ここ最近、「グローバルやるぞ!」と号令がかかって、「いや、こんな成長スピードじゃ駄目だ。もっと成長を上げろ!」と言って、上からプレッシャーがかかるから、現場がディストリビューターにさらにプレッシャーをかけると。そうは言ったって、「おまえら、分かっていないくせに、突然出てきて何だ!おれらが今までここまでにしてやったんじゃないか!!」という、まあ、よくありがちな話で。だからこそ、もう、ディストリビューターを選定するところから決まっているんですよね。要は、そこから力関係のやり取りが始まっていて。そこから、何だろうな、ディストリビューターとの付き合い方ってパワーバランスなのでね。人間って力関係でしょう、常に。
小林:うんうんうん。
森辺:嫌だけどさ、そんな関係って。だから、家族や友達といるとホッとするんだろうけども、常にビジネスなんて力関係じゃない?
小林:そうですね。うんうん。
森辺:そうすると、その手綱を緩めてきちゃったものを、いきなり引き締めると言ったって、そりゃあ、言うこと聞かないよね。さらに、日本企業のほうが、あまりよく現地のことを分かっていなくて、何かわけのわからないことを言っているんだとすると、さらにそれは、そうなってしまうわけなので、それは、時間をかけてほぐしていくしかないというのはあって。
小林:はい。
森辺:これは、この会社だけじゃなくて、いろんな産業セクターで、こういう状況って起きていて。なんでかと言うと、日本の大手の製造業は、もうアジア新興国、中国、ASEANを含めて、ディストリビューターなんて、とうの昔にいるんですよ。20年30年ぐらい前からいるんですよ。その当時、ほぼ、ほとんどが向こうから「取り扱いさせてくれ」と連絡があって、「まあまあ、お宅しっかりしてそうだから、じゃあ、やってみるか」と。日本企業側も、中国やASEANのことを別に大してマーケットと思っていなかったから、まあまあちゃんとしてそうだったら、キャッシュオンデリバリーね、「前金で先にお金を振り込むんだったら商品出荷してやるよ」と。「その代わり、こういうこと守れよ。こういうことするなよ。ああいうことするなよ」というのは、契約を結んでやらせていたと。それが、じわじわ20年でそこそこのところまできましたねと。ここに来て、もっとグローバル化をしようとなったときに、「今までの成長スピードじゃ駄目よ」と。「今までの5倍やって」「10倍やって」みたいな話になっていて。けど、ディストリビューターにしてみたら、「今まで何のお構いもしてくれなくて、おれらがあれが必要だ、これが必要だと言っているのに、今、そんな中国にお金かけられないとか、ASEANにお金かけられない、インドにお金かけられないと言っていたものを、何を急に言っているんだ!?」ということなわけですよ、背景はね。
小林:はい。
森辺:じゃあ、それをどう変えていくかという話なんだけど、これね、もうギブアンドテイクで、なぜ彼らがその施策をしたがらないかと言ったら、多くの要因というのは、マーケットシェアが上がって、売上が上がれば、当然、ディストリビューターの収益だって増えるじゃない? だったら、売上が上がることをやろうよと思うでしょう?あまりにもわけ分からない施策をメーカー側が言っているんだったらね、そうじゃないと。でも、そうじゃないんだとしたら、別の施策を出してきてくれてもいいのに、なんでその場から動こうとしないのかと。今のいわゆる微増をずっと続けたいのかというと、投資対効果なんですよね。
小林:ふーん。
森辺:要は、もっとマーケットシェアを増やそうと思うと、ある程度、ディストリビューターも投資をしないといけないわけですよ。人を雇って、今まで、じゃあ、分からないけど、100件行っていたところを、倍やるんだったら200件行かなきゃいけない、単純にね。3倍やるんだったら300件行かなきゃいけないとかって。そうすると、労力もかかるし、人・もの・金、お金がかかるわけじゃない?そうすると、一定期間、マーケットシェアが上がる何年後まで、利益率が下がるわけですよ。投資するからね。それを嫌っていて。だって、そりゃそうよね、今の状況が一番利益率がいいんだもん。仮に、これ、マーケットシェアを増やしちゃったら、われわれは今まで以上にやらないといけないから、コストがかかるから、利益率は逆に悪くなる。売上が上がっても利益額が低くなる、利益率が悪くなるんだったら、彼らはやらないですよね。
小林:そうですね。
森辺:別に上場しているわけじゃないし、売上に追われているわけでもないので、彼らにとって最も重要なのは利益額なので。そうすると、やっぱり、何か施策をやって売上を上げようというメーカーの都合だけを押し付けるのではなくて、その彼らが嫌がっている真実の部分を紐解いてあげて、そこに対してメーカーが何をできるかだよね。例えば、じゃあ、そこに投資をしてくれるんだったら、われわれもマーケットに対するプロモーション予算をこれぐらい取ってプロモーション投下するとか。日本のメーカーがひたすら言うのは、「こういうことをやってみて、ストアカバレッジを上げたい。」「もっと売りたい。だから、もっとこういうことをやってくれ」みたいなことを一方的に、want、want、wantをずーっと言って、no giveなんでね、take,take、takeだよね、だからね、向こうから労力をtake、takeして、giveをしないから、それは動かないだけの話であって。そこはやっぱり、そういうふうに考えないと、メーカー側が何もコストをかけないで、一方的にディストリビューに新たな施策をやれと言って、それはなかなか難しいから、そこだよね。徐々に、徐々に、今までのパワーバランスから、メーカー主導のパワーバランスに切り替えていかないといけないというのは本来なんだけども、でも、そこのノウハウがないから、コンサル使ってどうのこうのって、前、質問があったけどね。
小林:そうですね。
森辺:この番組でもね、コンサルを一定期間使ったほうがいいよって、あの…、なんか、また自分の宣伝しているみたいで嫌だな。最近、宣伝すごいね。
小林:(笑)
森辺:というのもそうだし。あとね、日本のメーカーは、もうしょうがないんだけど、担当替えがあるでしょう?
小林:うーん。そうですね。
森辺:人事異動が。改革半ばで担当が替わるわけですよ。じゃあ、これでやっとね、1年かけて、2年かけて、ディストリビューのオーナーのやる気を出させて、さあ、改革始めたって、3年目になったら、はい、人事異動みたいな。新しい新人、また来ました、みたいなね。
小林:(笑)
森辺:そこから、また一応、引継ぎはしたけども…、みたいな。あれだけ、改革に躍起になっていた担当者も、いざ、人事異動で自分の担当じゃなくなったら、ケロッと忘れて、新しい仕事で新しい未来を描いちゃうわけでしょう?
小林:(笑)
森辺:でも、それがサラリーマンだからね。
小林:うーん。
森辺:そうすると、当然、オーナーからしたら、「何だ?」となるわけですよ。だって、オーナー企業は動かないわけだから。それを、2回3回繰り返されたら、そんなもん、日本のメーカーが何を言ったって、おまえら、また、新人送り込んでくるだけだから、「分かった、分かった。やります、やります。やりましょうね」と、適当なことを言ってあしらうというね、こういうディストリビューターもいるわけですよ。だって、今までさんざんね、改革は前の人がやろうとしてやったんだけども、改革半ばで新人を送り込まれてくるわけで、人事異動と言って。そんな状態で何の改革もできないわけじゃない?
小林:うーん。
森辺:だからこそ、ずっと担当が替わらない、われわれみたいなコンサル会社を使うというのは、便利なんですよ!
小林:(笑)
森辺:また宣伝しているよ!(笑)
小林:(笑)まあ、そうですよね。
森辺:「宣伝しろ」って、東が言うんだもん…。
小林:あ…。(笑)そうです。
森辺:「森辺さん、この番組、競合しか聞いていませんよ!」と言ってね。(笑)
小林:えーっ!?
森辺:今、3万人のね。
小林:そうですね。
森辺:ユニークビジターが3万人で、先月だったか、12月、…ん、1月?9万ダウンロードだったかな。ユニークベースでね。
小林:うんうん。
森辺:すみません。そうなんです、ユーザーさん。それで、たくさんの人が聞いてくださっていて、うちの東が、「競合しか聞いていないから、宣伝しろ!」と言うので、すみません、最近、宣伝が多くて。
小林:(笑)はい。
森辺:別にそういう意味じゃないので、よろしくお願いします。
小林:はい。
森辺:という感じです。だから…。
小林:メーカーとディストリビューターとの関係、上手な付き合い方ということですね。
森辺:なので、時間をかけてほぐしていくしかないし、ほぐして改革が始まったときには、またあなたが担当を替わるんだよということも考えていくと、結構これは根深い問題で、なかなか一筋縄ではいかないし、慣れている華僑の大きなディストリビューターとか、そういう日本の大企業の事情を分かっているから、もう適当にあしらっていますよ、笑顔で。だから…、で、自分たちはちゃんと付き合えているなんて思っていたりするケースも結構多いので。まあまあ、ここに対しては、今、この番組で申し上げた通り、時間をかけてちょっと崩していくということと、take、takeだけじゃなくて、giveをすると。ただ、仮にgiveをして改革をやったとしても、道半ばで担当替えになったりすることもあるわけなので、そういうことも含めると、なかなかやりにくいところもあると思います。
小林:難しい、うーん。分かりました。
森辺:はい。
小林:ありがとうございます。
森辺:はい。ありがとうございます。
小林:本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。