小林:皆さん、こんにちは。ナビゲーターの小林真彩です。
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。
小林:森辺さん、本日のPodcastですが、リスナーの皆さまからいただいた質問に対して、回答していただきたいと思います。
森辺:はい。
小林:よろしくお願いいたします。
森辺:よろしくお願いします。
小林:はい。では、早速質問でございます。こちら、菓子メーカーさまからのご質問でございます。「近代小売への効率的な導入方法」ということで、「新規に参入する場合の近代小売への効率的な導入方法を教えてください。一気にやるべきなのか、それとも少しずつやるべきなのか、悩んでいます」とのご質問でございます。
森辺:結論から申し上げますと、予算があるなら一気に、予算がないなら少しずつということになるんだと思うんですね。
小林:なるほど。
森辺:なぜならば、近代小売は、もうご承知の通り、アジア新興国では棚代を取ります。
小林:はい。
森辺:つまりは、1SKUあたり数千円ぐらい、だいたい1店舗、の棚代を取るので、3~5SKU置くとすると、棚にね、×店舗数なので、何千店舗、何万店舗ってかかるとと、それなりの、いわゆる棚代、レジストレーションフィー、リスティングフィーみたいなものがかかる。また、実績のない商品というのは、やっぱりコーナーエンドとか取れないし、いい棚取れないし、SKUもなかなかあれだし、リスティングフィーも高いし。売れなかったら、半年待たずして棚落ちするんですよね。特に、ASEANの小売は不動産屋化しているから、自分たちの敷地に建屋をつくって、そこに棚を並べて、その棚をスペースいくらで売るかみたいな。
小林:うーん。
森辺:なおかつ、商品が売れたらマージンも取るみたいな、そういう商売なわけですよね。そうすると、売れないものを1日も置いておく余裕はなくて、どんどん、どんどん、棚落ちしちゃうわけですよね。そうすると、「新規で参入する」と、この方書いているじゃないですか。ん?菓子メーカー、食品メーカー?
小林:菓子…。
森辺:菓子メーカー?
小林:菓子メーカーさん。
森辺:お菓子のメーカーで、日本で有名だったとしても、多少インバウンドで知られていたとしても、現地の中間層の人たちが、じゃあ、それを知っているかと言うと、そうじゃないし、食べたこともない、見たこともない。「それ、美味しいかな?」と言って、なかなか手に取る人って少ないわけですよね。1ドルの価値が大きいからね、新興国に行けば行くほど。昔ほど大きくはないけど、それでも、まだ大きい。
小林:うんうん。
森辺:そうなってくると、全部の棚をやるということは、プロモーション含めて、やれるんですかと。BTL、ATLを含めて、同時にドーンといけるんですかということも含めると、僕は、徐々にやっていったほうがいいんじゃないかなというふうに思います。効率的な方法としては、業態をまず分ける。コンビニ、スーパー、ドラッグとかって大きく分けられるじゃない?
小林:はい。
森辺:その中で、自分たちの商品が最も適しているのはどこなのか?ということを、まず特定をして、それって日本で分かっているわけだから、日本でコンビニだったら海外でもコンビニですよ。コンビニって照準をすると、まずドラッグストアとか、ドラッグでも、ほら今、お菓子売っているから、そういう意味で、今、ドラッグと言っているんだけど。ドラッグとかスーパーは1回置いておく。
小林:うーん、はい。
森辺:コンビニに照準を合わせて、じゃあ、コンビニも3つぐらいありますと。セブンイレブンとファミリーマートと、何かローカル系とありますとなったときに、自分たちがどこを狙うかというのをまず決める。3社一気にじゃなくて、どこをやるか。じゃあ、セブンだと。そしたら、セブンとまず徹底的に話すということはすごい重要で。日本でどういうポテンシャルがある商品で、この国でもこれぐらいのポテンシャルがあるということは調査の過程で分かっていて、私たちは、こういうところに、こういう棚を取ってもらって、こういう売り方をして、メーカーとしてはこういうプロモーションをするから、半年1年ぐらい独占を与えたっていいと思うのね。できる限り、リスティングフィーを抑えて投入してもらって。そのセブンイレブンでしっかりとセルアウトしていけば、ファミマは気になるわけですよ。セブンで新商品が出たって。売れているみたいだぞと。ローカル系のコンビニも気になるわけですよ。やりたいなと。興味を持ったら、今度は小売との交渉が楽になるわけじゃないですか。リスティングフィー、いや、そんなにはちょっとって。セブンさんでもそんなに取られていないのでと。そしたら、そういう小売との交渉力が安く済むわけだよね。そうすると、導入コストが下がる、そこで。だって、売れているものは取り扱いたいじゃん。だって、もう売れるのは分かっているんだもん。自分のところに置いたって売れると。セブンで売れているんだから、自分のところに置いても売れると。やりたいと。コンビニで、バンバン、バンバン、売れましたと。そしたら、今度スーパーが、コンビニのパッケージはちっちゃいパッケージであれだけど、スーパー用のパッケージにして、スーパーでも売りたいとなってくる。そしたら、もうコンビニでバンバン売れているわけだから、今度、こっちは殿様よ。
小林:(笑)
森辺:「スーパーさん、やりたの?」と。「やってもいいよ」と。
小林:はい。
森辺:「じゃ、どういう棚を用意してくれるの?どれぐらいやってくれるの?」って、そんな言い方はしないけどもね。
小林:はい。
森辺:けど、分かりやすく言うと、そういう話。コンビニとスーパーで売れたら、もうドラッグストアとの交渉なんて、「えっ、やりたいの?やらせてやってもいいけどね」って話になるわけ。分かりやすく言うとね。
小林:いい循環になっていく。うんうん。
森辺:循環になっていくという。なので、そうやってやっていくと、導入コストは非常に抑えられる、というのが1つですよね。
小林:なるほど。
森辺:なので、一気にやるというのもそうなんだけども、ステップを踏んでいく。ただ、それが、棚落ちするというね。セルインはするんですよ。お金をかけたらセルインするからね。そのお金のかけ方が、例えば、われわれみたいなところを使うと、例えば、1SKU6,000円かかったものが3,000円で済むとかね、そういうのはあるわけ。だって、いろんなお客さんの商品を入れていたら、SPYDERが言うんだったら、「分かった、安くする」とかっていうのはあるわけだから、安くできるというのはあったとしても。それは、基本的にはお金を払ったら入るわけ、棚にね。棚に入るのはお金で入りますと。ただ、入ったものがどうセルアウトするかは、もうお客さんの商品と価格帯とプロモーション次第だと。それに対してサジェスチョンをしたり、ということは当然やっていくわけなんだけど、そこの3つが重要になってくるから、セルアウトしなかったら棚落ちしちゃうよね。
小林:うん…。なるほど。
森辺:ということがあると。あと、もう1つ、「近代小売での効率的な導入方法」と書いてあるんだけど、伝統小売のことは言っていないんだけど、実はね、近代小売だけの国でやるんだったらいいんだけども、もし伝統小売がある国で、でも、近代小売だけでやりたいと思っているんだとすると、国によっては、伝統小売での配荷率が高いから、近代小売でのリスティングフィーが安いとかというのは全然あるので。例えば、想像してほしいんだけど、コカ・コーラをスーパーさんが置くのに、お金取っていると思いますか?コカ・コーラがないスーパーってどうよ?
小林:(笑)
森辺:いけてなさ過ぎだよね!
小林:(笑)
森辺:コカ・コーラを売っていないコンビニってね。そんなコカ・コーラにリスティングフィー取る?
小林:…。
森辺:スプライト置いてないとかね。P&Gの商品置いていないとか、ユニリーバの商品置いていない、エスカフェ置いていないスーパーってどう?いけてなさ過ぎでしょう?
小林:(笑)
森辺:ということはだよ、なぜそうかと言うと、今言ったブランドは、伝統小売含めて、もう網羅的にマーケットを獲っているから、「ぜひうちでも売ってください」って話になるわけだよね。
小林:うんうん。
森辺:だから、強いわけだよ。小売との交渉力も強い。
小林:うんうん。
森辺:日本のメーカーほどまともに払っていないからね、彼らはリスティングフィーをね。
小林:うーん。そうなんですね。
森辺:そりゃそうでしょう。「売らせてやっている」だよ。それこそね、彼らこそね。
小林:いやー…。
森辺:だから、うん、そう考えると、伝統小売も重要なんですよということを言いたくて、引き合いに出したんだけどね。ということで。
小林:かしこまりました。ありがとうございます。本日のPodcastはここまでにいたします。リスナーの皆さま、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。