東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回までミャンマーの話をしましたけど、最後のほう、ベトナムの結構調子がいいというのは、知っている方もまだまだ知らない方もいらっしゃると思うんですけど、その辺をもう少し詳しく教えていただければと思うんですが。
森辺:1人あたりのGDPがすごく上がったというお話を確か前回したのかな?
東:はい。
森辺:ベトナムって、ほら、ジャイカと何とか建設、日本の建設会社が地下鉄をつくったり、今いろいろやっているじゃない?
東:はい。
森辺:発展途上国って、ODAをもらいたいから、そんなにGDPをよく見せたくないというのが、1つあって。ベトナムって独特の計算方法で1人あたりのGDPを今まで出していたというのがあって。でも、ほかのASEANと同じ計算方式にそろそろ変えなきゃということで変えてやってみたら、全国平均で3,500ドルを超えていたという。
東:ふーん!
森辺:4,000ドルぐらいあったというのが分かって。
東:結構すごいですね、そしたら。
森辺:消費市場って3,500ドル、1人あたり3,500ドルぐらいのGDPになってくると、消費市場として成立すると言われているんだよね。なので、外資が出ていってやっても十分戦えるという、そういう市場だというふうに言われていて。そんな市場ですよと。全国平均、どこを見ても、必ずしも南のホーチミンだけじゃなくて、また、北のハノイだけじゃなくて、中部のダナンだけじゃなくて、それ以外のエリアで見ても十分これからマーケットとして通用する。
東:成立する。
森辺:うん。成立するとこですよ、みたいなね。
東:うーん!
森辺:インドネシアとかも、ほら、平均もう4,000ドルぐらいあってさ。
東:そうですね。
森辺:ジャカルタだけ見ると、1万ドル超えているみたいなね。
東:はいはい。
森辺:フィリピンもそうでしょう?
東:はい。
森辺:なので、そう、そんな市場だと思うんだけど。ベトナムはここに来て結構追い上げてきているよね。
東:ふーん。そうすると、ベトナムもやっぱり…、ベトナムを先にやりつつも、ミャンマーに手をつけるというやり方なんですかね?
森辺:そうね。ベトナムがちょっと乗ってきたなと思ったら、ミャンマーに手をつけるというほうが、難易度的にはベトナムの3倍は難しいからね。
東:はいはい。
森辺:特に消費財のメーカーさんはベトナムでもまだ苦労しているでしょう?
東:うんうん。
森辺:僕、6~7年前からずっと同じことを言っているもんね。全部やらせてくれたらいいのにね…。
東:(笑)
森辺:どこかの会社のあれになっちゃったけど。そうそう、6~7年ぐらい前から同じ感じだから。まあまあ、いいんだけど、ベトナムやらないと、ミャンマーはたぶん手を出しても難しいと思う。ベトナムできない会社にミャンマーはできないですよ。
東:うーん。それは、どの辺に難しさがあるんですか?
森辺:やっぱり、B2Bで言ったら、まず絶対的に客数が少ないでしょう?
東:はいはい。
森辺:進出している企業が少ないから、正直ベトナムで難しいと、さらに客数のロジックで難しいよと。じゃあ、先駆者メリットを取って行ったとしても、結局まだまだ、彼らも出ていったとしても規模も小さく出ていたり、規模が小さく出ているということは買えるものも予算が少なかったりするわけだから。
東:そうですね。はいはい。
森辺:いわゆる辛抱する時間が長いよ、ベトナム以上に、ということで、B2Bはまず難しいでしょう?
東:はいはい。
森辺:B2Cは、正直、ベトナムの伝統小売の市場を獲れていないのに、MTだけで戦うことになるわけじゃないですか、ベトナムでMTでしか戦えていなかったら、ミャンマーに行ったってMTでしか戦えないですよね。日系の消費財メーカーね。そうすると、MTの数がベトナム以下なのに、イオンもまだ出ていないのに難しいでしょうと。
東:うんうん。
森辺:でもね、イオンは、実は卸業ライセンス取っているんだよね。
東:じゃあ、もうそろそろ、みたいな?
森辺:うん。卸業のライセンスがないと売れないんだよね。
東:そうですよね。
森辺:ユニ・チャームと大塚製薬とアサヒビールと豊通とNTTコムとスズキ、バイクの、バイクなんだけど、あと、イオンは卸売のライセンスを取得しているんだよね。
東:はいはい。
森辺:だから、今後もっともっと増えていくと思うんだけどね。
東:うーん。
森辺:ようやく外資でもそういうあれがあって。取らないと小売できないからね。
東:そうですよね。
森辺:うん。そうそう。イオンはあるんだ!イオンはあるの、ミャンマー。
東:はいはい。
森辺:ごめんなさい。そう。ちっちゃいスーパーとかイオン何とかと言って買収して、イオン出ているんですよ。ベトナムも調子いいでしょう、今?
東:ベトナムみたいな大きな感じではない?
森辺:うん。ちっちゃいやつが出ていたと思う、確か。
東:はいはい。
森辺:大きいのも出ている…、いや、大きいのはまだないと思うな。ちっちゃいのが出てた。
東:はい。
森辺:そう。これから出すんでしょう。テストしているんだと思いますよ。
東:そうですね。
森辺:実験店なんじゃないですかね。ベトナムで大成功していますもんね、イオンさんね。
東:そうですね。
森辺:今、6店舗ぐらいあるのかな。
東:そうですね。
森辺:ホーチミンのイオンの4階だっけ、何階かな。うどん、はなまるうどんのかま玉うどん。
東:はい。
森辺:日本じゃ食わないでしょう?
東:そうですね。
森辺:あれをベトナムで食うのが、僕、本当好きでね。全然関係ない話をすみません。
東:(笑)分かりました。じゃあ、ミャンマーの件について、少しまとめて今回終わりたいと思うんですけど、行ってみた感想と今後どうなっていきそうなのかというのを、森辺さんなりの見解をいただいて終わりたいと思います。
森辺:はい。ミャンマーは、まとめると、ベトナムのやっぱりまだ3割、もしくは3割5分市場です。なので、ベトナムでそれなりにできていない会社がミャンマーに手を出すというのは結構難しいんじゃないかなというふうに思います。多くの企業は今、タイから、タイの駐在員が出張ベースで見ていたりとか、ベトナムから出張ベースでやったりとかというふうにしているので、タイ、ベトナムに出ているような企業が次の戦略的市場としてやるという、そういう市場じゃないかなと。
東:なるほど。
森辺:これから有望だと思います。もちろん、先駆者メリットというのは当然あるんだけども、これ、騙されちゃいけなくて、先駆者メリットって、早く行くというだけじゃないんだよね。早く行くということは、辛抱する時間が長いから、投資期間が長くなるから、それだけの投資の覚悟があって行くというのが先駆者メリットの本当の意味で。ただ、早く行けば先駆者メリットを得られるなんていうのは、これは真っ赤なうそなので。そういう意味でしっかり長く投資をしていく覚悟があるんだったら、早く出ていけばいいけども、その分、出血量が多くなるわけなので、耐えられない会社は駄目だと思うので、それを加味していく市場なんじゃないかなというふうに思いますけど。でも、これから有望なんじゃないですかね。大手なんかはもう問答無用でどんどんやっておかないといけないし、ベトナム、タイ、やっていなかったら、即やらないといけないと思います。
東:分かりました。ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。