東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、何となくたぶん分かってくれた人は分かってくれたのかなと思うんですけども、じゃあ、実際その設計図が描けたとして、今度はたぶん実行のチャネルを構築するという段階に実際に入ってくると思うんですけども、そういった場合ってどういうことを、何をやるかとか、ちょっと森辺さんから教えていただきたいんですが。
森辺:まず、設計図ができたので、どういう設計をしていけばいいかということは分かってきますよね、どういうストラクチャーでチャネルをつくっていこうかと、どういうディストリビューターが必要かということも見えてくると。敵がこういうレベル感なので、われわれはここまでをまず目指そうということは分かってくるので、それに応じてディストリビューターの発掘選定みたいなことをやるんですよね。いわゆるロングリスト、ショートリストづくりみたいな。そこで絞り込んでいって、ディストリビューターとの契約をして、契約と同時に初回の注文をもらって、その初回注文をもらったところのKPIの監理をして乖離が絶対出てくるのでそれに対する対策パッチを打ったりしながらキーマンを育成していくと、注文が継続して続いてくるので、それをずっと継続化させていくためのフォローをしながら売上を上げていくということを、簡単に言うとバーッとやっていくんですよね。クライアントさんによっては、そこは現地法人があれば現地法人の仕事だという話になるんだけども、今まで自前で、我流でやってきたというのがあるのでね、それを一旦われわれ流でやらせてもらって、途中で委嘱をしていったり、場合によってはエリアを分けて分担をしていくというケースもあるし。あと、逆にわれわれに任せておいたほうが費用対効果がいいので、そのまま任し続けるという、それがほとんど、大半なんですけども。それで逆に言うと、もう少しレベルの高い仕事をメーカーとして現地法人がやっていくみたいなことが結構多いかなというふうに思いますけどもね。われわれは、それを「オープンチャネルイノベーションサービス」というふうに呼んでいるんですけどね。
東:それはあまり聞き慣れない言葉だと思うんですけど、どういう概念というか、考え方というか、それを教えていただければと思うんですが。
森辺:オープンイノベーションという言葉があるじゃないですか。言ったら自前の頭だけで考えるんじゃなくて、いろんな人を巻き込んでオープンにイノベーションを起こしていきましょうみたいなね。
東:はい。
森辺:特に製造業の製造の面で取り込まれる考え方なんだけども、それを今度は販売の面でね、チャネルの面で取り組む考え方をオープンチャネルイノベーションというふうにわれわれは勝手に呼んでいて、OCIサービスというのを展開しているんだけども。結局、メーカーが現地でやることって決まっていて、海外、グローバル戦略をやるとき、大きく分けてね。ものを、いわゆる生産するということと、あと、ものを販売するということと、あと、チャネルだよね、あと、売り場に出たものをどうやってストアカバレッジを上げていくって、ごめんなさい、ストアカバレッジじゃなくて、インストアマーケットシェアを上げていくって、要はどうやってプロモーションしてより拡大させるかみたいな、大きく分けたら、つくって、チャネルに置いて、置いたものをセルアウトさせるという、この3つの業務が大きく分けてあるんですね。その中でオープンにできるものって、僕はチャネルだと思っていてね。どのメーカーもつくっているものが同じだったら困るじゃないですか。
東:はいはい。
森辺:だから、最初のつくるというところは、生産とかというところというのは、いわゆるメーカーの独自性が非常に重要視されるので、誰かと一緒にやるというのは、何か新しいものをつくるためにオープンイノベーションの考え方をやるというのはいいけども、例えば、A社とB社とC社が一緒にやるとかって難しいわけじゃないですか。
東:そうですね。
森辺:なので、基本的にはつくることは自前でやってくださいねと。じゃあ、売り場に置くというのは、A社もB社もC社も置きたい売り場は一緒でしょう?近代小売の一番いいところと伝統小売にできるだけたくさん置きたいというのが、言ったら、どのメーカーも考えていることで。例えば、FMCGだったら全部一緒じゃない?置きたい場所なんて。そうすると、ここにどうやって置くかみたいなところって、共有化をするという、他社という共有するということも考え方としては受け入れられるし、もしくは外部の力をより活用していくということも全然考えられるんじゃないの?というふうに思っていて。一方で最後のプロモーションに関しては、これ、A社もB社もC社も同じCMを流していたら、これはおかしいでしょう?
東:そうですね。
森辺:商品が違うんだから。
東:はい。
森辺:そうすると、これもメーカーしかできないことだよね。なので、つくることとプロモーションすることはメーカーの独自性、オリジナリティが必要だけど、チャネルをつくることなんていうのは、そもそも外部に任せたら?というのがこのオープンチャネルイノベーションの考え方で。だって、チャネルづくりの専門家じゃないでしょう?という話なんですよね。そこをもっと改革していくと、グローバル化って進むんですよ。海外ビジネスで一番難しいのってチャネルづくりですから。皆さん、何につまづいているかって、チャネルにつまづいているんですよね。そんなことをやっている時間があるんだったら、より現地に適合した、もしくは世界標準化した商品開発をしたりとか、世界標準化したプロモーションを考えたりとか、そういうことに時間を使ったほうが、僕は日本企業のこれからのグローバル化を考えたときにより効率的だし、もうすでに遅れてしまっているこのギャップを取り戻すには、本当に大胆にオープンチャネルイノベーションみたいな考え方を取り込まないと、たぶん欧米の先進的なグローバル企業に追いつかないんじゃないかなというふうに思っていて、そういうことをやっているという。
東:なるほど。
森辺:説明長いね。
東:いえいえ。
森辺:すみませんね。
東:じゃあ、簡単に分かりやすくまとめていただくと。
森辺:まとめると、チャネルづくりは自前でやるなということなんですよ。
東:はいはい。
森辺:だって、ノウハウがないのに、「チャネルどうしよう、ディストリビューターを決めないと」と言ってディストリビューターを探していくんだけども、じゃあ、そのディストリビューターを決める基準も結構あいまい、何となくで決めていっているというメーカーが本当に多いわけじゃないですか。20年前にあいまいで決めたディストリビューターでいまだに苦労している、アジア新興国でね、そんなメーカーはごまんといるわけですよ。そうすると、チャネルづくりを自前でやるなと、今までそういうことを支援できるようなコンサル会社とかがいなかったわけですよ。だから、そうなっちゃったのは仕方がないんだけども、「チャネルはもう任せたら?」ということを申し上げていて。それよりも、より現地の中間層に売れる商品、4Pで言うと、ProductとPriceで、Placeを任せることによってもっとPromotionを考えなさいよと。Promotionをしなかったら棚に置かれた無名の商品は誰も手に取りませんよということでね。なので、Placeを少しやり方を変えるだけでね、僕は日本の消費財メーカーの海外のパフォーマンスって格段に変わると思っているんですよ。だから、このOCIを広めていて。明治大学の大石先生も推奨していますからね。
東:はい。(笑)分かりました。じゃあ、森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。