東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回まではディストリビューターとの付き合い方とか、選定の部分を言ったと思うんですけども、結構いろいろ聞かれるのが、「管理育成の部分をどうしたらいいんですか」。ディストリビューターが決まりました。じゃあ、実際、売上が、上げようしているところも、新規だったら上げようとしているところもあるし、担当者が代わって、これからディストリビューターとコミュニケーションを取ろうとしている方もいらっしゃるし、ステージによっていろいろだとは思うんですけども。その辺を「どうしたらいいですか」とか、「どう接したらいいんですか」みたいなご相談をいただくことが多いと思うんですけど、森辺さんなりにどういうかたちが理想なのかとか、考え方を教えていただければと思うんですが。
森辺:まず、新規の場合のケースでちょっと、説明しやすいし理解してもらいやすいと思うので、新規のケースで話をすると、契約をした直後から2~3年というのがたぶん一番重要な時期で、この時期にどうやって最初の受注をつくって、それを継続させて拡大させて、みたいなことをしていく時期だと思うんだけど。このときに最初いきなり現地法人つくってやるかって、なかなかないと思うのね。まずは輸出でやって、ある程度の数字が出来上がったので、じゃあ、現地に法人、投資しましょう、みたいな話になると思うんだけどもね。そうしたときに、じゃあ、ディストリビューターを決めて契約をして、「じゃあ、あと、よろしくね」で、たぶん何カ月かに1回、ひどいときは1年に1回の出張で1日2日一緒に回って、しかも、ディストリビューターの見せたいところにだけ一緒に回る、というか連れてかれて、ディストリビューターに都合のいい説明をされて、で帰っていくという話だと思うんだよね。なんだけど、やっぱりそれじゃあ駄目で。この、いかに最初の1年、2年の、3年の、この1年~3年の間で強固な関係を築いて、売上をある一定のところまで持っていくかということがすごい重要で。ここでの密なコミュニケーションが本当に重要なんですよね。一旦、売上が立っちゃえば、もう知れてると、今のもそうだけど、このテレビ会議がそうじゃない? コロナでテレビ会議だけど、もう知れてるお客さんとだから、テレビ会議でも何ら違和感がないのと一緒だよね。それって今まで過去何年にもわたってお客さんと関係を築いてきているからテレビ会議でも十分業務がこなせるっていう話で、社内でもそうだよね。
東:そうですね。
森辺:でも、いきなり、新卒で雇ってね、今月雇って、「じゃあ、君、テレビ会議だからよろしくね」って、そうはならないよね。
東:(笑)なかなか、なりにくいですよね。
森辺:うん。それと一緒だと思うんだけども。だから、そこはすごく重要で。日本企業って極端で、「出張」か「駐在」か、みたいなね、その間が確かにないんですよ。けど、これ、絶対に必要でね。出張だと、そんな毎月出張って難しいでしょう?
東:そうですよね。たぶん、1カ国だけ担当されている方って少ないですもんね、われわれが見ていても。
森辺:だから、業務もそうだし、飛行機代も無駄だし、さらに、こういうコロナ禍の状態だとますます今後も難しくなってくるわけなんだけども。出張でできることって限界があると思うんですよね。行く日本企業側は、半年でも、1年に1回でも、3カ月に1回でも、行って、ディストリビューターが見せたいところへ連れていかれて。回っていくと、なんかすごい一緒にやった感じがするし、仕事してきた感じがするんだけど、やっぱりそれじゃあ全然駄目で。かといって、じゃあ、すぐ法人つくるっていうのは、僕はもう大反対で。法人つくるっていうことはコストがかかるってことなので、それ以上の売上を早期に上げないといけないということになりますと。そうすると、日本から現地の人を法人がない状態でこれをするということをしっかりやらないといけなくて。駐在を置いて管理するのと、ローカルの人で管理するのって、全然違って。駐在を置いたって、現地法人をつくって駐在員を置いても、実際にそういうステージになると、日本人の駐在員がディストリビューターを直接管理するかと言ったら、管理しないじゃない?
東:そうですね。
森辺:現地法人がやることは。
東:ローカルの方が。
森辺:うん。ローカル雇うもんね。
東:はい。
森辺:だから、それは最終でいいと思うんですよね。なんだけど、その間に駐在員を雇う、リモートで雇うっていう…、ちょっと、うちの宣伝になっちゃうみたいで恐縮なんだけども、われわれなんかの業務の1つで、われわれのリスクでお客さんの専属の現地スタッフ、ローカルのスタッフを雇用するということをやるじゃない?
東:はいはい。
森辺:それで、現地のディストリビューターの管理をして、われわれがオペレーションを回して。われわれのスタッフも現地にいるし、われわれも東京から行くし、さらに、お客さん専属の現地人が現地にいる、というぐらいの体制で最初立ち上げるわけじゃない?
東:うん。
森辺:それが、お客さんのやりたい金額感が大きければ大きいほど、その人数が増えていくって話だと思うんだけども、そういうことをやらないと、なかなかちょっと難しいですよね。
東:そうすると、森辺さん、出張に限界があるというところに関しては、どういったところに支障が? 今現状は結構出張で、通常はメールと電話でやられている方のほうが、どちらかと言うと圧倒的に多数だと思うんですけども、そこの課題観というか、というのはどういったところに出てくるというか。
森辺:1つは、物理的な人間関係が1つ非常に重要で、何だかんだ言って、ASEAN、アジア新興国で通信機器がよくなったと言えども、何時~何時まで、30分40分打ち合わせしようって、1時間打ち合わせしようってなっていても、何かごたつくことって当然出てくるわけですよね。もともとの人間関係が構築できてないのに、オンラインでもたついて、さらに距離が縮まるかと言うと、残念ながらなかなか難しいと思うから。人と人とのコミュニケーションみたいなところの距離感が1つの観点だと思うよね。もう1つは、ディストリビューターと同じレベル以上で現地のことを理解しなかったら、議論もクソもないんだよね。議論しているつもりが、自分たちがやりたいことを主張して、現地の人たちに「それは無理だ」と言われるのか、丸く別の方法に収められるのか、なんかそういう話で。対等の知識を持たないと、対等の議論なんてできないわけじゃない?
東:はいはい。
森辺:それが2つ目の大きい課題だと思うので。ちょっとうまく説明できてないかもしれないけど、1つは人間関係のそういう、いわゆるマインドの部分だよね。もう1つがお互いのナレッジの部分。これがないと、うまくいかないんじゃないかなと思いますけどね。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。